「愛は静けさの中に」
小さな港町にあるろう学校に赴任したジェームズは、若く美しいろう者の掃除婦サラに興味を抱く。サラの閉ざされた心を開こうとするうちに、ジェームズは彼女と恋に落ちるが…
最近また手話講座に通い始めたので(意識高めな目標があるわけではなく、認知症防止のため)ろう者、手話といえば真っ先に思い浮かぶこの作品を久々に観ました。懐かしい!この映画を初めて観たのは、ちょうど私が映画を好きになり始めた頃。それまで聾啞や手話についてほとんど無知だったので、ちょっとカルチャーショックを受けたのをよく覚えてます。ヒロインを演じたマーリー・マトリンが実際にもろう者で、映画初出演でいきなりアカデミー賞の主演女優賞受賞というドラマティックさが、映画以上にインパクト大で感動的でした。マーリーはろう者初、さらに史上最年少での主演女優賞受賞という快挙。共演者のウィリアム・ハートとは実生活でも恋人となり、授賞式では前年に「蜘蛛女のキス」で主演男優賞を獲得した彼が、ステージでマーリーの名前を発表するという、これまた出来すぎな展開とシーンも話題になりました。その時は幸せそうに見えた二人ですが、後年マーリーが告白した衝撃的で悲惨な関係には戦慄。
とにかく当時20歳そこそこだったマーリーの、若さと美しさが鮮烈。情熱的な演技も圧倒的かつ瑞々しい。すごい勝ち気で激情的、かつ屈折してるサラのキャラも強烈です。障害があるけどけなげに生きてる娘、なんて生易しいヒロインじゃないんです。チェッカーズも真っ青なギザギザハートっぷり。でもその反抗的で攻撃的な態度には悲しみと絶望が見え隠れしていて、それが美しい翳りになっています。サラの壮絶な悲惨すぎる過去と家族関係は衝撃的。私なら精神を病むわ。「silent」の想くんなんて、サラに比べたら甘えてるな~と思います。深く傷ついても壊れたりしないサラの強さも、痛ましいけど魅力的でした。ちょっと蓮っ葉なビッチ言動とか、機嫌がいい時の皮肉なユーモアとかも、サラを悲痛なだけなヒロインにしてませんでした。
今は亡き名優ウィリアム・ハートも若い!頭髪はもうかなりヤバくなってましたが。すごく優しそう、だけどかなり神経質でもある、といった複雑で深みのある役と演技も、やはり「silent」とは違います。愛する人を大事に思うあまり、相手の気持ちや立場を疎かにし無意識にコントロールや矯正をしようとする健常者の独善、驕り、上から目線の善意など、障害者との関りやインクルーシブ教育について考えさせられました。マーリーとハート氏のラブシーンも、ロマンティックかつ情感があって印象的。特にプールでのラブシーンが美しかった。大人のロマンスとラブシーン、これがなかったゆえに「silent」は、残念な少女漫画ドラマになってしまいました。
ろう学校の授業の様子も興味深かったです。あんな風に発声練習とかやるんですね。ろうの生徒たちが明るくて、学園生活も楽しそうだったのが映画を救いのある内容にしていました。そして手話。日本手話とは違うアメリカ手話なので、もちろん全然チンプンカンプン。サラの手話はすごい高速でアグレッシブ。使う人の性格が出る手話、私は優しい手話を習得したいです。マーリーが母親役で出演している、2年前にオスカーの作品賞を受賞した「コーダ」も、近々観ようと思ってます。
小さな港町にあるろう学校に赴任したジェームズは、若く美しいろう者の掃除婦サラに興味を抱く。サラの閉ざされた心を開こうとするうちに、ジェームズは彼女と恋に落ちるが…
最近また手話講座に通い始めたので(意識高めな目標があるわけではなく、認知症防止のため)ろう者、手話といえば真っ先に思い浮かぶこの作品を久々に観ました。懐かしい!この映画を初めて観たのは、ちょうど私が映画を好きになり始めた頃。それまで聾啞や手話についてほとんど無知だったので、ちょっとカルチャーショックを受けたのをよく覚えてます。ヒロインを演じたマーリー・マトリンが実際にもろう者で、映画初出演でいきなりアカデミー賞の主演女優賞受賞というドラマティックさが、映画以上にインパクト大で感動的でした。マーリーはろう者初、さらに史上最年少での主演女優賞受賞という快挙。共演者のウィリアム・ハートとは実生活でも恋人となり、授賞式では前年に「蜘蛛女のキス」で主演男優賞を獲得した彼が、ステージでマーリーの名前を発表するという、これまた出来すぎな展開とシーンも話題になりました。その時は幸せそうに見えた二人ですが、後年マーリーが告白した衝撃的で悲惨な関係には戦慄。
とにかく当時20歳そこそこだったマーリーの、若さと美しさが鮮烈。情熱的な演技も圧倒的かつ瑞々しい。すごい勝ち気で激情的、かつ屈折してるサラのキャラも強烈です。障害があるけどけなげに生きてる娘、なんて生易しいヒロインじゃないんです。チェッカーズも真っ青なギザギザハートっぷり。でもその反抗的で攻撃的な態度には悲しみと絶望が見え隠れしていて、それが美しい翳りになっています。サラの壮絶な悲惨すぎる過去と家族関係は衝撃的。私なら精神を病むわ。「silent」の想くんなんて、サラに比べたら甘えてるな~と思います。深く傷ついても壊れたりしないサラの強さも、痛ましいけど魅力的でした。ちょっと蓮っ葉なビッチ言動とか、機嫌がいい時の皮肉なユーモアとかも、サラを悲痛なだけなヒロインにしてませんでした。
今は亡き名優ウィリアム・ハートも若い!頭髪はもうかなりヤバくなってましたが。すごく優しそう、だけどかなり神経質でもある、といった複雑で深みのある役と演技も、やはり「silent」とは違います。愛する人を大事に思うあまり、相手の気持ちや立場を疎かにし無意識にコントロールや矯正をしようとする健常者の独善、驕り、上から目線の善意など、障害者との関りやインクルーシブ教育について考えさせられました。マーリーとハート氏のラブシーンも、ロマンティックかつ情感があって印象的。特にプールでのラブシーンが美しかった。大人のロマンスとラブシーン、これがなかったゆえに「silent」は、残念な少女漫画ドラマになってしまいました。
ろう学校の授業の様子も興味深かったです。あんな風に発声練習とかやるんですね。ろうの生徒たちが明るくて、学園生活も楽しそうだったのが映画を救いのある内容にしていました。そして手話。日本手話とは違うアメリカ手話なので、もちろん全然チンプンカンプン。サラの手話はすごい高速でアグレッシブ。使う人の性格が出る手話、私は優しい手話を習得したいです。マーリーが母親役で出演している、2年前にオスカーの作品賞を受賞した「コーダ」も、近々観ようと思ってます。