「マエストロ その音楽と愛と」
若き音楽家レナード・バーンスタインは、臨時の指揮者として立ったカーネギーホールでのコンサートを大成功させ、チリ出身の女優フェリシアと出会い結婚する。公私ともに順風満帆なバーンスタイン夫妻だったが、レナードには同性を愛するというもうひとつの顔があった…
うう~ん…すごく期待してたんだけど…同性愛者の天才音楽家とその妻の、スキャンダラスで破滅的な愛と人生…チャイコフスキー夫妻を描いたケン・ラッセル監督の怪作「恋人たちの曲 悲愴」みたいなのを期待しちゃってたのですが、全然そんなんじゃなかった。期待はずれすぎて、何だか詐欺にでも遭ったかのような気分に。ある意味、今年観た映画の中ではキムタクの「レジェンド&バタフライ」よりもがっかり。映画やドラマに過度な期待や勝手な思い込み、先入観は禁物と、あらためて痛感。
何が期待はずれ、不満だったのかといえば。とにもかくにもBL映画じゃなかったことに尽きます。男同士の美しくも切なく苦しい関係やラブシーンが皆無とか、トホホすぎます。そんなの期待するほうが間違ってる、とは言わせません。レナード・バーンスタインは男好きでも有名だったし、バーンスタインの恋人役にマット・ボマーが起用された点で、もう腐を煽ってますもん。カミングアウト俳優の中でも屈指のセクシーイケメンなマットと、大好きなブラッドリー・クーパーの親密なシーン。宣伝に使われていた二人のツーショット、否が応でも期待しちゃいますよ。それがどうよ。ブラパとマットの軽いキスシーンが、映画の中で最大唯一のBLシーン、しかもマットは超チョイ役ですぐに退場とか、何というもったいなさ、そして何という誇大広告でしょう。JAROに報告ものな嘘・大げさ・まぎらわしさです。BL詐欺!
とまあ、BLを期待して観た腐女子のほとんどに、不満と落胆をもたらす映画だと思います。BLに興味がない人は、そんなことにはならないと思うのでご安心を。互いに深く思いやり合い愛し合う夫婦の姿に、きっと感動する人も多いでしょう。でも私は、そういうのが苦手な冷血人間なので富も名声も才能にも恵まれた上級国民の幸せを見せつけられているような内容に、ちょっと鼻白んでしまいました。お金も地位も才能もない私自身、私の周囲、世の中のほとんどの人たちの苦しみや悲しみに比べると、バーンスタイン夫妻の苦悩なんて幸福と幸運の証のように見えて。
バーンスタイン夫妻がすごく善い人たちで、まったく破綻とか薄汚さがなかったのも、きれいきれいすぎて非現実的だったような。修羅場らしい修羅場もなかったし。妻子がいるのに若い男とも寝てる夫、それに耐えてる妻という、せっかくのドロドロ設定も活かされてなかった。もっと悲痛で醜悪で生々しい夫婦の葛藤、軋轢に戦慄、圧倒されたかったです。まあ、バーンスタイン夫妻の遺族への忖度もあったでしょうし、コンプラやポリコレで雁字搦めにされてるハリウッドでは、もう毒にも薬にもならない描写しかできなくなってるのでしょう。余命いくばくもないフェリシアを献身的に支えるレナード、という後半の展開も、陳腐なお涙ちょうだい。心がゴビ砂漠な私は、もちろん涙ではなく辟易の溜息が出ました。
でも、決してつまんない駄作ではなく、演出も演技もユニークで魅力的ではあります。「アリー スター誕生」に続いて監督と主演を兼任した、ブラッドリー・クーパーの才人ぶりに感嘆。今回の渾身かつチャーミングな演技と才気あふれる演出も素晴らしかったです。相変わらずカッコいいブラパですが、若い頃のシーンの彼が木下ほうかに似て見えてしまった。一部で批判された付け鼻は、確かにちょっと不自然だったかも。見てるうちにそんなに気にならなくはなりましたが。フェリシア役のキャリー・マリガンの演技も絶賛されてるようだけど、あれぐらいの演技は彼女なら通常運転なのでは?話や演技よりも気になって仕方がなかったのは、レナードもフェリシアも煙草吸ってないシーンがほとんどない、と言っていいほどヘヴィスモーカーだったこと。特にレナードの場をわきまえない喫煙、今だとありえない非常識さでした。
若き音楽家レナード・バーンスタインは、臨時の指揮者として立ったカーネギーホールでのコンサートを大成功させ、チリ出身の女優フェリシアと出会い結婚する。公私ともに順風満帆なバーンスタイン夫妻だったが、レナードには同性を愛するというもうひとつの顔があった…
うう~ん…すごく期待してたんだけど…同性愛者の天才音楽家とその妻の、スキャンダラスで破滅的な愛と人生…チャイコフスキー夫妻を描いたケン・ラッセル監督の怪作「恋人たちの曲 悲愴」みたいなのを期待しちゃってたのですが、全然そんなんじゃなかった。期待はずれすぎて、何だか詐欺にでも遭ったかのような気分に。ある意味、今年観た映画の中ではキムタクの「レジェンド&バタフライ」よりもがっかり。映画やドラマに過度な期待や勝手な思い込み、先入観は禁物と、あらためて痛感。
何が期待はずれ、不満だったのかといえば。とにもかくにもBL映画じゃなかったことに尽きます。男同士の美しくも切なく苦しい関係やラブシーンが皆無とか、トホホすぎます。そんなの期待するほうが間違ってる、とは言わせません。レナード・バーンスタインは男好きでも有名だったし、バーンスタインの恋人役にマット・ボマーが起用された点で、もう腐を煽ってますもん。カミングアウト俳優の中でも屈指のセクシーイケメンなマットと、大好きなブラッドリー・クーパーの親密なシーン。宣伝に使われていた二人のツーショット、否が応でも期待しちゃいますよ。それがどうよ。ブラパとマットの軽いキスシーンが、映画の中で最大唯一のBLシーン、しかもマットは超チョイ役ですぐに退場とか、何というもったいなさ、そして何という誇大広告でしょう。JAROに報告ものな嘘・大げさ・まぎらわしさです。BL詐欺!
とまあ、BLを期待して観た腐女子のほとんどに、不満と落胆をもたらす映画だと思います。BLに興味がない人は、そんなことにはならないと思うのでご安心を。互いに深く思いやり合い愛し合う夫婦の姿に、きっと感動する人も多いでしょう。でも私は、そういうのが苦手な冷血人間なので富も名声も才能にも恵まれた上級国民の幸せを見せつけられているような内容に、ちょっと鼻白んでしまいました。お金も地位も才能もない私自身、私の周囲、世の中のほとんどの人たちの苦しみや悲しみに比べると、バーンスタイン夫妻の苦悩なんて幸福と幸運の証のように見えて。
バーンスタイン夫妻がすごく善い人たちで、まったく破綻とか薄汚さがなかったのも、きれいきれいすぎて非現実的だったような。修羅場らしい修羅場もなかったし。妻子がいるのに若い男とも寝てる夫、それに耐えてる妻という、せっかくのドロドロ設定も活かされてなかった。もっと悲痛で醜悪で生々しい夫婦の葛藤、軋轢に戦慄、圧倒されたかったです。まあ、バーンスタイン夫妻の遺族への忖度もあったでしょうし、コンプラやポリコレで雁字搦めにされてるハリウッドでは、もう毒にも薬にもならない描写しかできなくなってるのでしょう。余命いくばくもないフェリシアを献身的に支えるレナード、という後半の展開も、陳腐なお涙ちょうだい。心がゴビ砂漠な私は、もちろん涙ではなく辟易の溜息が出ました。
でも、決してつまんない駄作ではなく、演出も演技もユニークで魅力的ではあります。「アリー スター誕生」に続いて監督と主演を兼任した、ブラッドリー・クーパーの才人ぶりに感嘆。今回の渾身かつチャーミングな演技と才気あふれる演出も素晴らしかったです。相変わらずカッコいいブラパですが、若い頃のシーンの彼が木下ほうかに似て見えてしまった。一部で批判された付け鼻は、確かにちょっと不自然だったかも。見てるうちにそんなに気にならなくはなりましたが。フェリシア役のキャリー・マリガンの演技も絶賛されてるようだけど、あれぐらいの演技は彼女なら通常運転なのでは?話や演技よりも気になって仕方がなかったのは、レナードもフェリシアも煙草吸ってないシーンがほとんどない、と言っていいほどヘヴィスモーカーだったこと。特にレナードの場をわきまえない喫煙、今だとありえない非常識さでした。