ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

嗚呼カーネギー

2009年01月03日 | ひとりごと
前回の記事のように、懐かしい友達と話していると、決まってお互いの近況の話になります。

わたしはそこで、わたしにとっての今年最大のトピック、Amateur Classical Musician's Association のディレクターになったこと、
そして、第二回記念演奏会がカーネギーホールの小ホールで行われる予定になっていて、そこで演奏することを嬉しそうに言うと、
「わぉ!カーネギーってすごいやん!」と相手が喜んでくれるのを大慌てで止めて、
「そんな、カーネギーってったって、あのでっかい方じゃないんやから、おおげさな」と、必ず困ったもんだ調で訂正しようとする旦那。
「そんなん、大でも小でも、カーネギーはカーネギーやん。すごいすごい!」と旦那を無視して喜んでくれる友達。
「そうやんなあ、どのホールでもカーネギーはカーネギー。嬉しがってなにが悪い!」と調子に乗るわたし。
「そやから、あのカーネギーホールやないってちゃんと伝えなあかんやん」と、まだしつっこく困ったもんだ顔をしている旦那。

そこで今夜は、いったいどういう言い方だったらいいのか、旦那にきちんと聞いてみようと思いました。
「あんな、今年も記念演奏会ってのがあって、わたしもそこでまた弾かせてもらう予定になってるねん。で、嬉しいことに、今年の演奏会の会場がカーネギーで、あ、でもな、カーネギーっていうてもあのカーネギーじゃなくて、おんなじビルの中にある、ちっちゃいホールの方ね」
って言い方したら、あんたはあんなに慌てて訂正しようとせんようになるん?と聞いてみました。
「いや、それもちゃうかも。っていうか、僕はどっちかっていうと、カーネギーっていう名前を出さへんタイプやから」
「カーネギーのどこがあかんの?」
「だって、あの大ホールこそがカーネギーって印象があるし、人がカーネギーって聞いたら、きっとあのイメージがパッと頭に浮かぶやろし」
「そやから、あの大きな方と違て、小さい方って話してるやん」
「けど、なんかやっぱりまうみの言い方は変に思う」

要するに、わたしがカーネギーっていう名前を安易に言い過ぎて、それが愚かな自慢話に聞こえるってことかなあ。

今までもあの場所で弾いてはきたけれど、誰かの伴奏だったり、しょうもない曲だったりして、いつか自分が選んだ曲を思い存分弾きたいと夢見ていたので、
ピアノ弾きとしては、自慢というより、あそこで弾けるのが単純に嬉しいっていう気持ちなんですね。
大でも小でも、あのホールにはあのホール独特の響きがあります。舞台は小さくても、弾いている間中、それはそれは幸せな気持ちになります。

ま、人はそれぞれ違うのだから仕方がありません。
でも、旦那の言い分も聞いて、少し時間をかけて、おバカな自慢屋になっていないかどうか考えてみようと思います。


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初パソコン電話

2009年01月03日 | ひとりごと
このブログの発起人Kちゃんとその旦那さんのG君。ブルックリンから東京に転勤して丸2年が経ち、あと2週間で赤ちゃんが生まれます。

旦那が前々から彼らとチャットをしたいしたいと騒いでいて、今日やっとその願いが叶いました。

スカイプを使って話せるようになった日本の友達。
いつもなんだか照れ臭くって、パソコンのモニターの前に、妙にかしこまって座ってしまうわたし達。
向こうはお昼だとこっちは夜。こっちがお昼だと向こうは夜。
けれども、今度はワインでも飲みながら話そうよと約束しました。
なにも変わらなくて、ブルックリンで住んでいた頃の本棚とかが後ろに見えて、元気そうで幸せな彼らを見ていると、とても嬉しくなりました。

G君は某、超有名証券会社のやり手社員、Kちゃんはとてもセンスのいい映像を作るディレクター。
そして、生まれてくる赤ちゃんにはきっといいお父さんお母さんになるふたり。
わたしはまた、孫が増えるおばあちゃんの心境です。

あと2週間、身ひとつの、あのなんともいえない温かな一体感を楽しんでね。
身ふたつになった途端、どうしようもなく愛おしい、けれども寝不足の元になる赤ちゃんとの毎日が待ってるからね。






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いいかげんがいい

2009年01月03日 | ひとりごと
「がんばらない」、「あきらめない」、「それでもやっぱりがんばらない」、「なげださない」、「いいかげんがいい」。

鎌田實さんというお医者さんが書かれた本の題名です。

彼自身がついつい頑張り過ぎる性格であったために、いろいろな障害が生活に出て、心身ともにこれはまずいんじゃないかという状態になった時、
自分自身を諌めるつもりで書かれた「がんばらない」という本。その本が発端となり、次々と新しい本が書かれることになったそうです。


先日、お正月の挨拶電話で母と話していた時、3才年上の、子供の頃はよく双子かと周りの人から言われたほどの仲良しだった従姉の話が出ました。

彼女には3人の子供がいて、どの子もみんな成人しているのだけれど、家から出ることもなく、3人とも会社勤めをしています。
夫はのらりくらりと仕事先を替え、収入も少ないので、その分を補うべく、近くのカラオケ屋さんに勤めに出ています。
もともとてきぱきと家事をこなし、特に料理の手際は見事な彼女。短い時間で何種類もの美味しいおかずを作り、片付けも同時に終えてしまう。
なので、ついつい自分が自分がと先に動いてしまうし、人に任せることもできない性分も加わって、朝早くから夜遅くまで働きっ放し。

今も家族分のお弁当を(冷凍食品を一切使わずに煮物揚げ物を何品も)作り、カラオケ店の店長を夜遅くまでやり、帰ってから急いで夕飯作りの毎日です。

もうみんなが大人なんだから、夕飯ぐらい手分けして作らせないと、と周りの者が言っても、やっぱり勝手が違うからと、苦笑いして聞きません。
ひとりっ子の彼女は、両親を早くに亡くし、今の家族が彼女にとって唯一の家族。
なので、子供がいつまで経っても独立しなくても、そっちの方が本当は嬉しいのだとポツリと言ったことがありました。

無理をし続けてきた彼女は、年々痩せ細り、とうとう膠原病を発病させてしまいました。母親もその病で亡くなっています。
彼女の母親の妹であるわたしの母も、随分前に膠原病にかかってしまいました。
なので母は、彼女にも、娘のわたしにも、50を過ぎてから無理し過ぎたら絶対にあかん。頑張ったらあかん。と事あるごとに言うようになりました。

いいかげんにしなさい!
よく叱られる時に言われたこの言葉。
いつも命令形で耳にしてきたものだから、なんだか反抗的に聞いていましたが、よくよく考えてみると、とても深い意味があったんだなと気がつきました。

子供の頃、思春期の頃、若い大人だった頃、辛いことや、自分ではどうしようもない理不尽な事が起こるたび、
空を見上げて「ええやんか別に」とつぶやいてきました。

がんばってもしょうがない。けれどもあきらめたらあかん。なげだしてもあかん。

けど、上を見ても、周りを羨んでも、これはわたしに起こると決められた事なんやからしょうがない。ええやんか別に。

「いいかげんがいい」

今年、ぜひ読んでみたい本です。

コメント (2)
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