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ホテル・ニューハンプシャー

2006-05-08 15:53:03 | ノンジャンル
 「さくら」「きいろいゾウ」の西加奈子さん推薦のジョン・アーヴィング「ホテル・ニューハンプシャー」を読みました。
 夢見がちな父、優しい母、ホモで引きこもりがちの長男フランク、美しく活発な長女フラニー、フラニーを愛する僕、身長が伸びなくなった妹のリリー、難聴の末の男の子エッグ、そして高校のフットボールのコーチを務める祖父のボブのベリー家が廃校になった女子高を改装し、ホテル・ニューハンプシャーを始めます。
が、結婚前に父と知り合ったユダヤ人のフランツからの手紙がきっかけで、家族はウイーンの新しいホテル・ニューハンプシャーに移ります。しかし、そこもホテルを根城にしていた過激派の起こした爆発によって出ていかざるを得なくなり、一家はバラバラにアメリカ各地へ住み着くようになります。父は父が若い頃に働いていたメイン州の海沿いの観光地へ主人公と住み、フランクはニューヨークで敏腕のエージェントとなり、フラニーはハリウッドで女優になります。そして主人公の結婚、フラニーの結婚と妊娠によって、この物語りは終わります。
 前半は不良高校生によるフランク、主人公への虐め、フラニーのレイプなどもありますが、仲のいい家族のやりとりに心暖まり、またそれぞれの個性が際立っていて、楽しく読めます。
 が、ウイーンに移ってからは、売春婦や過激派など多くの人物が登場し、話についていくので精一杯って感じでした。
 また、この小説では多くの人が死にます。ボブが犬のはく製に驚いて死に、母とエッグはヨーロッパへ向かう飛行機の墜落で死に、リリーは作家になった後自殺してしまいます。父も過激派の起こした爆発で失明してしまいます。
 最後は忙しいフラニー夫婦に替わって、主人公夫婦がフラニーの産んだ赤ん坊を育てることになり、希望に満ちた感じで終わるのですが、ちょっと重たい気持ちにさせる小説でした。