ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

米国郵便局事情

2009年01月22日 | 米国○○事情
息子Tへの『お楽しみボックス』を送りに、近くの郵便局に行ってきました。
その郵便局は、この町の中では一応一番おっきな局で、受付の窓が5つあります。
10年ほど前に、同じ町の違う郵便局で強盗殺人事件があり、局員とそこにたまたま居合わせた数人の客が命を奪われた後、
なぜかその事件のあった局ではなくて、わたしが今日行った局に、ものすごく厳重な防犯窓が設置されました。
小包などを頼もうものなら、分厚い防弾壁(もちろん透明)を、窓を押し上げるかのごとくおっこらしょと持ち上げ、包みを中に押し込まなければなりません。

その郵便局はいつも混んでいるので有名です。
なので、町の人間はたいてい覚悟して行くし、待ち時間を逆算して、次の用事に差し支えの無いように計画を立てます。
わたしもいつもの例に習い、早めに用心して出かけました。

あれ?なんか空いてる。嬉しい誤算です。
窓口が5つありますが、多くて3人、いつもは2人、暇そうだったら1人(たま~に滅茶苦茶混んでるのに1人とかの時もありますが)、
今日は空いているのに2窓も局の人が受け付けていて、ラッキー!と心の中で言いながら列の後ろに立ちました。

こちらに来てから何が変わったかって……なんといっても1番は、レジやなにかの登録などの順番待ちに費やす時間に腹を立てなくなったことです。
スーパーで、デパートで、電車の切符売り場で、免許証の切替えで、理不尽なほどにスローモーションで動く係の人達を見ても、びっくりしなくなりました。
10分、20分、たまには40分とか待たされている間に、列の前後左右の人達といろんな話をしたり、買おうとしている物を比べっこしたり、
それなりに楽しめるようにアレンジするのもまたアメリカン。

なんてなことを言いながら、前回日本に行った際に、JR線乗り放題というレールパスを買って新幹線を利用しまくったのですが、
切符売り場の係の人があまりに敏速に対応してくれるのを見て、不覚にも涙ぐんでしまったわたし。
なんでもそうですね、ありがたみというのは、外に出て、離れて、苦労し、驚き、愕然とし、そうして初めて感じるのですね

なのでこんなことにも、とても感謝できる自分になったと、ある意味感動しながら窓口に行くと、
「次の方ぁ~」と、早くもわたしの後ろに並んでいた男性が呼ばれました。
わたしもそれなりに驚いたので、後ろを振り向くと、その男性がものすごくびっくりした顔で、手のひらを壁に押し付けて、『僕はここから動かんぞ~ポーズ』で壁に貼り付いています。
「あ~びっくりした!ここでは長~い時間待つ癖ついてるから、そんな早く呼ばれたら心臓に悪いじゃないか~」と彼が言い、局内大爆笑!

遅くても早くても、楽しいアメリカの暮らしのひとこま。




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殺人事件

2009年01月21日 | 家族とわたし
ついさっき、息子Tに、渡すのを忘れていた書類を入れたお菓子箱を送るね~なんてのんびりチャットしていたら、

「あんな~、また殺された。物騒やわ~」と、ホワ~っと返事が返ってきました。

お願いやから部屋の中から出んと、思いっきり鍵しまくって!!と、叫び声付きの返事を送ったところです。

あの大量殺人事件が起きた後、緊急事態が発生すると即座に全生徒の携帯とメールに連絡がいくようになっていて、今夜はそれで知ったようです。

今、スカイプで旦那とTと3人で話しています。
ええと、犯人は捕らえられたそうですが、何人がいたのかは不明なので、生徒達には非常態勢のまま待機との連絡が入っているようです。

今、こちら時間、21日水曜日の夜8時45分です。

まったく……心配です……。

などと言っている時に、学校を終えた息子Kが戻ってきました。

「なあ、Tの大学、今度は刺し殺されたみたいやで」
「え、あ、オレんとこもそういやあった」

はぁ~?!

よくよく聞いてみると、彼が大学の駐車場に車を止めようとしていたら、ものすごい勢いでパトカーが突入してきて、
びっくりして様子を伺っていると、どうやら駐車場の車に悪さをしている男がいて、それを阻止しようと数台のパトカーがやってきたそうです。
それで、その男は警官に追いつかれ、よせばいいのにかなり体当たりなどをして抵抗したみたいです。
それで、ドギュンと肩を撃たれて倒れたそうな……なので死んだりはしていませんが、それでも学生の居る駐車場で……。


少し前の話になりますが、友人の息子があるパーティに行き、ひどく酔っぱらった末に、なにやら怪し気な薬を飲んで、急におかしくなったまま車を発進させてしまったそうです。
周りの学生は必死に止めようとしたけれど、もう彼は完全に妄想の中に居て、誰の制止も聞かず、ものすごいスピードで町に出てしまいました。
それから彼は、とても恐ろしい化け物に追いかけられていると思い込んだまま、道を滅茶苦茶に走り、高速を逆走し、追いかけてきたパトカーにも抵抗し、
挙げ句の果てには車から降りて、駆けつけてきた警官に暴力で反抗したのでした。
裁判になり、危うく刑務所送りになる一歩手前でしたが、知り合いから紹介してもらった敏腕弁護士に助けてもらい、なんとか決着をつけたそうです。
友人は、その際に弁護士に言われた言葉が忘れられないと言っていました。
「あのね、あなたの息子、体も小柄な方だし、アジア人だから死なずに済んで良かったんだよ。もし体格のいい、それも黒人だったりしてごらん、絶対に正当防衛とかで殺されちゃってるんだからね」と、真剣な顔して言われたそうです。
その弁護士は、それまで毎日毎日、イヤというほどの数の、そういう種類の事件や問題を担当しているそうです。
なので、その真実の言葉を聞いて、背筋がゾッとしたと彼女は顔をしかめて言っていました。

Kの大学の事件を聞いて、すぐにそのことを思い出しました。

実際の暮らしの中には、まだまだこんなことがいっぱい存在しています。

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ボランティア精神

2009年01月21日 | 家族とわたし
毎週水曜日の朝8時45分、YMCAのロビー奥にある一室に集合して、体重を測定しなければなりません。
え?なによそれ?って……『チームメリッサ』、です。

ちょっとあんた、やめたんちゃうの?
はい、やめようと決めてトレーナーに言いに行ったのは行きました。
「チームの1員として考えて。あなたのペースで、ポイントで皆に迷惑かけたらどうしようとか、そんなこと考えなくていいから。1度決めて始めたこと、そんな簡単に止めようと思わないで」

「1度決めて始めたこと、そんな簡単に止めないで」この言葉がズッシンと響きました。
他の6人のメンバーも、「ゴチャゴチャ考えてないで、まうみペースまうみペース!」と、シャレのつもりで励ましてくれました。

なので、実は続けています。完璧まうみペース(でんでん虫ペースとも言える)なので、デジタルの数字は悲しいほどに同じ所を彷徨っています。

前置きのつもりが長くなってしまいました。

今日は、そのYMCAの建物の中のあちこちで、いったい自分には何ができるのか、どんなふうに役に立てるのか、という話をしている大人がいっぱいいました。
きっと、一昨日のキング牧師の記念日、そして昨日のオバマ大統領の就任式からの影響だと思います。
奉仕の精神を今一度深く思い起こし、自分が社会に、地域に、家族に対して、いったいどういったことができるのか、具体的に考えよう。
そういうエネルギーに満ちあふれていました。

まあね、一昨日の昨日、昨日の今日だからね。
そう言ってシラケている人ももちろんいるだろうけど、二日坊主でも三日坊主でもいい、そういう人が毎日毎日どこかで現れたら……。


さて……、
歴史上に残るような大きな出来事が起こったのと同じ時に、わたしの家族(こちらではなく日本に暮らす人達です)にも大きな変化が起こりました。
あまりにややこしく、暗く、ねじれているので、そのことを考えただけで、胸にどんよりと重い雲がかかります。
本当はちっともややこしくなんかないのだけれど、その問題の中心にいる人達それぞれが心を閉ざしたまま、自分自身のことさえ理解しようとしないので、
物事はどんどん暗く、辛く、陰湿で恨みがましくなっていきます。
自分ほど可哀想な人間はいないと信じている3人が作るトライアングルの真ん中に立っていると、そのマイナスのエネルギーに溶かされてしまいそうです。

なので、キング牧師とオバマ大統領に救われました。
彼らが直面した問題に比べりゃ、こんなのなんぼのもんじゃい!って思いたい。
けれどもわたしは、とてもちっぽけな人間なので、この程度のことでも思いっきり落ち込んだり、旦那に優しくしてあげられなくなったりします。

いったいわたしに何ができるのか。
何もできないかもしれません。何かしたらもっとこじれてしまうかもしれません。
2日間、ちゃんと眠れないほど落ち込みましたが、今日はプラスのエネルギーをYMCAに居た大人達からもらったからか、少し浮上できたような気がします。

わたしには世界を良くする力は無いけれど、もしかしたら、世界の1番もとになる家族を、せめて崩壊してしまわないように支えることができるかもしれない。
なかなか大変なことなので、体も心もいつもよりしっかりさせておかないと、こちらが先に参ってしまいます。
ちゃんと食べてちゃんと寝る。まずこれができなきゃ話になりませんね。




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米国大統領就任式事情

2009年01月20日 | 世界とわたし
座りたい席に座れず、食べたいレストランに入れず、学校でも乗り物でも分け隔たれ、投票することもできなかった歴史を背負う黒人。
ただ肌の色だけのことで、長い長い間のあからさまな差別に晒され続けた人々。
実際に経験した人、経験した人を家族に持つ人、経験した人の話を聞いた人、
その人々にとって、今日のオバマ大統領の誕生の意義は、いったいどういうものであるのか、
その深さ、その強さ、その大きさは、わたしの計り知ることではないけれど、
今日、2月20日、午後12時(実際には式典の進行が少し遅れて12時過ぎになりました)、アメリカ史初の、アフリカンアメリカンの血を継ぐオバマ氏が、第44代アメリカ合衆国大統領に就任しました。

毎日カレンダーを見ながら日数を数え、テレビニュースの画面の隅っこに映る、就任式まであと○○日、という表示を見つめ、
今日という日を待って待って待ち望んでいた人は、きっとこのアメリカだけに限らず、世界のいろんな国にもたくさんいただろうと思います。

演説を必死で聞いたけれど、やっぱり難しくて、さきほど日本の新聞の翻訳を読みました。
この国に住む大人として、襟を正し、背を伸ばし、奥歯をぎゅっと噛み締め、深呼吸をして、さまざまな危機を乗り越えるための覚悟をしなければなりません。
それは自分のためでもあり、自分の子供達のためでもあり、自分の子供達の子供達のためでもあり、そしてこの星に住むすべての人達のためでもあります。

違いを尊重し、自分のことのように他人のことを想える人や地域や会社やグループが増え、壊すより建てる、恵むより育てる支援が当たり前になる。
そんな、誰にも優しく住みやすい世界がこの星いっぱいに存在する未来への第一歩。

なんだか大げさで、鼻で笑われてしまいそうな思いが次々と浮かんできます。
今日はそういう日。そういう思いを抱きたくなる日。
そして明日から、そういう思いを少しずつ、ほとんど目に見えないほどわずかでもいいから、実際に実行していかなければなりません。
そしてそれは、自分の意志から始まることで、自分の頭を使って考えることで、長く続けていくことでなければなりません。

素晴らしい一瞬を、この目で見ることができた幸運を感謝したいです。














P.S.
日本のニュース映像にもその音は入っていたでしょうか?
ブッシュ前(←とうとうこの字を使えた!)大統領が会場に現れた時、ブーイングが激しく起きました。
車椅子に乗ってヨボヨボと現れたチェイニー前(←あ~気持ちええわ~!)副大統領の姿も相まって、彼らにとうとう天罰が下ったような気がしました。

もうひとつ、ニュースでチラッと耳にしたこぼれ話を。
あるテレビクルーが取材をしている間の出来事です。
セレモニーが行われている会場の裏側に、ブッシュ夫妻が退散するためのヘリコプターが待機していたのですが、
どうやらそのヘリ付近まで足を延ばして呑気に取材していたスタッフの男性が、
いきなり警官に腕を掴まれ、「いったいこんな所で何をしているんだ!」と厳しく詰問されたそうです。
驚いたその男性が「あの、ええと、こちら側はどんなふうになっているのか、それをちょっと取材しようと思っただけで……」と必死で弁解していると、
「あともう数歩歩いていたら、君は今頃そこに倒れているところだった。ここはスナイパーの標的になっているんだよ」と静かに忠告を受けたそうです。
それを局内で聞いてたキャスターさん、「もしかして君のおでこに、赤い点が何個もついてなかった?ワハハハハ!」って……、
それって映画でよく見る、標的を絞るレーザーのことですよね。おいおい、それって笑い事か?
とってもアメリカンな放送風景でした。




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Martin Luther King, Jr. Day

2009年01月19日 | 世界とわたし
今日は「マーティン・ルーサー・キング・デー」(Martin Luther King, Jr. Day)です。
キングの誕生日(1月15日)に近い毎年1月第3月曜日をとして祝日としていて、学校や金融業界が一斉に休みになります。


“I have a dream.That one day on the red hills of Georgia. the sons of former slaves and the sons of former slave-owners will be able to sit down together at the table of brotherhood.”
(私には夢がある。いつの日か、嘗ての奴隷の子達と、嘗ての奴隷の所有者達の子達が、兄弟愛というテーブルで席を共にできることを)
の演説がとても有名ですが、その実現がこんなに早く訪れることを、彼は知っていたのでしょうか?

1963年8月、キング牧師が「わたしには夢がある」と演説し、「人間が肌の色ではなく、内なる人格によって評価される社会」の実現を訴えた場所(ナショナル・モール)で、明日、オバマ氏の大統領就任式が行われます。

「とうとうだね、明日だね」
町のあちこちで、知り合い、見ず知らずにかかわらず、挨拶代わりに交わされるこの言葉には、大きな安堵感と新しい試練への緊張感が入り交じっています。

キング牧師は明日、どの席に座っておられるのでしょうね。


昼から雪が降り始めました。初めは粉雪、夜には牡丹雪になりました。









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The Obama Train

2009年01月18日 | 世界とわたし


昨日、フィラデルフィアから、変革と連帯、そして忍耐と希望を乗せた列車がワシントンD.C.に向かって出発しました。

リンカーン大統領にちなんだ事柄があまりにも多いので、改めてリンカーン氏のことについていろいろ調べてみました。

彼は暗殺された大統領として最初の人でした。二期目に入った後、1865年の、なんとわたしの誕生日と同じ日に亡くなっていました。

いろいろな行事を笑顔でこなしていくオバマ次期大統領を四方から囲むようにして、一時も気を緩めずに前後左右を警戒しているシークレットサービスの方々のご苦労など、テレビの前でのんきに中継を観ているわたし達に分かるわけはありませんが、
でも、たとえそれが途方もない困難と集中力が要されることであっても、とにかく彼を、44代アメリカ合衆国大統領の無事を守り抜いて欲しいと思います。

44の数字は、日本のお年寄りの方々にはどう写っているのでしょう。
昭和の頃は、病院の建物の階に4階が無かったり、部屋番号に4番が無かったりしました。死を連想させるからだと聞いたことがあります。
わたしの親の世代ぐらいだと、そういう迷信っぽい事がまだまだいっぱい残っていて、それを固く信じている人達もいました。
だからでしょうか、わたしにもそういう思い込みや迷信めいたことが少し残っています。
例えば、今も家探しをしているのですが、家の番地が気になったりします。42とか96とか49とか、自分でもアホみたいとすぐに思い直すのだけど……。

数字の読みを漢字に変えて考えてしまうのは習慣のようなものです。なので、どうせ身に付いてしまっていることなら、漢字を変えたらいいじゃないか。
そこで、4を詩、または喜ぶ、9を駆、の字が浮かぶように練習してみました。
とても馬鹿げたことだと分かっているけれど、どうしてもやっちゃうことの一例です。

火曜日の就任式は、せめてテレビ画面の前で、アメリカの、そして世界中の人達と一緒に、ライブで観たいと思っています。
アメリカに暮らす者として、やっと胸を張れることが実現する日を前にして、改めて、途方もなく長かったこの8年間を思い起こしています。
今夜もこれから、就任お祝い行事を編集したニュース番組を観ようと思います。
今日も朝から雪が降り、とても寒いけれど、心の中はホカホカと元気です

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有罪か無罪か

2009年01月18日 | ひとりごと


旦那が嬉しそうな顔して、自分が作ったおやつを見せにやってきました。
あ……これは?!

1月恒例、黒豆ヨーグルト!!

わたしも食べたくなってキッチンに行くと、旦那も後から付いてきました。

冷蔵庫からヨーグルトと黒豆を取り出し、引き出しからスプーンを二つ取り出したところで、ある重大なことに気がつきました。

「ねえ君」二つのスプーンを手に持ち、旦那の方を振り返るわたし。
「へ?」カチャカチャスプーンを鳴らして食べる旦那。
「あのさ、君はまずヨーグルトを器に盛った……そうやんな」
「はい、そうです」
「それから黒豆をその上にデコレートした……そうやんな」
「はい、その通りです」

ダブルディッピング。または、ペロペロ舐めたスプーンでジャムやヨーグルトや、たま~にアイスクリームを食する癖がある旦那。
やってる本人はいたって平気なんだけど、見ているこちとらとしては気色悪い風景そのもの。
鍋は別です。ぐつぐつ煮たっているし、所詮細長い箸の先っちょの問題だから。
けれどもスプーンは表面面積が広い上に、いかにも舐めました、といわんばかりのテレテレとしたツヤ、あれがいけません。

尋問は続きます。
「そうすっとなにかい?君はまずヨーグルトを器に盛って、スプーンにどろっとついたヨーグルトをベロ~ンと舐め、その同じスプーンを黒豆に突っ込んだっつぅことかい?」
「はい、その通りです!あ、おっと待った!でも、舐めてからほら、これでちゃんと拭き取って、それから黒豆を取りました。だから無罪です!」

テーブルの上には1枚の使い古しのティッシュがはらりと乗っかっていました。

これって無罪になるんでしょうか……
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初めての役員会議

2009年01月17日 | ひとりごと
えっとですね、わたしは会社員をほんの半年間ぐらい、その後はずっとひたすら音楽教師を長々とやっているので、役員というものになったことがありません。
あ、息子達が小学生の頃、PTAの執行部の役員にはなったことがありましたが……。

自分が小学生中学生の頃、児童会や生徒会の役員の常連(選挙演説が異常に得意だったという理由で)だったけど、
それはあくまでも日本語でべらべらしゃべるのが平気だったからで、こっちに来てから○○団体の役員になる、なんてことは夢にも思っていませんでした。

去年の冬に、非営利団体のクラシック音楽家協会ってのに入会して1年が経ち、そこで1ヶ月に1回催される演奏ミーティングで何回か弾かせてもらいました。
どうしてだか、わたしの演奏を気に入ってくださる方が会ごとに増え、気がつかないうちに、協会の中心に引っ張りこんでいただいてたようです。

わたしは往々にして、物事をあんまり深くきちんと考えないで、ふらりふらりと行動してしまいます。
楽観主義というより無謀、時には無責任。50過ぎてこんな風に形容されてちゃいけませんが……。

「この協会の役員になってもらえますかメール」を受けて、そのメールの内容をちゃんと読まないうちから、「いいですよメール」を送ったわたし。
そりゃ、わたしの英語はまだまだ不十分だけど、なんてったって音楽の世界なんだから、それだったらなんとか分かるわい。
なんて空威張りしていたところに、「引き受けてくれてありがとうメール」が送られてきました。

*第一回目の役員会議は1月17日土曜日。場所はマンハッタン26丁目、ブロードウェイと6番街の間にある『Antique Cafe of New York』*

ほほう、ブランチ食べながらの会議なのね……とニマニマしながら続きを読んでいると、
「会議に先立ち、話し合う議題についての資料を添付しましたので、それに目を通しておいてください」という文面と添付物が……。
開いてみると20ページにも及ぶごま粒のような細かいアルファベットがぎっしりの書類が現れました。ゲゲッ!!

1ページ解読(暗号か?!)するのに20分近くかかり、早くも胸の中に膨らんでいた希望の風船がシューシューと音をたててしぼんでいきます。
これって……やっぱり……。

すんません、わたしの英語力ではかなり無理があるようですので。
そう言って、役員としての仕事が始まる前に断ろうかどうしようか、かなり迷いました。
でも、こう考えたらどうだろう。
これを、ビジネス英会話学校に入ったと考えたら……。文章に使われている単語は会議用語や法律用語がうじゃうじゃ。
こういう機会でもないと、普段の会話では滅多にお目にかかれない単語群です。
おまけに、メンバーときたら、元パイロット、FOXテレビのチーフ編集者、保険会社のマネージャーなどなど、会議の達人だらけです。
大丈夫かなあ、と横で心配しまくっている旦那を尻目に、できるとこまでやって、もし迷惑かけそうな事態になったらきっぱり辞退する、と決めて、
今日、極寒の、こんな日は一分だって絶対に歩きたくないマンハッタンに出かけました。

頼んだ玉子料理とカフェオレはとっても美味しかったです。
会議の内容はともかく、皆の口から連発される言葉はとっても難しかったです。

でもやってみます。成せば成る、成さねば成らぬ何事も!


P.S.その1
元パイロットのマーティンは言いました。
先日の『ハドソン川の奇跡』、ありゃすごかったね。
僕らもたいていの状況に対処できるように訓練を受けるけど、離陸して間もない、低空飛行の段階であんなことが起こったら、そんじゃそこらの腕と運ではうまくいきゃしない。

彼はまず、川にかかっている二つの大きな橋を壊さないようにしなければならなかった。そして、川を横断しているフェリーやタクシー船を避けなければならなかった。
そしてなによりも、両岸ギリギリまでに迫っているビルや民家に被害を与えないように、あくまでも川の流れに並行に、波が動く方向に合わせて、プラモデルの飛行機をやっとの思いで組み立てた子供が、慎重に慎重を重ねてソッと机に置く時のように、水面に着水しなければならなかった。
たくさんの奇跡とたくさんの幸運と、なによりも彼の操縦のうまさが重なった結果だった。

僕だったらできたかって?
そうだな、5回に1回ぐらいは成功するかもしれない。もし、5回もそんな目に遭ってたらの話だけどね。


P.S.その2

久しぶりに旦那が薪に火を焼べてくれました。



初めはこんなにちっちゃいけれど、



だいぶおっきくなりました。パチパチと火の粉の爆ぜる音が大好きです。火は時を止めて、心をすうっと落ち着かせてくれます。
今夜はこの暖炉の前で、赤ワインとチーズをいただいてほっこり……









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Inspirational cooking

2009年01月16日 | ひとりごと
久々の旦那の料理。
真冬の寒い寒い日に嬉しいボルシチです。
ビーツが大好きなわたしには、それだけで嬉しいけれど、真っ赤な、そしてホクホクの温かいスープは、見ただけで体の芯から温まりそうです。



今朝、Tが大学に戻りました。
いつもこの日の朝は、寂しいのかホッとしているのか、胸のあたりに整理のつかない思いが霧のように漂っています。

今回、初めての独りドライブ。無事に向こうに着くかどうか心配しました。
とにかく、疲れていようがいまいが、2時間以上は続けて運転しないように。眠気を感じたら、もうちょっとなんて思わずに、即、高速から降りること。
いやはや、35才あたりまで居眠り運転の常習犯だったわたしが、えらそうに言えることではないのですが、
そうだったからこそ!の意見でもあり、これからの運転にも、ずうっと覚えておいて欲しいなあと思っています。
それにしても出発したのが朝の9時過ぎ。ヴァージニアに着いたのが夜の7時過ぎ。10時間のドライブです?!
彼が自分の車を持てるようになるまでは、わたし達がこの道を往復していました。
運転は好きなわたしだけれど、毎回、もうしばらく運転しとないわ~級の疲れに襲われます。
こちらの高速はほとんどが無料、事故以外は滅多に渋滞しないので、常時110キロぐらいの速さで走り続けられるのだけど、
この距離を日本の交通事情の中で運転するとしたら、いったい何時間かかるやろなあ、とたまに考えたりします。

あと一日居たら、Tもこの美味しいボルシチが食べられたのに……。
そんなことを内緒で思いながら、旦那とKと3人で、ふうふうしながらいただきました。

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ハドソン川の奇跡

2009年01月15日 | 世界とわたし


生徒の家に行く道すがら、車の中のラジオから流れてくるニュースを聞いていました。
この冬1番の、気温零下7℃の厳しい寒さの中、ベテラン機長の的確で冷静な判断による水面不時着が成功しました。
着陸後も、乗客全員の無事を確認し終えるまで、落ち着いた表情で何度も機内の点検をしていた機長と乗務員の方々に、車の中のラジオの前で敬意を表しました。

遠い昔、これは全く次元も意味も違う事故でしたが、片桐だとかいう名の機長が逆噴射をして、羽田沖に頭から突っ込んだ事件を思い出しました。
あの時のニュースを呆然と見ていたわたしは、画面の中に浮かぶ救命ボートに乗る救命道着をつけた客が、ニヤニヤと笑っているのを見つけゾッとしました。
その客は、ボートの先端に座っていて、遊園地かどこかのゴムボートに乗って嬉しそうにしている子供のような顔をしていました。
1番にボートに乗り込んだに違いないその客が、自分の幸運を喜んであんな顔をしているのかな、それにしてもこんな時に笑っているなんて……。
ものすごく印象に残ったその男が、あの事故を故意に引き起こした超本人であると分かったのは、それから随分経ってからのことでした。

もう何人もの人に話していることだけど、わたしは飛行機が苦手です。
科学とか工学とか、そういう分野に人の50倍ぐらい疎いので、どうしてもあんな重たい物体が空に浮かぶことが納得できないからです。
しかも、あそこに乗客が何百人も乗り、さらに重さは増え……前にフットボールの選手団が一緒に乗り込んできた時には、真剣にキャンセルを考えました。
日本とアメリカにつながりができて、わたしは否応無しに飛行機に乗らないといけなくなり、いつもやけくそで旅をしています。
それでもやっぱり、離陸と着陸の時にはどうしても落ち着かなくなり、誰か知っている人が横に乗っていたら、必ず手をギュッと握ってもらいます。

今の時代はコンピューターがいろいろやってくれるのでしょうけど、こういう突発的な事件に遭遇した際には、やはり人間の英知と敏速な行動が必要です。

今日の飛行機に、優れた機長とスタッフが乗り合わせてくれていた幸運を、みんなと一緒に喜びたいと思います。

それにしても、またまた鳥が原因だなんて……。
こんな進んだ時代に、そういうことを防止できる手段がどうして見つからないんでしょうね。
誰かがニュースで、エンジン部分に鳥などの物体が吸い込まれないよう、金網のようなカバーをどうして付けられないのかと質問している人がいました。
ほんとに、どうしてなんでしょうね?
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