ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

Invictus(不屈)

2009年12月26日 | ひとりごと
マンデラ元大統領。南アフリカ初の黒人大統領。アパルトヘイト体制を平和的に終結させて新しい民主的な南アフリカの礎を築いた人。

『Invictus』にはいろんな感動的な場面がありましたが、最も胸を強く打たれたのは、彼が27年半もの間(約10,000日)暮らした刑務所の部屋を見た時でした。
(1962年8月に逮捕される。1964年に国家反逆罪終身刑となりロベン島に収監される。1982年、ケープタウン郊外のポルスモア刑務所に移監)
映画に出てきたのは、ケープタウン郊外の刑務所の方で、ここには息子達二人ともが、旦那の両親に連れられて行った旅行中に実際に行って見ています。
大人が両手を広げたら両端の壁に届くような狭い部屋のコンクリートの床に、薄い毛布のようなものが敷かれているだけの寝床。それに一脚の椅子。
そこで、わたしの人生の約半分の年月を過ごし、労働し、犯罪者として扱われてきたこと、その過酷な運命をもたらした者や社会を許すことができた人。

その心の強さ、大きさ、深さは、I am the master of my fate. I am the captain of my soul.という彼の信念が作り上げていったのでしょうか。

わたしはほんとに、どこまでちっぽけな人間なのか。
自分が許せていない人や物事を、どうにかして許そうともがいているだけで、それが一向に前に進まないまま、忙しさを理由に放ったらかしにしています。
いい人ぶっているけれど、ほんとはつまらない、勇気の無い、グズグズうじうじしているだけの人間だと、この映画を観て思いました。
というより、人を許す、などという思いそのものが、奢っている証拠です。

I am the master of my fate. I am the captain of my soul.(私は自らの運命の師であり、私は自らの魂の指揮官なのだ)

あの最も辛い時期を生きていたわたしの中に、この言葉とよく似た思いがありました。
あの時に山ほどの人や物事を許し認め受け入れていたわたしが、今はすっかり甘やかされて情けない大人になっていました。
そんなわたしに、柔らかだけど、みぞおちに深く食い込むパンチを打ってくれた映画でした。
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啄木鳥(きつつき)のお告げ

2009年12月26日 | 家族とわたし
昨日、クリスマスの日の夕方、台所に居たTが、「びっくりした!啄木鳥が窓ガラス叩いてた!」と言いながら居間に入ってきました。
残念ながら、啄木鳥はもうどこかに行ってしまって見られなかったけれど、
啄木鳥が窓枠につかまって、透明の窓ガラスなどを叩く、なんてことがあるんでしょうか?
わたしはもう、得意の夢想の世界に入り込み、神様からのメッセージを知らせにうちにやってきてくれたお使い啄木鳥の話を作り始めていました。

旦那はその頃からハナタレが治まり、微熱はあるものの、少しだけ楽になったような顔をしていました。
そして夜は激しく咳き込むこともなく、朝7時ぐらいまでよく眠り、今朝は昨日までのことが嘘のように、本調子ではないものの、だいぶ元気になりました。
部屋の隅のわたしが掃き残している埃や、ドアの枠などの汚れを、いきなり掃除機で吸い始めた時には、菌が脳に侵入したか?!とかなり心配しましたが……。

旦那はお世辞で、「昨日のまうみのマッサージが効いた」などと言ってくれるけど、わたしはもう啄木鳥さんに大感謝!

結局、旦那とわたし達が一緒に暮らし始めてからの歴史の中で初めての、家族4人だけで、だらだらとのんびり過ごせたクリスマスになりました。

今日もあと一日念のためにゆっくり……と思いきや、「みんなで映画を観に行こう!」と張り切る旦那。ええんかいな~と二の足を踏むわたし。
「菌はボクの身体の中で完全燃焼され、菌自身も大満足なので、もう他の人のところには行かないし、他の人の菌もボクにはもうかなうまい!」
ほんまかいな……

ということで、冷たい雨降りの中、近くの映画館に行って、クリント・イーストウッド監督の『Invictus』を観ることになりました。
『Invictus』はラテン語で『不屈』とか『決して負けない』とかの意味だそうです。
マンデラ大統領役をモーガン・フリーマンが、南アフリカのラグビーチームのキャプテン役をマット・デイモンが演じる、事実に基づいたお話です。
このお三方、我が家4人ともにとても好きな役者さん達なので、見逃すわけにはいきません。
また後日再演されることが決まってホッとした、マイケルの『This is it!』が始まるまでのつなぎに観に行く、なんてこと言うのは失礼?かもしれませんが。

この1週間、いろんなことが続いてすっかり心配をかけてしまいました。
みなさんのお気持ち、それはそれは嬉しかったです。
本当にありがとうございました。←雨降って地固まったと思い込んでる旦那の図。ほんとだったらいいのだけれど……
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