最近、なにかというと、まるで友達のように「トニーは」とか「トニーやったら」とか言う旦那。
(注)トニーさんは『ダーリンは外国人』の漫画の主人公さんです。
最初のうちは、トニーなんていう名前の知り合いおったかいな?……と、焦って顔を思い出そうとしたりした。
旦那の頭の中では、今やトニーは大流行り。なにかと勝手に自分と彼を比べている様子。
今朝も彼の名前が出た。話の流れで、わたしがふと「それはKYやな」と言うと、「KYってなに?」とすかさず聞き返された。
「え?KY知らんかった?」
「知らん」
「そんな~、KYキングのあなたが……」とここまで言って後悔した。後悔先に立たず……。
いつ頃から流行ってたのか、どういう意味か、ひとしきり説明させられた。すると、
「なんでボクがKYキングなわけ?」
「いや、なんちゅうかほれ、周りのノリからよう外れてることあるやん」
「言っとくけど、ボクは断固としてKYとちゃうで。空気は読んでるけど、合わせへんだけ!」
はぁ~?
いや待てよ。旦那が言うてることは正しい。確かに、空気を読んではいる。けど、辛抱とか合わせるとかいうのが思いっきり苦手な上に、『イマ、ボクハ、トッテモタイクツデス』とか、『ドォ~シテソンナ、アホラシイコトデ、エンエントハナシヲツヅケラレルノカ』とかいう字幕がおでこやほっぺたの周りにこつ然と現れる男だからである。
今夜は久しぶりに、旦那とふたりで、歩いて行けるベルギー風カジュアルバーで夕飯を食べた。
ベルギーのビールとムール貝と野菜サラダ、それからムール貝にくっついてくるフライドポテトだけでお腹がいっぱいになった。
そろそろ終わりという時に、店から出ていく客を見た旦那が「あっ!ケンッ!」と言って追っかけて行った。
旦那のオフィスと同じビルで『Forgiveness』(許すこと)というセラピーを行っているセラピストのケンだった。
彼は確か、ここから車で30分ほど離れた町で住んでいたと記憶しているが、彼の話を聞いていると、週に一回はここに来て飲んでいるようだ。
なのですっかり馴染みになっていて、「この店は働いている人達もとてもアットホームで優しくて、食べ物だって美味しくて安くはないけど高くはない」とかなりの褒め様。ふむ……なにか解せない。
彼と別れて店を出た。
「あのさ、もううすうすわかってるとは思うけど、彼、離婚してん」
え?離婚って……30年は連れ添っているはずやろに……。
う~ん……彼はいったい、パートナーである奥さんにとって、どんなふうにKYだったのだろう。
許すことをテーマにあちこちで講演したり本を書いたりしている、そのことのエキスパートの彼も、実生活ではなかなかうまくいかないことがあったのだろうか。
これは全くのステレオタイプの想像だけど、「わたしはあなたの患者じゃないわっ!」とヒステリックに叫ぶ奥さんの真似をすると、旦那がゲラゲラ笑った。
この台詞は、セラピストの夫を持つ妻が、なにかというと分析したがる夫に腹を立てて文句を言うシーンによく使われる。
なかなかに人生を考えさせられる一日だった。
(注)トニーさんは『ダーリンは外国人』の漫画の主人公さんです。
最初のうちは、トニーなんていう名前の知り合いおったかいな?……と、焦って顔を思い出そうとしたりした。
旦那の頭の中では、今やトニーは大流行り。なにかと勝手に自分と彼を比べている様子。
今朝も彼の名前が出た。話の流れで、わたしがふと「それはKYやな」と言うと、「KYってなに?」とすかさず聞き返された。
「え?KY知らんかった?」
「知らん」
「そんな~、KYキングのあなたが……」とここまで言って後悔した。後悔先に立たず……。
いつ頃から流行ってたのか、どういう意味か、ひとしきり説明させられた。すると、
「なんでボクがKYキングなわけ?」
「いや、なんちゅうかほれ、周りのノリからよう外れてることあるやん」
「言っとくけど、ボクは断固としてKYとちゃうで。空気は読んでるけど、合わせへんだけ!」
はぁ~?
いや待てよ。旦那が言うてることは正しい。確かに、空気を読んではいる。けど、辛抱とか合わせるとかいうのが思いっきり苦手な上に、『イマ、ボクハ、トッテモタイクツデス』とか、『ドォ~シテソンナ、アホラシイコトデ、エンエントハナシヲツヅケラレルノカ』とかいう字幕がおでこやほっぺたの周りにこつ然と現れる男だからである。
今夜は久しぶりに、旦那とふたりで、歩いて行けるベルギー風カジュアルバーで夕飯を食べた。
ベルギーのビールとムール貝と野菜サラダ、それからムール貝にくっついてくるフライドポテトだけでお腹がいっぱいになった。
そろそろ終わりという時に、店から出ていく客を見た旦那が「あっ!ケンッ!」と言って追っかけて行った。
旦那のオフィスと同じビルで『Forgiveness』(許すこと)というセラピーを行っているセラピストのケンだった。
彼は確か、ここから車で30分ほど離れた町で住んでいたと記憶しているが、彼の話を聞いていると、週に一回はここに来て飲んでいるようだ。
なのですっかり馴染みになっていて、「この店は働いている人達もとてもアットホームで優しくて、食べ物だって美味しくて安くはないけど高くはない」とかなりの褒め様。ふむ……なにか解せない。
彼と別れて店を出た。
「あのさ、もううすうすわかってるとは思うけど、彼、離婚してん」
え?離婚って……30年は連れ添っているはずやろに……。
う~ん……彼はいったい、パートナーである奥さんにとって、どんなふうにKYだったのだろう。
許すことをテーマにあちこちで講演したり本を書いたりしている、そのことのエキスパートの彼も、実生活ではなかなかうまくいかないことがあったのだろうか。
これは全くのステレオタイプの想像だけど、「わたしはあなたの患者じゃないわっ!」とヒステリックに叫ぶ奥さんの真似をすると、旦那がゲラゲラ笑った。
この台詞は、セラピストの夫を持つ妻が、なにかというと分析したがる夫に腹を立てて文句を言うシーンによく使われる。
なかなかに人生を考えさせられる一日だった。