ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

巨大プールに思う

2009年01月02日 | お家狂想曲
朝から雪が舞う中、とても久しぶりに、朝ご飯をダイナーで食べようと出かけた旦那とわたし。
新年第一回目だから、息子TがJ子ちゃんとS君を連れて帰省した折に偶然見つけた、HBOドラマ『ソプラノズ』の最後のシーンが撮影されたダイナーに行こう!
意気込んで寒い中をドライブして行くと、営業は11時からという張り紙が……う~ん残念!
せっかく車も温まってきたし、せっかく外で食べようと盛り上がったことだしってんで、町の真ん中にあるお気に入りのダイナーに行ってきました。

わたしが注文するのはいつも決まっています。フレンチトーストです。
フランスパンを5センチくらいの幅にぶつ切りしたような大きさのトーストなんですが、表面がパリパリ、中が玉子風味のもっちり。
粉砂糖をパラパラとふりかけて(さらにメープルシロップ山盛りかける人もいるけれど)、フルーツサラダと一緒にいただきます。

とても久しぶりの至福の時間。入れたてのコーヒーをカップに注いでいると、旦那の携帯が鳴りました。
旦那は、自分が休んでいる時や食べている時、それから食べようとしている時や食べてからしばらくの間は、どんな電話も一切出ようとしません。
わたしが、もしかしたらそれは救急の事態に陥った患者さんからかもしれないとか、あなたのビジネスにとても大きな意味のある電話かもしれないと脅しても、
体や心を休めることに命を賭けてる風にも見える彼は、頑として受け付けず、充分に休んでから留守電に入ったメッセージを聞くのです。
なのでもちろんその時も出ず、ゆっくり朝食を楽しんで支払いを済ませ、駐車場に停めてある車に乗り込んでからメッセージを聞いていました。

「デブラからなんやけど、彼女、来週は丸々町から離れるから、もし例の家をもういっぺん見たかったら今日しかないって」

デブラはわたし達の家探しを手伝ってくれているエージェントさんです。
例の家というのは、今住んでいる家から歩いて数分の所にある、黄色のかわいい、ドイツから来たサッカー青年達の寮として使われている家のことです。
ショートセールになったということで、買いたいと思う者は早々に手続きをしなければなりません。
そこで、わたし達もそのうちの人間ってことで、買うのか買わないのか、はっきりと決めるために、もう一度中を見に行くことになりました。

前に行った時に居た数人のサッカー選手達はもう退去していて、あちこちにゴミは残っているものの家の中は空っぽ。
なので、いろんな所をじっくりと観察できました。
何十軒もの家を観察し、1度はプロのインスペクターと一緒にミニ講義を受けながら回ったわたし。
天井の色の変わった所、床のわずかに波打っている部分、キッチン棚の水が漏れたことがあるようなシミなど、いろいろ目に入ってきます。
若い男達に、寮だということで、時には責任を持って、時には無責任に使い回されてきた部屋には、幾種類ものコロンの匂いが染み込んでいました。

やっぱり、前回も思ったように、部屋の構成は我が家の使い勝手にとても合っています。
各部屋も小さくて、全体にこじんまりしているので、燃費も最小限で済むと思います。
キッチンから引き戸を開けると大きめのバルコニーがあり、季節のいい時には外でゆっくり楽しめそうです。
う~ん、どうしようかなあ……と思案しながら、2人でバルコニーに出てみました。
すると……、
金網のフェンス1枚で隣接しているお隣の裏庭に、直径5メートルは軽くあると思われるプールがドカンとあり、その周りには天井付きのテーブルセット、そして奥には小さな子供用のブランコと滑り台がにぎやかに……。
思わず旦那の方を見ると、旦那もわたしの方を見ていて、「夏、うるさいかも……」と同時につぶやいたのでした。

どうして前回は気がつかなかったのか不思議です。
なぜかというと、わたし達にとって、夏にうるさいというのは、たいしたことではないようでたいしたことだからです。

今の家の一軒挟んだ隣りに、とっても元気な兄弟姉妹が住んでいる家があります。
とにかく外遊びが大好き。1年の間の、雪と氷が降る冬の間だけはさすがに家の中に居ますが、少しでも暖かくなりだすと即外に出て来ます。
今時、テレビの前でゲーム遊びをしない子供として、政府から表彰でもされそうな子達なんですが、
彼らの外遊び中の声が……こう言っちゃなんだけど、ただただうるさい!もう、それはそれはうるさい!
温度が上がるにつれてボリュームも上がり、それが夏の水遊びの頃に頂点に達します。
この辺りの夏は、気温も湿度も心地良く、窓を開けてその空気を楽しみたいのだけど、
空気よりも速く、球よりも速く、耳に突き刺さってくるちびっ子達のキャーキャー声。
けれど、彼らは一軒向こうの家に住んでいるんですね……。

それらが走馬灯のように頭蓋骨の周りをクルクルクルクル回って見えてきた旦那とわたし……家を買うって、ほんとに難しい。

100%を求めるつもりは毛頭無いけれど、できたら少しでも近い方がいいに決まってます。
金利が1番低いのは今だとか、オバマ政権になっていろいろまた変わるとか、いろんなことを耳にするのだけれど、
とにかく今は焦らずに、諦めずに、コツコツと見続けていこうと決意も新たにしました。
大きなお金を出すのだから、やっぱりいろんな所に惚れたいし、暮らしの中で大切にしていることを邪魔されたり我慢させられたりしたくありません。

慎重に大胆に。
年をまたいだ家探しはまだまだ続きます。


コメント
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