ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

ハドソン川の奇跡

2009年01月15日 | 世界とわたし


生徒の家に行く道すがら、車の中のラジオから流れてくるニュースを聞いていました。
この冬1番の、気温零下7℃の厳しい寒さの中、ベテラン機長の的確で冷静な判断による水面不時着が成功しました。
着陸後も、乗客全員の無事を確認し終えるまで、落ち着いた表情で何度も機内の点検をしていた機長と乗務員の方々に、車の中のラジオの前で敬意を表しました。

遠い昔、これは全く次元も意味も違う事故でしたが、片桐だとかいう名の機長が逆噴射をして、羽田沖に頭から突っ込んだ事件を思い出しました。
あの時のニュースを呆然と見ていたわたしは、画面の中に浮かぶ救命ボートに乗る救命道着をつけた客が、ニヤニヤと笑っているのを見つけゾッとしました。
その客は、ボートの先端に座っていて、遊園地かどこかのゴムボートに乗って嬉しそうにしている子供のような顔をしていました。
1番にボートに乗り込んだに違いないその客が、自分の幸運を喜んであんな顔をしているのかな、それにしてもこんな時に笑っているなんて……。
ものすごく印象に残ったその男が、あの事故を故意に引き起こした超本人であると分かったのは、それから随分経ってからのことでした。

もう何人もの人に話していることだけど、わたしは飛行機が苦手です。
科学とか工学とか、そういう分野に人の50倍ぐらい疎いので、どうしてもあんな重たい物体が空に浮かぶことが納得できないからです。
しかも、あそこに乗客が何百人も乗り、さらに重さは増え……前にフットボールの選手団が一緒に乗り込んできた時には、真剣にキャンセルを考えました。
日本とアメリカにつながりができて、わたしは否応無しに飛行機に乗らないといけなくなり、いつもやけくそで旅をしています。
それでもやっぱり、離陸と着陸の時にはどうしても落ち着かなくなり、誰か知っている人が横に乗っていたら、必ず手をギュッと握ってもらいます。

今の時代はコンピューターがいろいろやってくれるのでしょうけど、こういう突発的な事件に遭遇した際には、やはり人間の英知と敏速な行動が必要です。

今日の飛行機に、優れた機長とスタッフが乗り合わせてくれていた幸運を、みんなと一緒に喜びたいと思います。

それにしても、またまた鳥が原因だなんて……。
こんな進んだ時代に、そういうことを防止できる手段がどうして見つからないんでしょうね。
誰かがニュースで、エンジン部分に鳥などの物体が吸い込まれないよう、金網のようなカバーをどうして付けられないのかと質問している人がいました。
ほんとに、どうしてなんでしょうね?

告白

2009年01月15日 | ひとりごと
昨日のレストランで、少しワインが入ったからか、Tがポツリとこんなことを言いました。

「この夏に、J子のおかあさんが、僕を家に連れて来いって言わはったらしい」

ん?……おおぉ~!!
ええ~じゃないかえ~じゃないか~!それってちょっとええじゃないか!
さっそくからかい開始です。

「そりゃもう、ちゃんと身なりを整えて、ぼ、ぼ、ぼくにJ子さんをください!って言わにゃ~いけんとよ」
「そんなんちゃうわい!」
「うんにゃ、そうばってん、ちゃんと大学卒業できるよう、単位落とさんとってよ~」
「なんでそこにいくか、話が」
「いやあ、そういや母ちゃんがまだ17やった時、当時付き合うとった19の子が、いきなり似合わんスーツ着て家にやって来て、出てきた父親に『おとうさん』って言うて、『わしはあんたのおとうさんなんかと違う。そんな呼び方せんとってくれ!』ってキレとったなあ」
「なにしに来たん?」
「お嬢さんと結婚を前提にしたお付き合いをさせてくださいって言いに来た」
「ほう」

いつもだったら無視される度100%の話なのに、Tは真剣な目をして聞いています。
きっと、自分のことに照らし合わせて聞いているのだろうなあ。
22才。そんなお年頃になった息子をしみじみと眺めながら、ワインをいただきました。