旦那は、難しい患者さんの治療に当たる時、部屋の中によくショパンのマズルカを流すそうです。
難しいというのはいろいろで、それは身体の症状としてだったり、心の問題としてだったり、時には、その人のおしゃべりがどうしても止まらなくて、治療を始めることができなかったり、まあそんな感じです。
これまでいろんなジャンルのいろんな曲想の音楽を試したそうですが、彼なりに法則が見つかったようで、その使い分けは大抵の場合成功しています。
今夜、夕飯を食べていると、旦那が急に、「ボク、マズルカ弾けるかな?」と言い出しました。
「まあ、根気があったら」とかなり冷めたトーンで答えるわたし。
なぜかというと、これまでも何回か、「あ、その曲弾きたい」と言い出して、ちょっとトライしたことがありましたが、なんとか読めるト音記号は良しとして、読めないヘ音記号のパートがちょっと難しかったりするとギャ~!無理っ!……2小節以上進んだことがありません。
「やる気だけではあかんねん、ピアノは」と、傷口にさらに塩を塗り付ける冷酷無比な妻。
こんなことは口が裂けても生徒達には言いませんけどね。やっぱり教師やってる時の自分と妻の時の自分って違うんやぁ……と我ながらに感動しました。
ところが今回はどうも、ちょっと本気っぽいです。わたしのイケズにも全然動じません。
「ギターもずっとワンパターンになってきたし、だいたいこんな毎日毎日ピアノの音が耳から入ってるボクが、なんにも弾けへんってのは悲し過ぎ!」
そうか、そこまで言うのなら……と、わたくし、ちょっと真面目に考えてみました。
「ほな、ショパンはショパンでも、プレリュードはどや?」
「なにそれ?」
「まあそら、プレリュードいうてもピンからキリまであるけど、ほれ、こないだの発表会でトムが弾いたやつ、あれやったら不可能ってこともない、かも……」
そこで、早速楽譜を開いてお手本演奏。おっほん!
曲は、『プレリュード6番』、Lent assaiです。
シャープがふたつもついているけれど、別にそれは彼にとっては問題にならないようです。ふぅ~ん……変なの?
左手の音の読み方のヒントを数個与えて、わたしは食器を洗いにキッチンに。
旦那の孤独な挑戦が始まりました。
ふんふん、今夜はガオォ~もギャ~も聞こえてきません。1小節が終わり、なんと2小節目に突入です!
おっ、ついに飽きたな?ロ短調のスケールを使って、彼の十八番のブルース風自作曲を演奏し始めました。
いつもはこれが始まったらおしまい。が、しかしっ?!今夜は違いました。再びショパンに戻りました。すごい!奇跡だ!
「すごいすごい!やるときゃやる!かっちょええ!」と褒めちぎる妻。
「ふふん、なかなかおだてるのうまいやん」と、鼻の穴がヒクヒクの旦那。
結局、最初の1段全部を弾ききった彼に、残りをもういっぺん全部弾いてと頼まれたので、サービスして2回、通しで弾きました。
もしかしたらもしかするかも……。
難しいというのはいろいろで、それは身体の症状としてだったり、心の問題としてだったり、時には、その人のおしゃべりがどうしても止まらなくて、治療を始めることができなかったり、まあそんな感じです。
これまでいろんなジャンルのいろんな曲想の音楽を試したそうですが、彼なりに法則が見つかったようで、その使い分けは大抵の場合成功しています。
今夜、夕飯を食べていると、旦那が急に、「ボク、マズルカ弾けるかな?」と言い出しました。
「まあ、根気があったら」とかなり冷めたトーンで答えるわたし。
なぜかというと、これまでも何回か、「あ、その曲弾きたい」と言い出して、ちょっとトライしたことがありましたが、なんとか読めるト音記号は良しとして、読めないヘ音記号のパートがちょっと難しかったりするとギャ~!無理っ!……2小節以上進んだことがありません。
「やる気だけではあかんねん、ピアノは」と、傷口にさらに塩を塗り付ける冷酷無比な妻。
こんなことは口が裂けても生徒達には言いませんけどね。やっぱり教師やってる時の自分と妻の時の自分って違うんやぁ……と我ながらに感動しました。
ところが今回はどうも、ちょっと本気っぽいです。わたしのイケズにも全然動じません。
「ギターもずっとワンパターンになってきたし、だいたいこんな毎日毎日ピアノの音が耳から入ってるボクが、なんにも弾けへんってのは悲し過ぎ!」
そうか、そこまで言うのなら……と、わたくし、ちょっと真面目に考えてみました。
「ほな、ショパンはショパンでも、プレリュードはどや?」
「なにそれ?」
「まあそら、プレリュードいうてもピンからキリまであるけど、ほれ、こないだの発表会でトムが弾いたやつ、あれやったら不可能ってこともない、かも……」
そこで、早速楽譜を開いてお手本演奏。おっほん!
曲は、『プレリュード6番』、Lent assaiです。
シャープがふたつもついているけれど、別にそれは彼にとっては問題にならないようです。ふぅ~ん……変なの?
左手の音の読み方のヒントを数個与えて、わたしは食器を洗いにキッチンに。
旦那の孤独な挑戦が始まりました。
ふんふん、今夜はガオォ~もギャ~も聞こえてきません。1小節が終わり、なんと2小節目に突入です!
おっ、ついに飽きたな?ロ短調のスケールを使って、彼の十八番のブルース風自作曲を演奏し始めました。
いつもはこれが始まったらおしまい。が、しかしっ?!今夜は違いました。再びショパンに戻りました。すごい!奇跡だ!
「すごいすごい!やるときゃやる!かっちょええ!」と褒めちぎる妻。
「ふふん、なかなかおだてるのうまいやん」と、鼻の穴がヒクヒクの旦那。
結局、最初の1段全部を弾ききった彼に、残りをもういっぺん全部弾いてと頼まれたので、サービスして2回、通しで弾きました。
もしかしたらもしかするかも……。