放射線被曝からこどもを守る会のブログにて9月発表後一部の語句を修正された論文、
医療ガバナンス学会メールマガジンVol.393 放射線被曝を避けるためにを、今一度読んでください。
そろそろ慣れてきてしまっていませんか?
そろそろ飽きてきてしまっていませんか?
そろそろ疲れてきてしまっていませんか?
そういう気持ちを払拭するためにも、もう一度、心に喝とエネルギーを入れるためにも。
仙台赤十字病院呼吸器内科
東北大学臨床教授
岡山 博
2012年2月6日 MRIC by
医療ガバナンス学会 発行
●原発爆発後初期数週間の放射能汚染
本年
3月12日、福島第一原子力発電所が爆発し、その後爆発や漏洩、意図した放出が繰り返され、
3月15日から3日間と3月21日から数日間、それぞれ何度も、莫大な放射能が大気中へ放出されました。
放出された放射性物質は、風に乗って運ばれ風下を汚染し、
空中に浮いていた放射能ほこりが雨や雪が降るとそ れに吸着され、大量に地表に降り注ぎました。
宮城県北部から岩手県南部もこのようにして、仙台などの宮城県中部よりも強く汚染され、
現在も環境放射能は事故 以前の数倍に上がったままです。
爆発直後から2~3週間の間、最も危険だったのは、空気中に浮遊しているヨウ素とセシウムの放射能ほこりを、呼吸して吸い込んでしまったことでした。
空気中に存在する放射能は、放射性気体と、小さなほこり=固体に吸着した放射能ですが、
放射性物質のほとんどはほこりに吸着しており、ほこりの放射能が最大の危険物質でした。
人は一日中呼吸しているので、大気中に放射能などの有毒物質があれば、息を吸うと必ず、吸気として吸い込んでしまいます。
水に溶けない気体は 吸ってもほとんどすぐに、呼気として吐き出されますが、
水に溶ける気体は、気管支表面や一番奥の肺胞で体の水に溶け、血液に溶けて全身に広がり、蓄積します。
直径が0.01mmより大きな粒子は、肺の一番奥の肺胞までは到達せず、気管支表面の水に吸着し、
その後、気管支表面の線毛運動によって、ベルトコンベアのように、連続的にのどまで運び出されます。
運ばれたものが大きく硬い場合は、痰として喀出されますが、ほとんどのものは、少しずつ連続的に、のどまで運ばれるので、
気づかずに全て飲み込まれ、放射能のほとんど全部が、腸で吸収されて全身に運ばれます。
0.01mmより小さい粒子は、肺の一番奥の肺胞まで到達します。
肺胞は、線毛運動が無いため、のどまで運んで捨てることはできません。
少しずつ溶けて、全て血液に吸収され、全身に運ばれます。
石の粉やアスベスト、プルトニウムなど、いつまでたっても溶けない物質は、何十年も肺の同じところに留まります。
甲状腺の細胞は、ヨウ素を運び入れるポンプの働きがあるため、肺や腸から吸収されたヨウ素は、甲状腺に集まります。
一方、セシウムは、体内の水に溶け、体中に運ばれて分布します。
セシウムは、体中の水に溶けて分布しますが、細胞外よりは、どの細胞でも、細胞内の水に多く分布します。
セシウムは筋肉に多く含まれる、と説明されることがありますが、
これは、筋肉は細胞の割合が多いこと、筋細胞には、他の細胞よりやや高濃度に含まれることと、
体の中で筋肉の割合が多いので、筋肉の中に多く含まれる、という意味です。
この時期、
被曝を防ぐには、放射能ほこりのない地域へ避難することが、最も有効でした。
それができない場合は、
マスクをして、ほこりの吸入を減らすことでした。
普通のマスクでも、大きなほこりは防げます。
やや小さなほこりは、花粉症のマスクがさらに有効でした。
目の細かいN95マスクを、適切に使えば、0.001mm のほこりでも、99.9%を防ぐことができました。
髪の毛や皮膚についたほこりは、シャワーで簡単に洗い流せます。
放射能ほこりが家の中に落ちると、ほこりが外に出るまで、何年も放射能を出し続け、少しずつ舞い上がるほこりを吸入してしまうので、
衣服や荷物、髪の毛についた放射能ほこりを、家の中に持ち込まないことも大切でした。
次に危険だったのは、放射性物質で汚染された食物を飲食したことです。
初期の2~3週間、空気中に放射能ほこりが浮いていた時期は、ほこりはそのまま、あるいは雨や雪に混じって、野菜など、植物の葉に落ちて留まります。
これは、水洗いをすれば取り除けますが、水洗が不十分だと食物とともに摂取されて、内部被曝を起こします。
時間がたつと、葉の表面に留まったセシウムは、葉から吸収され、葉だけでなく、葉から茎や実に運ばれ、蓄積されました。
これは、洗っても取り除くことはできません。
食べてはいけないのですが、それでも食べる場合は、
葉のように薄いものであれば、ゆでて細胞を壊し、細胞内のセシウムを、お湯にしみださせることができます。
水をかえて、2回ゆでると、かなり減るはずです。
大根やイモ類のように、薄くないものは、細胞を壊しても、ゆでる水までの距離が長いため、十分染み出させるのは難しい。
大根を煮て料理しても、醤油の色や味が、なかなか中までしみとおらないのと同じです。
海産物の放射能についてと、ストロンチウムも大切ですが、本論では省略します。
●現在の汚染状況
現在、大気中に浮かんでいる放射能ほこりは、ずっと減っています。
現在、環境中に測定される放射線のほとんど全ては、放射能ほこりが地面に落ちて、地面に留まったセシウムの放射線源からのものです。
3月末と比べると、環境放射能はかなり低くなっていますが、
これは、放射性物質が取り除かれて減ったのではなく、ヨウ素の放射能が弱くなったためです。
ヨウ素の放射能は、半減期が8日で、8日経つと放射能は半分になり、さらに8日経つとその半分に、と弱くなって、
80日経つとはじめの1000分の1に、160日経った(昨年9月)現在では、ヨウ素の放射能は100万分の1に弱まり、ほとんどなくなっています。
現在、地表や環境に残っている放射能は、大部分がセシウムです。
セシウムの放射能半減期は30年なので、1年や2年ではほとんど減りません。
30年経って半分、また30年経ってその半分の1/4というように、
半減期に従って減る以外には、放射能は、自然や人が分解したり減らしたりできません。
普通の毒物は分解されたり、何かに吸着して毒性が減りますが、放射能ではそのようなことはまったくありません。
今後自然に、少し減るのは、放射能が分解されるからではなく、放射能のついた枯れ草やごみが、ほこりとなって飛び散るか、
少しずつ水で流れて地面に入り、やがて湧き水などになって、川に入って運び去られて減るだけです。
どちらも、急速に減ることは期待できませんし、急速に減ったとしたら、別の場所の放射能汚染を拡大していることで望ましくありません。
環境中の放射能を減らそうと言うのであれば、セシウムの放射線源を集め、運び去ること以外、放射能を減らすことはできません。
環境の放射線を減らすためには、セシウムで汚染されている枯れ草やごみを、取り除くことが最も簡単で、効率的です。
放置しておくと、その間被曝受け続けるだけでなく、少しずつごみや枯れ草から土に移動するので、
同じ量のセシウムを除くのに、手間や費用が今よりかかります。
今でもセシウムは、土に移動しています。
枯れ草やごみだけでなく、今なら、表土を数センチ除去すると、環境放射能をかなり減らすことができます。
時間がたつと、セシウムは、さらに地面の下までしみとおっていくので、除去するなら、早いほど効率的です。
放射能は、減らすことも、分解することもできません。
人ができることは、移動することだけですから、除染というのは、放射線源を集め、どこかに持ち出し、集めて管理することです。
いくら取り除いても、集めて管理しなければ、別のところに汚染を拡大してしまい、すべきではありません。
十分な集塵機能を持たない焼却処分は、 せっかく集まっている放射能を拡散させてしまうことなので、処分しないことより悪いです。
●野焼きについて
子どもたちの放射線被曝を心配するお母さん達から、野焼きについて相談いただきました。
わらや枯れ草に、放射能雨が降り注いだ後、水は蒸発しますが、放射能はそのまま残ります。
放射能ほこりが降り、放射能雨・雪でぬれて乾いたわらや枯れ草、水溜りが乾いたごみは、最もセシウム放射能がたまっているところです。
宮城県で、雨にぬれた稲わらを、全国の牛に食べさせ、牛肉が高度に汚染されていることがわかり、出荷停止になり、稲わらを食べさせるのも禁止されました。
宮城県は、知事が「宮城県は汚染されていない」という強い信念を持っており、
文部省指示による、降下・雨中放射能を、今でも測定・発表していないただひとつの県です。
降下放射能の軽視が、稲わらと肉牛の、セシウム放射能汚染の背景にあります。
4月時点で存在し、放射能ほこりが降下し、放射能雨にぬれた植物や枯れ草、わらなどは、強く汚染されています。
これを野焼きすると、放射能は煙になって拡散し、残りは燃えかすや灰になって残ります。
野焼きしているときに見える煙は、気体ではなく、小さな粒子で、これに放射能が含まれています。
放射能は、目に見えない、もっと小さな粒子にも含まれています。
空気中に拡散すれば、それを呼吸して、放射能を肺に吸入、吸収してしまいます。
これは、放射能が枯れ草やわらとして、地表に固まって存在し、そこからの放射線で人が外部被曝するよりはるかに危険なので、すべきではありません。
野焼きで出た煙などの放射能ほこりは、原発の大爆発と違い、比較的近くに、大部分が降下すると予測されます。
それをまた、住民が呼吸し、また、農作物や植物を汚染します。
原発爆発によって起こされた、放射能拡散と放射能被曝を、もう一度繰り返すということです。
原発事故から時間がたち、ヨウ素の放射能はありませんから、ヨウ素剤服用の必要はありませんが、
セシウムによる第二次汚染・第二次被曝と言える、危険な汚染です。
これから行われようとしている野焼きに、4月時点ですでに存在し、放射能雨にあたった、わらや枯れ草が含まれているとしたら危険で、止めるべきです。
止めさせることができなかったら、避難すべきです。
避難できない場合は、マスクをし、家を密閉すべきです。
後で、ほこりを掃除して、家の外に出すよう掃除します。
掃除は、子どもを避難させた上で、良いマスクをして、隙間などのたまったほこりを、掃除機で吸い出してもよいが、
やりにくい場所は、逆噴射して、巻き上げるほうがよいかも知れません。
窓は、全部開放して、巻き上げたほこりを、風で戸外に出します。
目に見える床や、家具の表面は、ぬらした新聞紙をそっと上において、
こするのではなく、ぬれた新聞紙にほこりを吸着させ、そのまま捨てるのがよいと思います。
雑巾で拭くのは、要注意。
ふき取って取り除けるのは一部で、床に広げて、擦り付けてしまうものもあります。
雑巾に吸着した分だけが、床から取り除かれた分です。
雑巾についた放射能ほこりを、洗い流すのは困難なので、捨てるのがいいです。
もし、4月の草やわらが、既に野焼きで燃やされてしまったとしたら、放射能のかなりは、煙として大気に拡散し、その後地面に降り注いだはずです。
燃えカスと残り灰には、強い放射能が含まれている可能性が高く、きちんと処分すべきです。
煙の中の粒子と、煙になって飛び去らずに残った灰と、燃えカスの重さの合計が、燃やす前の10%に減っていたら、
放射能は減らないので、kgあたりの放射能は10倍になります。
1kgで1000ベクレルだったら、焼いた後は1kgで1万ベクレル、初め1万ベクレルだったら、焼いた後は1kg10万ベクレルの放射能煙と、放射能灰です。
5月以降に育った稲などの汚染は、大部分が、土と水から放射能を吸収して蓄えたものだけなので、
4月以前からあった植物やごみよりは、かなり少ないはずですが、どの程度に危険かは、測定してみないとわかりません。
確認するまでは、大気中に拡散すべきではありません。
9月になって、一関の米から、27ベクレル/kgの放射能が検出されました。
稲わらは、米粒より多量の放射能を含んでいる、と予測されます。
●環境除染と除染後の放射能汚染物質処分
田畑や、道路の水溜り跡のごみなどは、放射能量が多く、放射能実験施設から持ち出し禁止レベルの強い放射能が、いたるところに大量にあります。
これも、取り除いて除染して、安心して生活できるレベルにすべきです。
放射能は、なくすことも減らすこともできません。
人ができるのは、移動することだけです。
放射能処理や除染というのは、散らばっている放射性物質を、集めて管理するということです。
拡散することは、除染・処理と逆のことで、放置よりもまずいことです。
高性能の集塵装置を持つごみ焼却場で焼却すれば、放射能のほとんどを回収することができますが、野焼きでは、全て大気に放出、汚染します。
焼却場で回収はできても、回収した放射能はどこかに集め、管理するしかありませんが、集める所も方法も決まっていません。
高性能でない焼却場で償却すれば、放射能を大気中に、再放出・拡散汚染します。
したがって、放射能除染をするためにまず第一に行うべきことは、
除染して取り除いた放射性物質を、どこにどのような形で、どの程度集めるかという、処分方法と処分場を決めることです。
これなしに、社会全体の、除染の方針を決めることはできませんが、決まっていません。
福島原発近くの、できれば東電敷地内に、すべての汚染物質を集め、数百メートル四方以上の巨大な丘に築き、管理することが正しい処分、管理法と私は考えています。
原発敷地にある、超高レベルの放射能とは違い、放射能レベルはずっと低いので、
地面にしみこまないことと、風で飛ばない対策をするだけで、積み上げておくだけで管理できます。
丘に積み上げるだけなので、無制限に集めることができます。
各地で、地域除染の熱意があれば、集めた汚染物質の保管先を心配せずに、いくらでも除染活動ができます。
処分場の方法や場所、規模を決めない政府は、無責任・無能力です。
これ以外の処分法を言うのは、打算か、考えが浅く、全て誤りだろうと私は考えます。
大規模処理場を作らないということは、今後、環境除染をあまりせず、残りは放置するということです。
一日も早く、原発近くに、汚染物を無制限に集めるという、処分場の方針を決めるべきです。
実行するまで、莫大な費用と、放射能拡散を増やしつづけてしまいます。
除染には莫大な費用がかかります。
無駄に使うべきではありません。
(付録)
放射線の安全性、放射線処理を考える参考のために、「電離放射線障害防止規則」の抜粋を示します。
法律の文章を、断片的に紹介するため、言葉を少し変えていますが、内容は元のままです。
現在でも、放射能を扱う大学などの実験施設や、事業所、企業は、この基準で放射線を管理し、繰り返し守られないなどの場合は、罰則を受けます。
放射能管理区域から、持ち出し禁止量の放射能が、生活環境の中に沢山放置されています。
電離放射線障害防止規則抜粋(一部語句をかえています)
第二条 「放射性物質」とは、40Bq/cm2を超えるもの。
74Bq/g以下の固体のもの、及び、密封されたもので、その数量が3.7メガベクレル以下のものを除く。
第三条 管理区域を、標識によって明示しなければならない。
外部放射線と、空気中の放射性物質合計が、3ヵ月間につき、1.3ミリシーベルトを超えるおそれのある区域。
表面密度が、4Bq/cm2を超える恐れのある区域。
必要のある者以外の者を、管理区域に立ち入らせてはならない。
取扱い上の注意事項、事故の応急の措置等を、掲示しなければならない。
施設。遮へい物を設け、密閉する設備を、設けなければいけない。
第四条 業務従事者の受ける実効線量が、5年間につき100ミリシーベルトを超えず、かつ、1年間につき50ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。
第二十六条 飛沫、又は粉末が、身体又は衣服、履物に付着しないように
第二十七条 ピンセットなど、用具を他の用途に用いてはならない
第二十八条 汚染した場合、直ちに、汚染のおそれがある区域を標識し、4Bq/cm2(注:およそ400Bq/kgの土、80Bq/kg枯草)以下に、除去しなければならない。
第二十九条 清掃を行なうときは、じんあいの飛散しない方法で、行なわなければならない。
第三十三条 貯蔵は、かぎ閉鎖の貯蔵施設
第三十五条 焼却は、気体がもれるおそれがなく、かつ、灰が飛散するおそれのない構造の焼却炉
第四十四条 放射性物質を誤つて吸入摂取し、又は、経口摂取した者などは、診察、又は処置を受けさせなければならない。
本論は、放射線被曝からこどもを守る会の皆さんからご要望を頂いて、解説し、私の意見を含め書いたものです。
「放射線被曝からこどもを守る会 いわて」ブログ 9月発表後一部語句修正』
原発爆発後の初期数週間、マスコミはいったいなにを伝えてた?
テレビは毎日、どんな番組を放映してた?
ラジオは?
新聞は?
放射能ほこりのない地域へ避難することが、最も有効でした。
それができない場合は、マスクをして、ほこりの吸入を減らすことでした。
やや小さなほこりは、花粉症のマスクがさらに有効でした。
目の細かいN95マスクを、適切に使えば、0.001mm のほこりでも、99.9%を防ぐことができました。
髪の毛や皮膚についたほこりは、シャワーで簡単に洗い流せました。
放射能ほこりが家の中に落ちると、ほこりが外に出るまで、何年も放射能を出し続け、少しずつ舞い上がるほこりを吸入してしまうので、
衣服や荷物、髪の毛についた放射能ほこりを、家の中に持ち込まないことも大切でした。
過去形ばっかり並んでるこの文章を、読んで後悔する人は何人いる?
ほんの10分でも、ほんの数行でも、放射能の被ばくから身を守るための知識を知らせてくれてたら、どんだけ大勢の人達が救われてたか……。
史上最低の、意味不明の、役立たずを通り越して人殺しまがいの政府の片棒を担いでる報道機関。
ちょっとぐらいまともな番組やら特集組んだかて、当時の罪がそれでチャラになると思てたら甘いわ。
ちょっとではすまんねん。
今、政治屋や企業や官僚がしがみついてるシステムをひっくり返すぐらいのことせな。
それくらいやったらどう?
せめてもの罪滅ぼしに。