旦那が、兼ねてからの念願だった、この夏初めての海水浴に行った。
本当はわたしも一緒に連れて行きたかったみたいだけれど、体調がいまいちだったのと、レッスンが一こま入っていたこともあって、謹んでお断りをした。
友人Tとふたり、ここから車で1時間弱の所にある海岸に行き、ピカピカの真っ白い肌にオレンジの海水パンツをはいてどっぶ~ん
。
そしてなぜだか旦那は、親切にも、暑さにうだっていた携帯電話くんにも、海の水に浸からせてあげたようだ……
旦那とわたしと息子Kが一緒にファミリーパックで契約している携帯は、契約時に何十ドルか出して買った物でおそろいなのだが、使い方の違いからか、わたしのはまだ新品同様、Kのはそれなりに傷だらけ、旦那のはもう、見るも無惨な、ガムテープ貼られまくりの、よくもまあ生きていることよ……と誰をも感動させる姿に変わり果てていた。で、なぜか海水浴
……気の毒にもほどがある。
全く機能しなくなった携帯電話は旦那の仕事の必需品。患者さんとの架け橋だ。
こんなことがなくても、携帯電話をそろそろ替えなければならない時期が来ていた(いや、もうとっくの昔から)のだからと、さっそく電話会社を調べ出す旦那。
前々からiPhoneを狙っていた彼は、いきなり「iPhone4を買おう
」と言い出した。
へ

あのですねえ、あの電話はいろいろまだ問題を抱えたまま発売されてんでしょ?
例えば、電話をかけようとして電話本体をただ普通に持っているだけなのに、受信バーがどんどん減ってくるとか……。
ほんでもって、こともあろうに、それはあんたの握り方が悪いのです、なんて会社側は強気なコメントを出してたりしてたじゃん。
しかも、最近では、受信バーのことだけじゃなくて、アップロードの速度までめちゃ遅くなる……なんてなこと言い出してるし……。
これはとりあえず無視するほうがよかろう……。
事が進まないまま1日が過ぎた。
翌々日の朝、旦那が至極感心している様子で、わたしに一通のEメールを見せてくれた。
それは息子Kから旦那に送られてきたものだった。
『今現時点で、iPhone4を買うのは短絡過ぎると思う。もう少し様子を見ながら待ち、問題が出尽くし、それに対するきちんとした対応が為され、その後に出たiPhoneを手に入れることを勧めたい。
もし、仕事上、今すぐに携帯電話が必要ならば、Tがつい最近新しい携帯を手に入れたので、彼の古い携帯を一時的に使えばいいと思う』
内容もさることながら、それはそれは自然な、大人のアメリカン男性が書いたとしか思えないような完璧な英語で書かれていた。
Kがこんなしっかりした、しかもネイティブとしか思えないような英語で……と、旦那は感慨も深げに読み返していた。
そして昨日から、旦那はTの、Tが誰かからお下がりでもらったという、とても古い携帯電話を使っている。
iPhoneユーザーにはなり損ねたけれど、なんとなく満足げな様子。
息子に理路整然と嗜められたこと、しかもその文章が完璧で自然な英語であったこと。
きっと旦那は、3才だった、英語なんてただの一言も話せなかったチビKのことを思い起こしているに違いない。
肩の上に乗っかったKの、堅太りした両足首をしっかり掴みながら、幼稚園に送り迎えしていた頃の自分を思い出しているに違いない。
海に浸けられて壊れてしまった携帯電話くん、ごめんね。そしてありがとう。おかげでまたひとつ、Kのいいところを見つけることができたよ。
本当はわたしも一緒に連れて行きたかったみたいだけれど、体調がいまいちだったのと、レッスンが一こま入っていたこともあって、謹んでお断りをした。
友人Tとふたり、ここから車で1時間弱の所にある海岸に行き、ピカピカの真っ白い肌にオレンジの海水パンツをはいてどっぶ~ん

そしてなぜだか旦那は、親切にも、暑さにうだっていた携帯電話くんにも、海の水に浸からせてあげたようだ……

旦那とわたしと息子Kが一緒にファミリーパックで契約している携帯は、契約時に何十ドルか出して買った物でおそろいなのだが、使い方の違いからか、わたしのはまだ新品同様、Kのはそれなりに傷だらけ、旦那のはもう、見るも無惨な、ガムテープ貼られまくりの、よくもまあ生きていることよ……と誰をも感動させる姿に変わり果てていた。で、なぜか海水浴

全く機能しなくなった携帯電話は旦那の仕事の必需品。患者さんとの架け橋だ。
こんなことがなくても、携帯電話をそろそろ替えなければならない時期が来ていた(いや、もうとっくの昔から)のだからと、さっそく電話会社を調べ出す旦那。
前々からiPhoneを狙っていた彼は、いきなり「iPhone4を買おう


へ


あのですねえ、あの電話はいろいろまだ問題を抱えたまま発売されてんでしょ?
例えば、電話をかけようとして電話本体をただ普通に持っているだけなのに、受信バーがどんどん減ってくるとか……。
ほんでもって、こともあろうに、それはあんたの握り方が悪いのです、なんて会社側は強気なコメントを出してたりしてたじゃん。
しかも、最近では、受信バーのことだけじゃなくて、アップロードの速度までめちゃ遅くなる……なんてなこと言い出してるし……。
これはとりあえず無視するほうがよかろう……。
事が進まないまま1日が過ぎた。
翌々日の朝、旦那が至極感心している様子で、わたしに一通のEメールを見せてくれた。
それは息子Kから旦那に送られてきたものだった。
『今現時点で、iPhone4を買うのは短絡過ぎると思う。もう少し様子を見ながら待ち、問題が出尽くし、それに対するきちんとした対応が為され、その後に出たiPhoneを手に入れることを勧めたい。
もし、仕事上、今すぐに携帯電話が必要ならば、Tがつい最近新しい携帯を手に入れたので、彼の古い携帯を一時的に使えばいいと思う』
内容もさることながら、それはそれは自然な、大人のアメリカン男性が書いたとしか思えないような完璧な英語で書かれていた。
Kがこんなしっかりした、しかもネイティブとしか思えないような英語で……と、旦那は感慨も深げに読み返していた。
そして昨日から、旦那はTの、Tが誰かからお下がりでもらったという、とても古い携帯電話を使っている。
iPhoneユーザーにはなり損ねたけれど、なんとなく満足げな様子。
息子に理路整然と嗜められたこと、しかもその文章が完璧で自然な英語であったこと。
きっと旦那は、3才だった、英語なんてただの一言も話せなかったチビKのことを思い起こしているに違いない。
肩の上に乗っかったKの、堅太りした両足首をしっかり掴みながら、幼稚園に送り迎えしていた頃の自分を思い出しているに違いない。
海に浸けられて壊れてしまった携帯電話くん、ごめんね。そしてありがとう。おかげでまたひとつ、Kのいいところを見つけることができたよ。