「Les ailes de la colombe」
高級娼婦のカトリーヌは、ヴェネツィアで音楽ライターの青年サンドロと出会い恋人関係になる。裕福だが孤独な娘マリーとも親しくなったカトリーヌは、マリーが不治の病で余命いくばくもないと知り…
ずっと前から観たかった1981年のフランス映画を、ようやく!文豪ヘンリー・ジェームズの小説「鳩の翼」を、現代のイタリアに設定を置き換えての映画化。本家イギリス版の「鳩の翼」は、主演のヘレナ・ボナム・カーターがアカデミー賞主演女優賞にノミネートされるなど、高く評価された時代劇の佳作です。このフランス版は何といっても、若かりし日のイザベル・ユペールとドミニク・サンダの競演!大女優の競演って、その美と個性と演技での火花散る対決だけでなく、撮影の裏話も気になりますよね~。和気あいあいよりも、お互いにガン無視あるいは大ゲンカ!のほうが面白いし、演技にも磨きがかかりそう。ユペールもサンダも若い頃から一流の映像作家たちから愛されてきた、数々の傑作や問題作のヒロインとして映画史に名を刻む女優。凡百な女優とはレベチな美しさと才能とキャリア、そしてプライドの持ち主である大女優が二人同じ画面とか、平穏無事であるわけがない、あってはいけない(笑)なんて、勝手な想像でわくわくさせてくれるのも、大女優の魅力です。
ただもうそこにいるだけで、妖しいカオス。その美しさも佇まいも、不穏で不吉な予感しかさせない。ユペールもサンダも、そんな女優。どっちか一人だけでも危険なのに、二人とかヤバすぎ。この二人で生ぬるいヒューマンドラマなど生まれるはずがない。猛毒入りのよく冷えた高級ワインのような映画に違いない!と、長年期待してた作品。どうだったかというと…うう~ん、火花バチバチ感は全然なかったです。お二人とも他の出演作同様、冷ややかでミステリアス。それが彼女たちの魅力ではあるのですが、役まで二人の持ち味に飲まれてしまった感じでした。どんな作品、どんな役でも、その個性と魅力を堅守するところがスゴい、けど、この映画のヒロインたちには適していなかったように思われます。
カトリーヌ役のドミニク・サンダは、親しみやすさなど微塵もない、近寄りがたい氷の美女。コールガールというより高貴な佳人。あんな娼婦、恐れ多くて私なら勃たんわおんな心の複雑さ、愚かさが生々しくも悲しかったヘレナ・ボナム・カーターがすごくチャーミングだったので、常に冷静沈着、喜怒哀楽のない無感情なドミニク・サンダは、まるでアンドロイドみたいで味気なかったです。でも、その冷たい気高い美貌は、もはや絶滅種の尊さ。マニッシュなファッションが似合ってて、着こなしには一般人には絶対出せない気品と高級感が。サラっと無駄脱ぎしてるところも、さすがフランス女優。
マリー役のイザベル・ユペールは、少女みたいで可愛い。純真無垢で可憐なお嬢様ファッションも可愛かった。でも、何を考えているのか読めない底の知れなさ、不可解さが何となく不気味でもあるところが、これぞイザベル・ユペールでした。命と引き換えに愛を得ようとする悲しみのヒロイン、という感じも全然しなかった。もうどうでもいいわ、みたいなクールなアンニュイ自暴自棄っぽかったというか。不治の病というより、低血圧でしんどそうな感じでもあった。とにかくカトリーヌにもマリーにも人間臭さ、おんなの情念がなさすぎ。もうちょっとメロドラマティックなヒロインにしてほしかったけど、そういうのはドミニク・サンダとイザベル・ユペールには似合わない。もし二人にわかりやすいヒロインを演じさせたら、すごい違和感を覚えることでしょう。わかりにくい女、わかりにくい物語でこそ魅力が発揮できる女優たちだと、この映画を観てあらためて思いました。
サンドロ役のミケーレ・プラシド、現在はシブい名優ですが、当時の彼はフランスの大女優二人の相手役にしては、かなり地味というか、位負けしてる感じ。まあ、イザベル・ユペール&ドミニク・サンダと対等になれる俳優なんて、当時イタリアにもフランスにもそうそういなかったでしょうから仕方ありません。サンドロ役は少々演技がヘタでも、すごいイケメン俳優を起用したほうがよかったのでは。ちなみにプラシド氏の息子、ブレンノ・プラシドはイケメン!ユペりんとは「眠れる美女」や、パパが監督したカラヴァッジョを描いた映画でも共演してますね。
ドラマじたいは味気なかったけど、舞台となったヴェネツィアは情緒たっぷりに撮られています。有名な広場や聖堂、教会、そして運河etc.ヴェネツィアといえばの風景が、素晴らしいカメラワークで。フィリップ・サルドの音楽も、流麗で美しかったです。女優映画の名手ブノワ・ジャコー監督は、この作品の後もドミニク・サンダ、イザベル・ユペールと何度も仕事してますね。
「鳩の翼」邦画でリメイクしてほしいかも。「異人たち」みたいに、BLアレンジで!舞台は京都、BLカップルが財産を狙って病弱な金持ちの娘に近づくが…みたいな設定で!妄想キャストを真剣に考えてるアホな私です
高級娼婦のカトリーヌは、ヴェネツィアで音楽ライターの青年サンドロと出会い恋人関係になる。裕福だが孤独な娘マリーとも親しくなったカトリーヌは、マリーが不治の病で余命いくばくもないと知り…
ずっと前から観たかった1981年のフランス映画を、ようやく!文豪ヘンリー・ジェームズの小説「鳩の翼」を、現代のイタリアに設定を置き換えての映画化。本家イギリス版の「鳩の翼」は、主演のヘレナ・ボナム・カーターがアカデミー賞主演女優賞にノミネートされるなど、高く評価された時代劇の佳作です。このフランス版は何といっても、若かりし日のイザベル・ユペールとドミニク・サンダの競演!大女優の競演って、その美と個性と演技での火花散る対決だけでなく、撮影の裏話も気になりますよね~。和気あいあいよりも、お互いにガン無視あるいは大ゲンカ!のほうが面白いし、演技にも磨きがかかりそう。ユペールもサンダも若い頃から一流の映像作家たちから愛されてきた、数々の傑作や問題作のヒロインとして映画史に名を刻む女優。凡百な女優とはレベチな美しさと才能とキャリア、そしてプライドの持ち主である大女優が二人同じ画面とか、平穏無事であるわけがない、あってはいけない(笑)なんて、勝手な想像でわくわくさせてくれるのも、大女優の魅力です。
ただもうそこにいるだけで、妖しいカオス。その美しさも佇まいも、不穏で不吉な予感しかさせない。ユペールもサンダも、そんな女優。どっちか一人だけでも危険なのに、二人とかヤバすぎ。この二人で生ぬるいヒューマンドラマなど生まれるはずがない。猛毒入りのよく冷えた高級ワインのような映画に違いない!と、長年期待してた作品。どうだったかというと…うう~ん、火花バチバチ感は全然なかったです。お二人とも他の出演作同様、冷ややかでミステリアス。それが彼女たちの魅力ではあるのですが、役まで二人の持ち味に飲まれてしまった感じでした。どんな作品、どんな役でも、その個性と魅力を堅守するところがスゴい、けど、この映画のヒロインたちには適していなかったように思われます。
カトリーヌ役のドミニク・サンダは、親しみやすさなど微塵もない、近寄りがたい氷の美女。コールガールというより高貴な佳人。あんな娼婦、恐れ多くて私なら勃たんわおんな心の複雑さ、愚かさが生々しくも悲しかったヘレナ・ボナム・カーターがすごくチャーミングだったので、常に冷静沈着、喜怒哀楽のない無感情なドミニク・サンダは、まるでアンドロイドみたいで味気なかったです。でも、その冷たい気高い美貌は、もはや絶滅種の尊さ。マニッシュなファッションが似合ってて、着こなしには一般人には絶対出せない気品と高級感が。サラっと無駄脱ぎしてるところも、さすがフランス女優。
マリー役のイザベル・ユペールは、少女みたいで可愛い。純真無垢で可憐なお嬢様ファッションも可愛かった。でも、何を考えているのか読めない底の知れなさ、不可解さが何となく不気味でもあるところが、これぞイザベル・ユペールでした。命と引き換えに愛を得ようとする悲しみのヒロイン、という感じも全然しなかった。もうどうでもいいわ、みたいなクールなアンニュイ自暴自棄っぽかったというか。不治の病というより、低血圧でしんどそうな感じでもあった。とにかくカトリーヌにもマリーにも人間臭さ、おんなの情念がなさすぎ。もうちょっとメロドラマティックなヒロインにしてほしかったけど、そういうのはドミニク・サンダとイザベル・ユペールには似合わない。もし二人にわかりやすいヒロインを演じさせたら、すごい違和感を覚えることでしょう。わかりにくい女、わかりにくい物語でこそ魅力が発揮できる女優たちだと、この映画を観てあらためて思いました。
サンドロ役のミケーレ・プラシド、現在はシブい名優ですが、当時の彼はフランスの大女優二人の相手役にしては、かなり地味というか、位負けしてる感じ。まあ、イザベル・ユペール&ドミニク・サンダと対等になれる俳優なんて、当時イタリアにもフランスにもそうそういなかったでしょうから仕方ありません。サンドロ役は少々演技がヘタでも、すごいイケメン俳優を起用したほうがよかったのでは。ちなみにプラシド氏の息子、ブレンノ・プラシドはイケメン!ユペりんとは「眠れる美女」や、パパが監督したカラヴァッジョを描いた映画でも共演してますね。
ドラマじたいは味気なかったけど、舞台となったヴェネツィアは情緒たっぷりに撮られています。有名な広場や聖堂、教会、そして運河etc.ヴェネツィアといえばの風景が、素晴らしいカメラワークで。フィリップ・サルドの音楽も、流麗で美しかったです。女優映画の名手ブノワ・ジャコー監督は、この作品の後もドミニク・サンダ、イザベル・ユペールと何度も仕事してますね。
「鳩の翼」邦画でリメイクしてほしいかも。「異人たち」みたいに、BLアレンジで!舞台は京都、BLカップルが財産を狙って病弱な金持ちの娘に近づくが…みたいな設定で!妄想キャストを真剣に考えてるアホな私です
ドミニクは通常運転で、あんなもんかしら?だけど、あの若さでユペりんの、人生投げちゃった風な「低血圧でしんどそうな←うまいこと言いますな…笑」感じが、ツボにハマりまくりました。2人が話ているシーンは、たぶん相手の話を聞いてませんね。ヴェネチアの風景とフィリップ・サルドの音楽は、本当に良かった~
そうそう、地味すぎ。もうちょっと美男俳優にしてほしかったですよね~。今だと誰がいいかなあ。アレッサンドロ・ボルギとかルカ・マリネッリあたりでしょうか?
ドミニク・サンダは、もうあれでいいんですよね。何でも演じられる自慢の小器用系女優は星の数ほどいるけど、ドミニク・サンダのような高貴で優雅な絶世の美女なんて希少種ですし。ユペりんも低血圧っぽさが彼女の魅力だし。一緒にいても違う世界にいるような距離感で、男の心を乱す…そんなヒロインが好きです。
ヴェネツィア、風景も雰囲気もほんと映画的。