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台湾映画祭③
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「疫起 エピデミック」
2003年の台北。外科医の夏正は勤務を終え娘の誕生会へと急ぐ途中、急患の報を受け病院に戻る。その頃、未知の伝染病が院内で広がり始めていた…
コロナパニックも今は昔。すっかり収束した感じの現在ですが、当時も私はあまり深刻に受け止めることができていませんでした。私の周囲に死者や重症者がおらず、私も含め罹ってもすぐに回復できたからでしょう。コロナへの恐怖よりも、医療に従事する人たちへの感謝と尊敬に心打たれる毎日でした。この台湾映画では、コロナ前に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)による2003年の実際の院内感染と病院封鎖が、ドキュメンタリータッチで描かれています。コロナの時のクルーズ船もそうでしたが、得体の知れない疫病が跋扈する場所に閉じ込められ、いつ自分も感染して発症、ついには死に至るかもしれないという極限状態、想像しただけでゾっとします。
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SARSって、名前はよく聞いたけど、日本では流行しなかったんでしたっけ?台湾では大変なことになってたんですね。台湾ではSARSの教訓を活かして、コロナはかなり蔓延を阻止できたとか。それにしても。医療関係者や入院患者もさることながら、たまたまあの病院にいた人たちまで巻き込まれて、問答無用に閉じ込められるとか、運が悪すぎる。理不尽!でも誰のせいでもない、誰にも文句を言えない苦境に落とされてしまった人々に同情。外で彼らの安否を気遣う家族のストレスも相当なもの。子どもも老人も妊婦も、容赦なく閉じ込める冷酷非情さがホラーでした。外の世界の人のために、あなたたちは死になさい、と言わんばかりな生き地獄。
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SARSを封じ込めるための対策、措置も非情でしたが、恐怖と絶望が渦巻く中で露わになってしまう人間の本性もまた、ああ無情!でした。みんな結局、自分がいちばん大切。自分が助かるためなら、他人の苦しみに見て見ぬふりができる、他人を犠牲にすることもできる。でも、それが人間の本当の姿なんですよね。あんな状況ではもう、何が正しくて何が間違ってるのかわからなくなる、どうでもよくなる。感染を恐れて医療行為を拒否したり、感染の疑いがある同僚を排斥する医師や看護師たちのことを、非情だなとは思っても卑劣とか醜いと蔑むことはできません。だからこそ、自分を犠牲にして医療に尽力する人たちが崇高に思えました。もはや人間を越えた神に近い存在。保身と献身で分断されたあの病院、無事にロックダウンが解除された後、SARSの後遺症以上に深刻な人間関係のしこりが残りそう。不運にも病院に閉じ込められてしまった一般の人たちは、みんな比較的冷静だったのが救いでもあり、痛ましくもありました。
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主人公の夏正役は、ドラマ「罪夢者」では男の色気ダダ漏れだったワン・ポーチエ。今回は粗野なチンピラ役から一転、エリートドクター役。顔は上川隆也+くりーむしちゅーの上田?決してイケメンでも美男子でもないのだけど、いい男に見えます。熟年に見えるけど、まだ30半ばなんですね。藤ヶ谷くんとかより年下
最初は何とかして病院から逃げ出そうとしてたけど、惨状を目の当たりにして医師の本分を呼び起こされる葛藤や変化を、リアルな人間味で演じています。全裸シーンもあった「罪夢者」ほどセクシーではないけど、サービス脱ぎのようなシャワーシーンはありました。
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若い看護師役は、BL映画の佳作「君の心に刻んだ名前」でのフレッシュなイケメンぶりが忘れがたいツェン・ジンホア。ドラマ「次の犠牲者」では、主人公の青年時代を演じてましたね。今回もイケメン!端正で涼しげで薄幸そうな美男子。白衣が似合う。悲しみが似合う風貌と雰囲気が好き。あの看護師さん、イケメンなだけでなく、優しく真面目で勇敢な人柄で、聖人のような若者だった。でも、すごい不幸で不運。なんでこんな善い子がこんな目に…と、暗澹となってしまったけど、彼みたいな子がいるおかげで世界にも救いがあるんだよなと、暗闇で美しい蝋燭の灯を見ているような思いになりました。ジンホアくんも「君の心に~」ほどには脱いでないけど、サービス脱ぎ的なシャワーシーンあり。
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研修医役は「愛という名の悪夢」で強迫神経症ヒロインを怪演したクロエ・シャン。今回は凛々しく使命感が強いタフなヒロインでした。可愛い顔、今回はチャン・ツイイーにちょっと似て見えた。みんなを励ますタクシーの運転手さんみたいに、逆境の中でも思いやりや助け合いを忘れない人に、私もなりたいです。エピデミックとパンデミックの違い、今さらながら知ることができました。
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2003年の台北。外科医の夏正は勤務を終え娘の誕生会へと急ぐ途中、急患の報を受け病院に戻る。その頃、未知の伝染病が院内で広がり始めていた…
コロナパニックも今は昔。すっかり収束した感じの現在ですが、当時も私はあまり深刻に受け止めることができていませんでした。私の周囲に死者や重症者がおらず、私も含め罹ってもすぐに回復できたからでしょう。コロナへの恐怖よりも、医療に従事する人たちへの感謝と尊敬に心打たれる毎日でした。この台湾映画では、コロナ前に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)による2003年の実際の院内感染と病院封鎖が、ドキュメンタリータッチで描かれています。コロナの時のクルーズ船もそうでしたが、得体の知れない疫病が跋扈する場所に閉じ込められ、いつ自分も感染して発症、ついには死に至るかもしれないという極限状態、想像しただけでゾっとします。
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SARSって、名前はよく聞いたけど、日本では流行しなかったんでしたっけ?台湾では大変なことになってたんですね。台湾ではSARSの教訓を活かして、コロナはかなり蔓延を阻止できたとか。それにしても。医療関係者や入院患者もさることながら、たまたまあの病院にいた人たちまで巻き込まれて、問答無用に閉じ込められるとか、運が悪すぎる。理不尽!でも誰のせいでもない、誰にも文句を言えない苦境に落とされてしまった人々に同情。外で彼らの安否を気遣う家族のストレスも相当なもの。子どもも老人も妊婦も、容赦なく閉じ込める冷酷非情さがホラーでした。外の世界の人のために、あなたたちは死になさい、と言わんばかりな生き地獄。
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SARSを封じ込めるための対策、措置も非情でしたが、恐怖と絶望が渦巻く中で露わになってしまう人間の本性もまた、ああ無情!でした。みんな結局、自分がいちばん大切。自分が助かるためなら、他人の苦しみに見て見ぬふりができる、他人を犠牲にすることもできる。でも、それが人間の本当の姿なんですよね。あんな状況ではもう、何が正しくて何が間違ってるのかわからなくなる、どうでもよくなる。感染を恐れて医療行為を拒否したり、感染の疑いがある同僚を排斥する医師や看護師たちのことを、非情だなとは思っても卑劣とか醜いと蔑むことはできません。だからこそ、自分を犠牲にして医療に尽力する人たちが崇高に思えました。もはや人間を越えた神に近い存在。保身と献身で分断されたあの病院、無事にロックダウンが解除された後、SARSの後遺症以上に深刻な人間関係のしこりが残りそう。不運にも病院に閉じ込められてしまった一般の人たちは、みんな比較的冷静だったのが救いでもあり、痛ましくもありました。
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主人公の夏正役は、ドラマ「罪夢者」では男の色気ダダ漏れだったワン・ポーチエ。今回は粗野なチンピラ役から一転、エリートドクター役。顔は上川隆也+くりーむしちゅーの上田?決してイケメンでも美男子でもないのだけど、いい男に見えます。熟年に見えるけど、まだ30半ばなんですね。藤ヶ谷くんとかより年下
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若い看護師役は、BL映画の佳作「君の心に刻んだ名前」でのフレッシュなイケメンぶりが忘れがたいツェン・ジンホア。ドラマ「次の犠牲者」では、主人公の青年時代を演じてましたね。今回もイケメン!端正で涼しげで薄幸そうな美男子。白衣が似合う。悲しみが似合う風貌と雰囲気が好き。あの看護師さん、イケメンなだけでなく、優しく真面目で勇敢な人柄で、聖人のような若者だった。でも、すごい不幸で不運。なんでこんな善い子がこんな目に…と、暗澹となってしまったけど、彼みたいな子がいるおかげで世界にも救いがあるんだよなと、暗闇で美しい蝋燭の灯を見ているような思いになりました。ジンホアくんも「君の心に~」ほどには脱いでないけど、サービス脱ぎ的なシャワーシーンあり。
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研修医役は「愛という名の悪夢」で強迫神経症ヒロインを怪演したクロエ・シャン。今回は凛々しく使命感が強いタフなヒロインでした。可愛い顔、今回はチャン・ツイイーにちょっと似て見えた。みんなを励ますタクシーの運転手さんみたいに、逆境の中でも思いやりや助け合いを忘れない人に、私もなりたいです。エピデミックとパンデミックの違い、今さらながら知ることができました。
あの騒動の時は学生でしたが、少なくとも日本人でSARSにかかった人が複数人出て世間が震撼したという記憶はないです。
SARSが日本で蔓延しなかったのは、ほんと奇跡ですね。コロナはそういうわけにはいかなかったけど…もうヘンなヤバい疫病が流行りませんように!