ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

アメリカが40年以上にも渡り、原発を新設できなかった理由

2012年02月13日 | 日本とわたし
『世の中の不思議をHardThinkします』というブログの主、そふたんさんという方がいらっしゃいます。
そのそふたんさんが書かれた記事、
『アメリカが40年間も原発を新設できなかった理由―アメリカの合理性と20年前の日本から学ぶべきこと』を紹介します。

2012年01月08日
 
今回は、アメリカが何故、40年以上にも渡り、原子力発電所を新設できなかったのかをまとめ、
そのアメリカから学ぶべきこと、20年前のNHKの考察を元に、現在の日本の課題についてもまとめてみたいと思います。

40年以上も、アメリカが原発を新設できなかった理由について、
私は単純に、スリーマイル事故の影響で、国民の危険性への意識が向上したこと、
安全対策によって、コストが増大したことが原因である、と考えておりましたが、実際はもっとシンプルなものでした。

単純に、原発はコストが高く、市場原理で新設ができなかっただけであること、が分かりました。

今から、約20年前の、NHKの番組の動画を紹介致します。









<動画の概要>
・冒頭、ミシガン州の80%まで建設されながら、建設中止となった原発を紹介。
・原発は本当に安いのか?の疑問について、アメリカの実例で検証。
・原子力発電所は「メータも要らない程安い」と言われ、一時期アメリカでは、建設ラッシュがあった。
・アメリカの電力事情(30年前)
 既に40年前の時点で電力の自由化が実現されていた。
 3700社にも上る電力供給会社。
 如何にコストを下げるかが競争に勝ち残る最大のポイント。
 電力の需要予測に対しが実績が大きく下回り原発の優位性となる大量の電力が不要となった。


<需要予測と実績の乖離>

※ 7%増の見込み→1%増の実績

・コンシューマーズ・パワー社の事例
 1973年に、施行開始した原発の建設が遅れ、コストが膨らんだ。
 経営は急速に悪化し、1984年に原発建設工事の中止を決めた。
 代わりに天然ガスによる火力発電所の建設を始めた。

・スリーマイル事故による影響
 安全性の確保が電力会社も行政も不十分であると結論。
 安全基準の見直しによりコストは大幅に増加。
 


<追加された安全対策の例>
  
安全指標表示システム
原子炉建屋表示システム
環境放射能監視モニタ
安全管理の人員の大幅増強
事故対策本部室、etc.

・1960年から1985年までの原発新規建設の発注数とキャンセル数



<原発の新規建設の発注数とキャンセル数>
 
※ 1973年以降全ての原発がキャンセル!

・TVA社の元会長の弁
「Too Cheap To Meter」(原発はメーターが要らない程安い)
 ↓↓↓↓↓↓↓↓
「Too Expensive To Use」(原発は使うには高過ぎる)

「放棄された原発は、経済性を鵜呑みにした経営者の失敗の記念碑」

・1986年の米エネルギー省の発電コスト(1kW)の試算
 原 子 力: 3.77セント
 石炭火力: 3.16 セント

・通産省は1986年に発電原価を試算


<1986年 通産省の発電原価の試算結果>
20120108-3
原 子 力: 9円
石炭火力: 10円
石油火力: 10~11円
LNG 火力: 10~11円
水 力 : 13円

米エネルギー省が、実コストから計算しているのに対し、日本の資源エネルギー庁は、将来の稼働見通しを踏まえての予測から試算したもので、当時のNHKも大きな疑問を呈している。

算出の元にした為替レートは、あくまでも1ドル129円に固定していることに対しても、NHKは大きく誤っていると指摘。(現在は70円台にまで円高が進んでいる。)

国学院大学の教授が、改めて実績ベースから計算すると、稼働率が大きく異なるが、原発の方が僅かに安く、
稼働率を同じにすると、火力発電所の方が1.7円も安くなると指摘。


<実コストによる発電コスト>

原子力の稼働率77%に対し、火力は僅か41%の稼働率


<稼働率を合わせた場合のコスト>
  原子力: 8.90円
  火 力: 7.20円
(核廃棄物のコストや原発立地交付金などは一切含まれていない)

・電力料金に対する民間の反応
 電力料金の値上げに対し、産業界は猛反発。
 GM社
 「投資の失敗は事業者の責任であり消費者の責任では無い」
 消費者の反対デモも多数発生。
 電力会社と消費者との、多数の対立が巻き起こった。

・米の電気料金の認可のシステム
 電気料金の値上げには、公益事業委員会の認可が必要。
 極めて厳格な審査の上で、電気料金の値上げは認められる仕組み。
 公益事業委員会委員長の発言
 「電力会社の過剰投資のツケを消費者に負担させてはならない」
 「原発の過剰投資分の電気料金の値下げは認可できない」


・泊原発の建設についての疑問
 あくまでも1988年の通産省の電力需要見込みで試算した結果を元に原発建設に踏み切った。

 

<1988年当時の通産省の需要予測と現実との乖離>

※ デフレ経済/工場の海外移転によって現在は更に乖離は拡大と推測

 北海道は電力料金が最も高く、公聴会では批判にさらされた。
 送電線の距離も影響しているが、原発の投資コストが余りにも大きかった。
 特に泊原発は、過剰コストであるとの指摘が強かった。
 伊達火力発電所の稼働率は、僅か10%未満。
 
・NHKの考察
 日本においても、原発の発電原価が安いはずは無い。
 日本の電力料金の算定方法(総括原価方式)に、大きな疑問あり。


<考 察>
現在、アメリカは新規原発建設に舵を切ったと言われておりますが、
少なくとも過去40年間は、市場原理によって、原発の新規建設ができない事情があったと言えます。

簡単に言えば、高いから、原発は建設できなかったのだと言えます。

この動画において、市場原理は極めて合理的であり、電力市場では、原発は極めて不利であったことを物語っております。

発送電分離、電力自由化、総括原価方式の撤廃によって、原子力発電所は生き残れない、というのが結論なのでしょう。

アメリカは、日本よりも合理的なのだと、私は感じております。
アメリカは、合理性と自由とが折り重なり、バランスを崩し、秩序に欠ける、というのが私の分析です。
対して日本は、合理性よりも秩序を重んじている、と分析しております。

(参考)マックス・ヴェーバーの社会学から「合理性」を考察 ― 100年前の社会科学から学ぶ事は沢山ある!

※ 日本は右下?、アメリカは左上?

昨今、アメリカが、原発の新規建設に踏み切った、という理由については、別途、しっかりと調べた上で、考察をしてみたいと思います。
最近、何か事情が変わったのか、合理性があるのか、ここを読み取る事が、非常に重要であると考えております。

この動画の中で、非常に興味深いのは、1986年当時の通産省の、電力毎時の原価の試算結果です。

つい最近までは、原子力の原価は、僅か5円台である、と流布されておりましたが、
20年前では、原価算出に疑問がありながらも、9円となっていたのです。
いつからここまで、原子力が安いとされてしまったのでしょうか。
20年前までは、火力とほぼ同等であったのに。


さらに言えば、昨今、コスト等、検証委員会によって、原発事故によるコストまで加算された筈の原価が、8.9円と試算されてしまったことについては、改めて疑問が残ります。

(参考)『コスト等検証委員会』による原発の発電コスト試算結果は8.9円 ― 官僚はデッド・ラインを守り切った!

1986年当時、かなり疑問が残る資源エネルギー庁の算出方法で、発電原価が9円とされていたのにも関わらず、
福島第一原発の事故コストや、核燃料サイクルのコストまで入れて、なぜ僅か8.9円で済むのか、

やはり、経産省の官僚などの、原発推進派による抵抗があった、という推測は有りでしょう。

北海道電力による、泊原発の建設については、建設当初から、こんなにも抵抗があったことも初見でしたが、
何よりも、資源エネルギー庁による、電力需要予測のズレが、原発建設ラッシュを生み、
現在に至る、誤った電力政策に繋がっているのだ、と感じました。

昨今、電力会社が「オール電化」を商品化し、電力消費量を大幅に増加させた理由は、
原子力発電所を作り過ぎた為に、電力の消費を無理矢理拡大させるための対策
であり、
決して消費者のためにも、日本社会のためにもならなかったことは明らかでしょう。

オール電化の害悪については、以下にまとめてありますので、興味があればご覧下さい。

(参考)書評 ― 真実(ホント)は損するオール電化住宅


日本の電力料金は、アメリカの2倍、韓国の3倍とも言われるぐらい、高いと言われております。
その為に、かつて日本は鉄鋼大国であったのに、電力を大量に消費する鉄鋼事業は、隣国の韓国に、大半の市場を奪われてしまいました。

そのような中、原発事故と、火力発電所の稼働率UPを理由に、電気料金が上がることに対して、
経団連は、原子力発電所の推進に賛成し、電気料金の値上げを許容する発表をしております。

何故、20年前のアメリカのように、産業界は反発をしないのでしょうか。

私の考察は以下の通りです。
① 経団連に加盟する企業の多くは、グローバル企業
海外に工場があるため、電気料金の値上げの影響は極めて少ない。

② 電力会社からの利益を重視
経団連に加盟する企業の多くは、何らかの仕事を電力会社から受けており、他の企業よりも高く買ってくれる、電力会社からの利益は、極めて大きい。

つまり、電力会社からの利益のプラスの方が、電気料金の値上げによるマイナスより、圧倒的に大きいだけなのでしょう。

少なくとも、一般消費者にとって、電力料金の値上げはマイナスでしかなく、強く反対するべきです。

グローバル企業の繁栄が、国益のプラスには成り難いことも、経団連の意向を重視してはならない理由になります。

発送電分離、電力自由化、総括原価方式の撤廃が実施されれば、経団連にとっても、電力会社が高く買ってくれなくなり、
コスト増のマイナスだけ、となることから、経団連も、原子力を推進しよう、などと言わなくなる
ことでしょう。

この事は、同時に経団連が、発送電分離、電力自由化、総括原価方式の撤廃、これら全てに対し、強く反対する立場であることを示しております。
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『われわれはみんな素人。どうやったら放射能を除去できるか誰も知らない』by The New York Times

2012年02月13日 | 日本とわたし


きむらさんとやまもとさんが、両手を重ね、ゴシゴシゴシゴシ、一所懸命窓拭きをしています。
この窓は、東京電力福島第一原発から20km離れた所にある、飯舘村の学校です。

この記事は、先週の土曜日、2月11日のニューヨーク・タイムズのビジネス版の第一面に載ったものです。
現場がいかに混乱しているかを、現地で記者が取材し、その様子を二面に渡り書かれていました。

机の上の空・大沼安史の個人新聞というブログに、大沼氏による和訳(抜粋)が載っていたので、
それをちゃっかり、ズルして載せさせていただきます。 

〔ニューヨーク・タイムズ〕 
飯舘村での「混乱したゼネコン発注除染」をルポ 雇われた作業員
「われわれはみんな素人。どうやったら放射能を除去できるか、誰も知らない」

『ニューヨーク・タイムズは10日、「混乱した核除染(A Confused Nuclear Cleanup)」と題するフクシマ現地ルポを報じた。

飯舘村では―ー。

「5センチにする?それとも10センチにする?」――現場監督が同僚に尋ねた。
除去しなければならない放射能に汚染された表土を指差しながら。
現場監督はさらに、村の広場の向こう側にあるコミュニティー・センターを指しながら、
「あの建物、解体されないの?おれたち、除染したら、いいんだろうか?そのままにしておいたらいいんだろうか?」

“Dig five centimeters or 10 centimeters deep here?” a site supervisor asked his colleagues, pointing to a patch of radioactive topsoil to be removed. He then gestured across the village square toward the community center. “Isn’t that going to be demolished? Shall we decontaminate it or not?”


そばの学校の窓を拭いていた作業員が、デタラメなやり方に肩をすぼめてみせた。
「おれたち、みんな素人だから」と、作業員は言った。
「 どうやったら放射能を除去できるか、誰も知らないんだ」

A day laborer wiping down windows at an abandoned school nearby shrugged at the work crew’s haphazard approach. “We are all amateurs,” he said. “Nobody really knows how to clean up radiation.”


誰も本当に知らないのかも知れない。
それでも日本政府は、130億ドルを、除染の発注に回した。
ニュージャージー州の面積に近い、最も汚染のひどい8000平方マイルの除染事業のために。
飯舘村の6500人を含め、8万人以上を帰還させるためだ。

Nobody may really know how. But that has not deterred the Japanese government from starting to hand out an initial $13 billion in contracts meant to rehabilitate the more than 8,000-square-mile region most exposed to radioactive fallout ― an area nearly as big as New Jersey. The main goal is to enable the return of many of the 80,000 or more displaced people nearest the site of last March’s nuclear disaster, including the 6,500 villagers of Iitate.


証明されていない除染法が、効果を発するか、まったくもってハッキリしていない。

It is far from clear, though, that the unproved cleanup methods will be effective.
 

「おれたち、みんな素人」と言った作業員は、シバタさん。
千葉から来た。
もともとは、自動車工場で働いていた人。

校舎の窓、1枚につき、ペーパータオルを1枚使う。
ペーパータオルで拭い去るわけだけれど、放射能が全部、消えるわけではない。

飯舘村の、自主除染を支援している田尾陽一さん(工学院大客員教授)は言った。

「除染の専門家なんていないのに、どうして国は、ゼネコンに大金を支払うのか

“No experts yet exist in decontamination, and there is no reason why the state should pay big money to big construction companies」

 
また、元日本原子力研究所研究員で技術評論家の桜井淳(きよし)さんは、「これはペテンだ。除染が巨大ビジネスになっている」

“It’s a scam,” said Kiyoshi Sakurai, a critic of the nuclear industry and a former researcher at a forerunner to the Japan Atomic Energy Agency, which is overseeing this phase of decontamination. “Decontamination is becoming big business.”

 
飯舘村の農業、菅野宗夫さんは、「この土地のことは、私たちの方が、ゼネコンよりずっとよく知っている。
金が空中に消えてなくなるのが心配だ」と語った。

“We know the land here far better than the construction companies do,” Mr. Kanno said. “We are afraid that the money is just disappearing into thin air.”



以上、ここまでが転載です。

ゼネコンの名前はみっつ。
大成建設、大林組、鹿島建設。
あ~臭う臭う!臭い臭い!
除染という、人の弱みや望みにつけ込んで、金儲けを企むおっきな企業と政府と電力会社。
なんでやねん!
まだまだ漏れてるねん。
除染してもしても、また戻ってくるねん。
まずは、除染せなあかんようなとこに住んでる人達を移動させて、ダダ漏れがきちっと終わってから除染。
それしかしゃあないやん。
そもそも、除いたもん、どこにやるん?
どこにほかすん?
燃やしたらまた元の木阿弥ってことぐらい知らんわけないよな。
どう考えても"doesn't make sense"やねん。
日当もろて、ワケ分からんまま除染作業やって、気がついたらぶらぶら病。
人それぞれ、体質も体力も違うから、誰もが調子悪なるわけないやろけど、
外から見たら、どんだけアホらしいことが起こってるか、

助け合いの精神の生かしどころが間違うてんねん。
もちろん、除染が有効なとこがあるよ。
どうしても動けん家族のために、とりあえずは数値を下げる。
これも意味あると思う。
けど、大方のとこは、無効やし無意味。
そんなんに何億もの金を、しかももともと潤うてるとこに流して、なんの意味があるん?
震災と事故でボロボロになった町や村の、復興を懸けたプロジェクトや言うねんやったら、
まずはその場に、放射能物質の扱い可能な設備を整えた処分場を作って、除染後に出てくる物と瓦礫を処分したらええやん。
だいたい、こんな広域汚染の除染なんか、誰も経験無いし、チェルノブイリの経験者呼んで教えてもろてるような気配も無い。
みんな、行き当たりばったり、これでええんかどうかもわからんまんま、とりあえず誰かが考えた方法を聞いてやってる。
効果が出るのかどうかもわからん。どれだけかかるのかもわからん。
わからんけど、やらなあかんねんって学者は言う。
ほんまなんかなあ?
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私たちは 原発のない 日本を めざします!

2012年02月13日 | 日本とわたし


これはつい先日、毎日新聞の意見広告に載ったものです。

『私たちは 原発のない 日本を めざします』

くっきりと大文字で書かれた文字の背景には、賛同者、賛同グループの名前がぞろぞろと連なっている。

やっとここまで来たか……そういう思いが腹の底からわきあがってきた。
油断なんてしていられない。
油断どころか、わたし達はまだマイナスなのだ。
何度へこんだか数えられない。
大きなへこみから小さなへこみまで、
けれどもへこみ慣れてきたので、立ち直りも早い。
踏みつぶされてもなお、また立ち上がるわたし達の精神は、どんどんどんどん強くなる。

モグラ叩きのゲームでもしているように、おもしろがって叩いている連中が、
いつか、自分達の立場が逆転していることに気づいて顔色を失う日まで、

『私たちは、原発のない日本をめざします!』
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いのちを守る300キロの森づくり

2012年02月12日 | 日本とわたし
震災復興・ガレキの山は貴重な地球資源

このビデオを観てください!
瓦礫とわたし達が呼ぶものは、地震と津波に襲われてさえいなければみな、そこに暮らしていた人々にとっては大切な生活の一部でした。
たくさんの思い出、たくさんの命が、一瞬のうちに奪われ、無惨な瓦礫となって残されてしまいました。

もう瓦礫となってしまったものは、二度と、瓦礫以外のものになることはできません。
けれども、残された人々にとっては、瓦礫という言葉だけでは表せない、名残のあるものです。

その瓦礫をめぐり、今、日本では、いろんな問題が生じています。
東北の瓦礫は、今までの、どこの瓦礫とも違う、放射能の汚染を受けた放射性物質に成り果ててしまったからです。

この、宮脇氏のアイディアは、亡くなった方々とともに姿を消し、瓦礫となって残ったものを、
残された人々や、未来を担う子供達の命を守る、鎮守の森に変えてくれるのだと思います。
こんなすばらしいアイディアがあっただなんて、なんで今まで気がつかなかったのか……。

どうか、国にこのアイディアを知らせてください。
瓦礫を、無駄なお金と手間をかけて散り散りにするのは、日本に暮らすどの人々にとってもいいことではありません。





震災復興・ガレキの山は貴重な地球資源

宮脇昭「いのちを守る300キロの森づくり」

今までの防潮林は、アカマツやクロマツなどの、一種類による林が中心でした。
東日本大震災の時、津波により、松のような根の浅い木々は、多く根こそぎ倒されてしまい、防潮林として機能しませんでした。
しかも流されてしまい、とても危険でした。
引き水によって多くの人々の命や財産が、海に流されてしまいました。
その樹木の選択に誤りがありました。
震災によって出た大量のガレキの山。
その中の、毒や分解不能なもの以外を、地球資源として有効利用すべきと考えます。
被災地のガレキの山を選別し、穴を掘って埋め、土と混ぜます。
ガレキと土を混ぜ合わせて山をつくり、さらに土をかぶせてマウンドをつくります。
これで、木を植えるための植樹地ができました。
木を植えるにあたって、木の種類の選択が重要です。
土地本来の潜在自然植生による主木群を選択することが基本です。

宮脇氏が撮影した樹木の写真の紹介
・2011年4月21日撮影 1975年植樹。新日鐵 君津
・大津波を止めた、タブノキの根(南三陸町)
・土地本来の潜在自然植生、シラカシ(釜石市)

これらの主木群は、深根性・直根性で、根が深くまっすぐに地中に入ります。
さらに、森を構成するいろいろな種類のポット苗を、1平米3本から5本、混植、密植させ、植樹します。
植えてから2~3年は草取りが必要ですが、その後は管理不要です。
およそ20年で、豊かな森ができます。
この森は、最も自然の力強い状態であり、世代交代を重ねながら、次の氷河期が来る9000年は保たれます。
高い木から低い木、多くの色々な種類の木で成り立つ森は、命と財産を守る、緑の壁を作り出します。
マウンドを高くすることにより、かなりの高さの津波を防ぐことができます。
マウンドを越えた場合でも、豊かな森は深くしっかりと根を張り、緑の壁となって津波を破砕し、その効果により、津波のエネルギーを減少させ、水位と速度を下げ、わたし達が助かる可能性を高めてくれます。

多くの命をさらった波に立ち向かうため、お亡くなりになったみなさまの無念の気持ちに応えるため、わたし達は、自然とともに生きる、知恵の波を作らなければなりません。

宮脇氏ご自身からのメッセージ
「みなさん、今すぐ、誰でもできる、土地本来の本物の木を、あなたのため、あなたの愛する人のために、足元から木を植えましょう。
わたくしも植えます」

調査地域
岩手県/釜石市・大船渡市・陸前高田市
宮城県/気仙沼市・南三陸町・東松島市・松島町・塩竈市・多賀城市・仙台市(荒浜地区・蒲生地区)・名取市
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ラブラブめおとバンド♪

2012年02月12日 | 音楽とわたし
昨夜は、気功師のミリアムが、旦那さんと一緒に歌うというので、会場のティーハウスに出かけた。
旦那も行くつもりやったけど、急に風邪をひいてダウン。
わたしひとりで行ってきた。

9年間も住んでた町やのに、まだまだ知らん店はあるもんや。


バラバラと適当に置かれたソファやテーブルで、ボードゲームをしながらお茶を飲んでる人、
ジェンガという、木の棒を3つずつ重ねていく、失敗したらどないすんねん?みたいなゲームに熱中してるカップル、
パソコンを読みながら、本を読みながら、ひとりでお茶を飲んでる人、
もう、どんだけ自由やねん?!みたいなお店。
入り口付近に、お茶やスナックをオーダーできる所があって、好きなカップを選んだら、そこに入れてくれる。


おぉ~、ミリアム夫妻!
常日頃、「わたし達夫婦はラブラブなの」とミリアムが言うてた通りのラブラブっぷり!


どんどんお客が増えてきて、


ご主人のハスキーで渋みのある声と、ミリアムのドスの利いた野太い声が、妙に相性が良くて耳に心地良い……。
彼女の自作の、イスラエルの歌が、なんとも心に染みた。

休憩をはさんで、


二部は、おっちゃんバンド。ご主人がリードギター&ボーカル。長年一緒にやってきた温かみがじんわりと伝わってくる。


一曲だけ、ミリアムもコーラスで参加。


同じソファに座ったご夫婦は、どうやらわたしと同年輩。
学校の先生カップルで、夏になると家族で、今は二人で、全米を少しずつ旅行して回っているそうな。
「あと二つの州でミッション終了なの」と言うので、「わたしなんかもう、東海岸を上下してるだけで」と答えると、
「でもあなたも、ミリアムと同じで、違う文化の中で生まれ育ったんでしょ?わたしなんか、この国から出たことが無いんだもの。でもまあ、ここも、州が違うとえらい違うけどね」と言ってワハハと笑った。

ソファの後ろには、まるでチーズみたいな、手作りの石けんが積まれていた。


ミリアム、楽しい時間をありがとう。
旦那の風邪が治ったら、本を片手にふたりで来よう。
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心ちゃんすごい!なんて言うて涙ぐんでる場合か!

2012年02月11日 | 日本とわたし


「さよなら原発1000万人アクション」の一環、「全国一斉行動in東京!さようなら原発1000万人アクション2/11」が、代々木公園であった。
その様子を昨日、Ustream の中継で観ていた。
中継のビデオの横に、ツィッターで、スピーチの内容を要約して文字起こししてくださっている方がいた。
自分もがんばってみたが、その方の方が数倍きちんとしておられたので、それをここに載せさせていただく。


大江健三郎氏

「古代史の時代から、怒りの歴史があった。
東北の人には民謡があった。
宮沢賢治には言葉のリズム。
『東北の鬼』をわたし等の声にしていかなければならないと思う。
核は人間としてのモラルに反するもの。
ドイツ議会では倫理の問題として原発を採り上げ、脱原発を決断した。
日本は核廃棄物の始末もできないまま、原発の再稼働させようとしている。
原発再稼働に対して、抵抗する権利がある。
根本的に重要な倫理ではないか。
もし希望があるとすれば、原発再稼働への抵抗があること。
原発を止める決意をしたんだ、と子供たちに言いたい

 
澤地久枝氏

「昨年11月に入院してから何もしなかった。
マスコミの原発報道も沈静化して、1000万人署名も集まらない。
初めて会う人に呼び掛けるのは勇気が要る。
全ての生き物に対して、責任ある立場として、原発ゼロを訴えなければならない。
原発厭だ、さようならと訴えた者の力として、原発が止まったと訴えたい。
アメリカでは、オバマ政権下で、原発新設にGOサインを出した。
国籍を超えた人々の意思が、企業や政府を追い詰めている。
今日の会に意味があると思っている」


永山信義氏 (福島平和フォーラム)

福島県議会が、福島原発全廃炉の方針を固めたのに、県内では、原発推進派の巻き返しが始まっている。
湯水のように金を使い、原発の安全神話を作り上げ、54基の原発を作り上げた国。
原発企業、安全保安院、専門家、この人たちは反省しましたか?
首を挿げ替えて済む話ではない。

避難するしないで離婚した例や、福島から米沢に移住した母子の事例。
絆絆と言いながら、絆を壊したのは誰でしょうか?
キャベツ農家の自殺は、原発事故による殺人」


増子理香氏 (福島からの自主避難者)

「福島県三春町から、夫を残し、娘と昨年5月に東京に避難。
福島に嫁ぎ、農家として、幸せな日々を送っていた。
娘の学校の校庭の線量は、毎時2.2μsV。
水道水は我慢したと言う娘。
1年も経たずに突き付けられる、人生の決断。
福島県は、小さな小舟。
オールを漕がねば進んでいかない。
これ以上、福島の子どもに、苦しみを負わせないでほしい。
生きる希望を奪わないでほしい」


菅野正寿氏 (NPO福島有機農業ネットワーク理事長)

「有機農業に大切な落ち葉、藁、堆肥が大打撃を受けた。
津波で、家、農地を奪われた苦しみ、自ら命を絶った農家の方々の苦しみ。
福島県の米や農産物には、予想以上に、放射性物質が移行しない。
有機物質や、福島の粘土質の土壌がセシウムを捕捉し、作物へ移行しにくくなる。

しかし、やはり果樹類やキノコ類は高く出る。
消費者の皆様へ正確な情報公開をしたい。
全て福島県民が加害者のようなマスコミ報道に怒っている。
福島応援セールや花火大会の中止、福島を加害者扱いする報道に憤慨。
基準値は、福島の検証を基に作って欲しい。
福島の農家は、子孫に食べらせられる物を届けなければならない。
私達は、孫に食べさせられる作物を出荷する。

第一次産業が持続可能な社会をつくる」


山本太郎氏。

「本当にこの国を愛している人たちがいますよ。
電力余ってるんですよ。
嘘つかれてるんですよ。
諦める訳にいかない、命懸かってますよ。
もっともっと怒りませんか!
九州・四国脱原発状態です。
現在3機しか動いていない。

今必要なのは、大手メディアを信じている無関心層を、いかに取り込むか。
今は地震の活動期。
原発再稼動を阻止するために行動を!
この国を終わらせちゃいけない。
もしも次、どこかで原発事故が起こったら、日本が終わっちゃいますよね。
高線量地帯の子たちを避難させよう。
瓦礫の山は、産廃業者の宝の山。
地元に雇用を生んで回さねば。
即時廃炉!
利権もあるけど、軍備のベースとしての核、という部分で、すっきり手放したがらないんじゃないのかな。
原子力だけではないと思う。
即時廃炉、それしか選択技が無い。
ドイツでは、福島を風化させないために、今日のこのデモに合わせて150の町で抗議行動している。
ドイツ人にできて、日本人にできない訳がない。
アルジャジーラが密着取材している。
日本人が、これ位怒っているんだとアピールしたい」
 

藤波心ちゃん

「3.11以降、わたしの価値観は大きく変わった。
大したことないように見せる報道、経済を守るために設定された、緩い基準。
食べて応援は、無責任なキャンペーン。
日本はこんな国だったんだと、残念に思います。
気が付いたら、原発を、54基も建ててしまっていた。
繁栄の象徴なんてものではなく、ただの時限爆弾。
こんなものと一緒に生きるなんて、絶対にイヤ。
これ以上わたし達の国土に、第二の福島を作ってはいけない。
どうやったって地球の自然には勝てない。
科学が発達したからって、なんでもコントロールできるなんて思うのは大間違い。
こんな地震の多い国に、こんなに原発を建てたのは、自然を馬鹿にした人類の奢り。
経済を支えるためには、原発が必要だ、と言う人もいるけれど、
何も知らないわたしたちが、原発を支えていたのだと思います。
原発があるからこそ、経済が駄目になってしまったように思います。

本当の豊かさがなにか。
いつもしわ寄せがくるのは一般市民、とりわけ子供達」
  

落合恵子氏

「脱原発、反原発は迷子にならず真っ直ぐに進んでいきましょう。
原発事故を輸出して、繰り返そうとする人にNOを、人権が大切にされる社会にYESを突き付けましょう。
私達の声は必ず届きます。
私達の幸せが、誰かの不幸とならない、皆が幸せに暮らせる社会を!
私達は少数派だけれど、時代を引っ張っている。
私達は、次の世代に少しでも、胸を張って、でも少しだけ反省して、前を進んでいきましょう。
ネバーネバーネバーギブアップで!



11ヵ月。
毎月11日になると数えてた月の数。
この長い長い月日の間に、いったいなにが向上したん?
事故った原発施設では、命を削って作業してる人がいはる。
報酬をピンハネされながら。
ほんで、福一の2号基は、また温度がジワジワ上がって78℃を超えてる。
まあ、この知らせがホンマかウソかは知らんけど。
アメリカは、わざわざこの時期に、34年ぶりに、原発の新設を認可して、東芝がキャッキャと張り切って仕切ってる。
◯◯投票の意義がどうのこうの言うて、正しいやの怪しいやの、
段階的廃炉がどうたら即廃炉がどうたら、
都民投票なんかしても、条例は変える必要無いし変えるつもりもないと、80の爺さんはお馴染みのパフォーマンス。
市民投票かて、意味があると思わんと言うた大阪の市長も、今またケッタイなアンケートを作ってファシズムまっしぐら。
デモすることには意味あるよ。
今の日本の報道屋は、飼い馴らされた羊ちゃんやから、現実に目覚めてへん人らに知らせるのに、電波無しで、人力でせなあかんから。
スピーチ台に立って演説しはった方々も、みなさんええこと言うてはる。
もうとっくの前に、なんとかせなあかんと目が覚めたもんには、聞き慣れた言葉ばっかやったけど。
心ちゃんのスピーチも良かった。
ちょっと、ひと昔前の、『青年の主張』で勝ち上がった子みたいな雰囲気ではあったけど。
けどな、けどな、大人がそんなん聞いて、盛り上がってる場合か?
なんか遅ないか?
不甲斐なさ過ぎと思わんか?
時間経ち過ぎと思わんか?
まさか、年末の、大ウソ収束宣言が、もしかしたらほんまかも……なんて思てんのとちゃうやんな。
東電はなんもしてへんで。
ほんまになんもしてへんで。
遮蔽するための地下ダムも忘れてるで。
意味がゼロどころか、実施にまた何億もかかるストレステストして、それを仲間内でオッケーオッケー言い合うて、ちゃちゃっと再稼働するで。

もういっぺん言うしな。
政治家は、自分が落選すんのが一番恐い。
官僚は、システムが壊されるのが一番恐い。
企業は、自分とこの製品や物が売れんようになったり、使用料金の支払いが滞るのが一番恐い。
産廃屋は、仕事回してもらえんのが一番恐い。
自治体は、住民が引っ越すのが一番恐い。
できること、いっぱいあるやんか。

経済を支えるためには、原発が必要だ、と言う人もいるけれど、
何も知らないわたしたちが、原発を支えていたのだと思います。
原発があるからこそ、経済が駄目になってしまったように思います。

15才の女の子が、わたしら大人がやらかしてしもた失敗を的確に指摘した。
これ以上情けないと思われんようにせな、そろそろ愛想尽かされるで。
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天ぷら食いに行こ!

2012年02月10日 | 家族とわたし
昨夜、寝ようと思て時計を見たら、丁度12時やった。
いかんいかん、今日の朝は早起きせなあかんのに、また遅なってしもたと焦った。
ふと、日本はもう10日になってるなと思い出した。

あ、父が亡くなった時間が近づいてる。

すでに、その時間にはもう、下顎呼吸に変わってた。
その呼吸の仕方は、もう二度と、父がこの世に戻ることはないことをはっきりと伝えてた。
旦那が、大津の小学校と中学校から息子らを早引きさせて、JRに乗って病院に向かってる。
なあ、あの子らが着くまでがんばってや。
心の中で願いながら、父の六番目の奥さんが父の枕元から離れるタイミングを狙ては、わたしや弟、それから父の姉や妹がそばに寄っていった。

呼吸の数がみるみる減っていき、とうとう最後の一息が終わった時、父の目は開いてた。
俺は生きたかってん、もっともっと生きたかってん。
そう言うてるみたいやった。

最後に綿に染ませた酒を飲んで、嬉しかったんか、口元はうっすらと微笑んでた。
それだけが救いやった。

最後の三日間、辛い思い出ばっかりが残ってしもて、わたしはそのことへの後悔から、だいぶ長い間抜け出せんかった。
毎年、命日が来るたんびに、思い出しては自分を責めて泣いてるわたしに、旦那は優しい言葉をかけてくれる。
父が、基本的に怠け者でお人好しの父が、いろんな人に騙されたか、あるいは自分の意思でやったか、それは本人にしかわからんのやけど、
保証人の判子をあちこちの書類に押しまくり、おかげで取り立てのヤクザに、毎晩、正月休みも無く、一時間近く脅迫される毎日になった。
「内臓売らんか、働き口はなんぼでもあるんやが」と、高校生の女の子にはかなりシュールな話ばかりで、
居留守を使うか、勝手に北海道やらにトンズラしてた父は、わたしがそんな連中の話し相手になっているとは知らずにいた。
借金癖がついた父は、わたしが田舎に嫁いでからも、金の無心の電話をかけてきた。
親戚には散々っぱら迷惑をかけていたから、もう誰にも頼めなくなっていた。
弟は、父のせいで、ブラックリストに入っていて、大人になる前から社会生活ができなくなっていた。

事故にでも遭うて死んでくれたらええのに。

そんなことを考えるようになってた時、父が車に撥ねられて重症を負った。
三ヵ月も入院する大怪我を負ったのに、わたしも弟も、ついに一度も見舞いに行かんかった。
親戚は皆、口を揃えて、わたし達を非難した。

けれども父は、憎めない、いい親父だった。
気が弱くてうそつきやったけど、大好きな親父やった。
最後の十年間、6番目の奥さんに気ぃばっかり遣てんと、もっとデートしたらよかった。
最後の十日間、稼ぎのことや、生徒のコンクールのことなんか大事にせんと、つきっきりで看病してあげたらよかった。

死ぬ間際まで、食べたい食べたい言うてた天ぷら、また作ったから。
食い道楽の父が、胃癌で死ななあかんかったのはほんまに皮肉。
そやし、わたしは、自分が死ぬまで、父の命日には天ぷらを作ってあげたいと思う。

今日のんは、見た目は悪いけど、味はええで。牛肉入りのきんぴらも混ぜ込んであるねん。



追記

ひでたんが残してくれたコメント読んで、今年が父の13回忌やったことに気がついた。
ひぇ~!!
まあ、今更慌てても仕方ない。
そもそも、これまでも、◯回忌やからと、特別になんかしたわけでもないねんけど。
けど、今年はちょっと特別なことがあった。
昨年の秋に帰省した時、最後の奥さんから弟のマンションに送りつけられた箱のまんま、玄関先に長いこと積まれてた父の仏壇を、
今回こそはなんとかしようと思い、弟とふたりで箱を開け、中の仏壇の扉を開いてみたら……、
父の骨壺が入ってたし……。
うっそぉ~!と、ふたりで仰天しながら、恐る恐る中身を調べた。
きれいなお骨がギュウギュウ詰めで入ってた。
久しぶり。
そんなこんなで、先祖代々の位牌と仏壇用具一式、そして骨壺をこちらまで持ち帰り、それを父の写真の前に置いた。
なので、今年は、骨壺をなでなでしながらお供えをした。
これでかんにんしといてな。
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米国ヨガと酒と健康オタク事情

2012年02月10日 | 米国○○事情
気功の座位の瞑想中、CDから流れてくる男性の指示通りに、イメージを働かせながら、身体のいろんな部位で呼吸をし、内臓を色づけしていく。
まずは肝臓の深緑色から始まり、心臓は深紅、消化器官は黄金色、肺は白色、腎臓は紫色と、
息をそれぞれ、心の目、舌の先、皮膚の穴、鼻、耳と、別の場所を使いながら、色と一緒に吸い込み、息を吐くと同時に染めていく。

あらためて「じゃああんたは内臓のことをよく知ってるのか?」と聞かれると、自信を持って「はい」とは答えられない。
今日はミリアムが、大きな、人の内臓図を床に置いて、自分達の記憶が正しいかどうかを確かめて欲しいと言った。

↓これはわたしがネットで探したものです、はい。ミリアムのんは、べっぴんさんの前面だけでした。

げげっ!
肝臓って、てっきりお腹の右側に偏ってるのかと思たら……デカいし……左までいってるし……。
しかも、心臓、もっと左側にあると思てたし……。
小腸、ぐちゃぐちゃやし……。

「では、これからまずは肝臓の話から始めましょう」とミリアム。
「肝臓はどんな感情を司ってたかしら?」
「ええと、怒り。でも、親切、優しさ、というのもある」

というふうに始まって、当然のように、肝臓と切っても切れない、お酒の話になった。

「お酒を飲む人、飲めない人、飲みたい人、飲みたくない人、飲んでも平気な人、飲んだらえらいことになる人、お酒と人はすごく複雑な関係だよね」
「わたしは、お酒っていうのは、その時すでにそうなってることを、もうちょっと強めたい時に飲むものだと思う。
例えば、もうすでに楽しいのだけど、もっと楽しくなりたい時とか、もうすでに悲しいのだけど、もっと泣き切ってしまいたい時とか」
「でも、じゃあ、すでに苦しんでる時は?」
「それは別。だって、もっと苦しみたいって、人は普通思わないでしょ?」

そこでグループのひとりが、
「ここら辺では今、誰も彼もがヨガヨガヨガ!みたいに流行ってるでしょ?
で、ヨガやってる時は健康オタクまっしぐらなのに、その人達、夜になったら必ずワインを飲まないと気が済まなかったりするわけよ。それも、ハンパじゃない量をね」と皮肉たっぷりに言った。
そうそう、あるある!と一斉に盛り上がる。

ホットヨガから始まり、いろんなもののいい所だけを端折って混合させたヨガやら、キャンプに合宿、ツアー旅行などなど、ここ数年、その業界の勢いは増すばかり。
けれども、ホットヨガのように、更年期の女性や、持病の種類によっては、やるとかえって健康を害するものもある。
あんまり流行っているので、ここアメリカでは、MacDonaldのチェーン店名をもじって、MacYogaなどと呼ばれているらしい。
そして、そのヨガを教えているインストラクターも、ワインを毎晩嗜んでいる人が多い。ふむ……。

そこで、わたしは我が旦那のことを思い出した。
彼も、そのあだ名に恥じない堂々たる健康オタクである。
そして彼の稼業は鍼灸師。人々の健康のために、日夜、週6日、真摯にコツコツと貢献している。
大のワイン好きだけども、夜に飲む量が過ぎると、眠りが妨げられたり、鼻が詰まって息苦しくなる。
なので、飲まない方がいいけど飲みたい、飲もうと決めてもどこかに恐れがあることになり、
ほぼ毎晩のように、ああでもないこうでもないと、独り言を言いながら、結局は飲んでいる。

飲みたいだけ飲んでも、ほとんど影響が出ないわたしは、そんな状況の彼に同情心が薄い。
というか、最近めっきり、お酒に興味が無くなってしまった。
出先で、皆が飲んでいるような状況だと飲むし、嫌いではないのだけれど、
若い頃のように、角瓶一本、生でそのまま空ける、というようなことにも興味がない。
基本的に、身体がいらないと言っているような気がする。

酒を飲みたい人は、飲むべき理由を十も二十も持っている。
酒に飲まれる人を、何人も、多分平均よりは多く見てきた。
親戚には酒乱の者が何人もいて、修羅場も何度も目にしてきた。

健康に執着する。自分にある物事を課す。満足や幸福を追い求める。
自分のことを好きになれるかなれないか、
自分のことを許せるか許せないか、
自分のことを認められるか認められないか、
本当のことはいつも、自分の中にある。
それを見つけるには、自分の中の自分を、注意深く、時間をかけて、静かに見つめなければならない。
なにも特別なものはいらない。
ヨガも酒も、その他の教室や嗜好品も、なにもいらない。
ただただ、自分の中にある自分を、じっと見つめたらいい。

 
おまけ写真『ヨガりす』
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電気使て生活してるみなさん、いつまでもだまされてるのは悔しないですか?

2012年02月09日 | 日本とわたし
共同通信の【連載コラム】、【原発の不都合な真実】に掲載された、井田徹治氏のコラムを紹介します。

【原発の不都合な真実】

原発は温暖化対策に役立たない-この世界には、はるかに有効な二酸化炭素の排出削減政策がたくさんある

『日本の原子力推進派の主張には、さまざまな事実誤認がある。
その一つは、「原子力発電の推進が地球温暖化対策に欠かせない」という主張だ。
1997年、気候変動枠組み条約の、第3回締約国会議で採択された京都議定書で、
日本は2008~2012年までの平均で、温室効果ガスの排出量を、1990年比で6%削減する、という義務を負った。
その直後に、通商産業省(当時)が、国の政策として打ち出したのが、「原発20基の増設」という目標だった。

民主党が打ち出した「2020年までに1990年比で25%削減」、という目標達成を視野に入れて、昨年6月にまとめられたエネルギー基本計画にも、
「2020年までに9基、30年までに計14基の原発を新増設する」との文言が盛り込まれた。
地球温暖化問題が深刻化し、温室効果ガスの排出削減の必要性が叫ばれるようになって以来、
原子力は、日本の温暖化対策の中で中心的な位置を与えられ、これが「国策」として、原子力を推し進める重要な根拠とされた。





2000年以降、東北電力女川原発3号機、東通原発1号機など、新規の原発が運転を開始し、電力供給に占める原子力の比率も徐々に高まったのだが、
グラフからも分かるように、日本の二酸化炭素排出量の増加には、歯止めがかからなかった。
逆にこの間、排出量を大きく減らしているのは、ドイツ、デンマーク、 スウェーデンなどで、
いずれも、原発の新増設などに頼らずに、温暖化対策を進めている国
である。
 
グラフにある8カ国の中で、原発建設を強力に進めている、唯一の国である日本の排出量だけが、目立って増えていることが分かる。
このことは、原発頼みの日本の温暖化対策が、完全に失敗していることを示している。
逆に言えば、この世界には、原発に頼ることよりも、はるかに有効な二酸化炭素の排出削減政策がたくさんあるということ
だ。

排出量を大幅に減らしている、3カ国に共通している政策は、
二酸化炭素の排出量に応じて課税する、炭素税やエネルギー税の導入、
強力な再生可能エネルギー導入支援政策、
厳しい省エネの義務づけといったエネルギーの需要と供給、両面からの多彩な政策
である。

日本では、このところ普及が停滞している、コージェネレーション(熱電併給)などの「熱」利用の効率化のために、強力な規制を導入している点も共通している
3カ国とも、自然エネルギーの電力の固定価格制度を導入していて、
大規模水力を含めた、自然エネルギーが電力に占める比率は、
ドイツが18%、
デンマークが29%、
スウェーデンに至っては56%
という高さである。

3カ国とも、グラフから分かるように、二酸化炭素の排出量は減らしているが、この間に、きちんと経済成長を続けている。
過去20年間、ほとんど経済成長をしていないのに、電力消費量と二酸化炭素の排出量だけが急増している日本の状況は、明らかに異常である。

つまり、原発の新増設を進めるよりも、
規制を強化して省エネを進め、
風力や太陽光、バイオマス発電などの自然エネルギーを進め、
原発では温排水として単に海に捨てているだけの廃熱を有効利用する方が、
はるかに有効な温暖化対策になる
のだ。

自然エネルギーの拡大や、熱の有効利用のためには、電力や熱の消費地に近い場所で、小規模分散型の発電設備で電気を作り、その時に出る熱も有効に利用する、ということが必要になる。
このような、小規模分散型のエネルギー総合供給システムの方が、大規模集中型の発電システムに比べて、はるかに効率的な上、コストも安い。

例えば、ドイツの電気料金は、家庭用の場合は、炭素税などのために日本より10%ほど高いが、
産業用電力は、日本の3分の2という安さである。
省エネが進めば、需要家は、電気料金やエネルギーコストの削減によって、長期的に利得があるのだが、原発の建設は、省エネの動機づけとはなり得ない。
しかも、今回の東京電力福島第1原発の事故の結果、明らかになったように、
電力の安定供給という点からも、小規模分散型のシステムの方が、大規模集中型に勝っているのである。

自然エネルギーの拡大が、原子力の拡大よりも、効率的な二酸化炭素排出削減対策である
ことは、
今年の5月に、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した、特別報告書の中でも指摘されている。

大規模集中型の原子力発電を、集中的に立地することに頼ってきた、日本の誤ったエネルギー政策と温暖化対策の中で、
小規模分散型の、効率的なエネルギーの総合供給システムは顧みられず、原発建設に多大なコストを投じたために、
エネルギーの需要と供給のシステムを、改革するのに必要な「機会費用」も奪われた。
この結果、日本は、自然エネルギーの開発や省エネの推進で、他の先進国に大きく遅れを取った。

世界で急速に拡大している、自然エネルギー関連ビジネスでの、日本企業の立ち遅れは深刻だ。
原発依存の、日本の二酸化炭素排出削減政策の弊害は大きい。(共同通信編集委員 井田徹治)』




地球温暖化、二酸化炭素排出削減、京都議定書、経済成長、自然エネルギー、再生可能エネルギー、省エネ……、
こんな単語が毎日のように、新聞やテレビの記事の中に現れてき出したんはいつのことやったんやろ?
今日は、原発狂の親玉、ここアメリカが、スリーマイル事故後初めて、実に34年ぶりに、原発建設の再開を始めたんやそうな。
この国は、核の亡霊に取り囲まれてる。軍も政府も、核が無かったら国が滅亡すると思てる。
ほんまは、核があるから滅亡するのに。
そやから、原発をどうのこうの、いくら署名しようが投票しようがデモしようが、地球一核が好きやねんから、
テロか天災で、国の半分ぐらいをやられるぐらいの目に遭わな、自分の愚かさに気がつかんと思う。
いや、もしかしたら、それでも気がつかん可能性もある。
この国の政治屋や軍や企業家の一部の人間は、それほどに病んでる。
 
えらい絶望的で投げやりなこと言うのは、日本はここに比べたらまだマシやと言いたいからや。
もちろん、地震活動期に入った日本は、運命的には、ここよりもっと逼迫してるかもしれん。
事故の可能性かて、地球上のどこの国よりも高い。
そやから、なにがなんでも、一日も早う、すべての原発をまず止めてしまわなあかん。
次のおっきな地震が来るまでに。
もう二度と、福島の原発みたいな事故を起こすわけにはいかん。

『原発頼みの日本の温暖化対策は、完全に失敗している。原発は温暖化対策に役立たない。
過去20年間、ほとんど経済成長をしていないのに、電力消費量と二酸化炭素の排出量だけが急増している日本の状況は、明らかに異常』

日本の納税者の大人達は、完全に失敗してる異常な原発政策のために、
電気代を好きなように設定できる会社っちゅう隠れ蓑着た核物質製造団体に、とことん金を吸い取られてきた。
危機管理も、重大事故のシュミレーションもできてない、深刻な事態を前にオタオタするだけで、すべてを現場の人間に丸投げする人間が、
責任も問われず、誠意も見せず、企業としての権利とかいうて、政府に金を強請ったり、客に料金値上げを当たり前の事のごとく通達する。

よう許せるね、こんなこと。
気がついてへんふりすんのはもうやめて、そろそろ近くにいる、声を上げてる人のとこ行って、なんか自分に合う、できる事してみやへん?
政治屋は、自分が落選すんのが一番恐い。
報道屋は、自分とこが読まれん、聞かれん、観られんようになるのが一番恐い。
企業屋は、自分とこの製品が売れんようになるのが一番恐い。
みんなひとりひとりが、ひとりひとりでできること、いっぱいあると思わへん?
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おじぎと鈴木メソードとトトロと

2012年02月09日 | 音楽とわたし
ある男性から電話がかかってきた。
カリフォルニアからこちらに引っ越してきたという。
彼の娘が、向こうでピアノを習っていて、引き続きこちらで習い出したところ、どうもその先生の教え方が気に入らないらしい。
詳しい話を聞いてみると、彼女の元先生は日本人で、鈴木メソードで教えている人だった。

鈴木メソード……。

この件に関しては、前にも何度か書いたので、今回詳しいことは省略するが、鈴木メソードでピアノを習い始めた子を途中から受け継ぐのは、いつもかなり大変なのだ。

とりあえず、彼女がどうして今の先生が気に入らないかを詳しく聞いた。
すると、父親が言うには、45分間のレッスン中、初見読みの練習をするばかりで、宿題として曲をくれない、のだそうだ。
う~ん……その先生の気持ちも分からないこともない。
きっとその人は、とにかく彼女に、譜読みの習慣と力をつけてやりたい一心なのだと思う。
想像でものを言うのは良く無いけれど、同業者として、そのことも父親に話した。
けれども、45分間すべてを、初見演奏だけで終わらせるのは、子供にとってはやり過ぎかもしれない。
というか、わたしならしない。
なので、別の教え方を経験してみたいなら、一度来て、それが好きかどうか試してみたらいいと言った。
ただ、鈴木メソードでピアノを弾き始めた子のほとんどは、譜読みの訓練ができていない。
それに対して、まずは音符を覚え、それを目で追いながら、鍵盤を見ないで、指の感覚と記憶だけで鍵盤を押し込む動作ができることから始めるのがわたしのやり方なので、
最初のうちは、いろいろと混乱するし、楽しくないし、心身ともに覚えることが山盛りあるし、
そのために、家で毎日、まるでそれが生活の一部みたいに、ピアノの前に座ってとりあえず弾く、という癖がつくまで、親子ともにペース作りに集中しなければならない。

……などと、いろいろあるけれども、まあとにかく一度会ってみよう、ということになった。

ミランダは小学生。
「はじめまして。わたしはまうみといいます。あなたは?」
すると彼女は、少し緊張気味に口元をもぐもぐして、突然おじぎをした。
わたしはそのおじぎにびっくりして、思わず「なにやってんの?」と言ってしまった。
父親が笑って、「いや、向こうではいつも、レッスンの始まりに『よろしくお願いします』と言って先生におじぎをし、そしたら今度は先生が『わかりました』と言っておじぎをして、それからレッスンが始まったんです」と言った。
「……」
唖然として黙ってるわたしに彼は、「どうしたらいいでしょうか?」と聞くので、
「ええと、おじぎはしなくていいです」と答えた。
「ああよかった……実は彼女にはちょっと、それも重荷になっていたんです」と父親。
「それから、あなたのことを生徒達はどう呼んでいますか?ミセス・レア?それともセンセイ?」
「まうみです。ただのまうみ」
「なんと……」
「きっとその先生は、日本の礼儀もミランダに経験させてあげたかったのだと思います」
「ボクもそうだと思います」

レッスンをしてみて、彼女の場合もまた、いろいろな問題がそれぞれに絡み合っている、なかなか更正するには大変な状態だということがわかった。
けれども、まあこれも縁。
とにかく、ピアノ弾きに必要な能力と知識が身に付くよう、それを使って楽しめるよう、なんとかがんばってみようと思う。

ミランダは、ディズニーの映画は一度も観たことがないけれど、宮崎駿の映画はすべて観たと言う。
「ほほぉ~、どの映画が一番好き?」と聞くと、「トトロ!」と、それまでで一番ハキハキとした声で答えてくれた。
「トトロは、わたしも息子達と一緒に百回以上観たなあ。台詞まで覚えてるよ。わたしは魔女のキキも好き」と言うと、
「わたしもっ!」と、今度は初めてニッコリ笑った。
「いつか、譜読みができるようになったら、楽譜を読んで弾こうね!」と言うと、すごく嬉しそうにこっくりと頷いた。

この子が、いろんな楽しくないことをがまんして、いろんなことを乗り越えて、目をケラケラ笑わせながら『トトロのマーチ』を弾く姿を想像する。
がんばろうね、ミランダ。
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