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山田詠美『放課後の音符』

2006-09-12 16:54:22 | ノンジャンル
 今日の山田詠美作品は、'89年作品「放課後の音符(キイノート)」です。8編のティーンエイジャーの女の子を主人公にした短編と、「放課後が大好きな女の子たちへ」と題された詠美さんのあとがきからなっています。
 第一話「Body Cocktail」は、17才にして男とベッドを共にするのを日常にする女の子が妊娠して子供を産むという話を、離婚した父と暮らす私に語るというもの、第二話「Sweet Basil」は、私の幼な友だちで気楽に話しをする仲の純一に恋をするリエを、私は彼女の視線から感じ取り、リエに詰問してしまい、それが原因で純一との仲もぎくしゃくしたものになりますが、最後には純一との気楽な仲を取り戻すという話、第三話「Brush Up」は、アメリカ生まれで日本の中学に転校してきた雅実は、日本人の閉鎖的な物事の考え方に辟易し、高校はアメリカン・スクールに行き、たまに私の所へ来て、好きな男の子がいること、しかし彼はクラスメートのジェーンと既に寝ていること、それでもジェーンのアドバイスで彼と寝たことを話すという話、第四話「Crystal Silence」は、南の島での耳が聞こえず言葉も話せない男の子との恋の話をクラスメートの子から聞くという話、第五話「Red Zone」は、サエキ君にふられたカズミは涙にくれていたが、やがて立ち直り、サエキ君がつきあっている28才の女性を見て、自分のあのような素敵な女性になったら、またサエキ君にアタックする、と言うという話、第六話「Jay-Walk」は、クラスの女子のボーイフレンドを片っ端から横取りしていくヒミコに、じゃんけんで負けた私は文句を言いにいきますが、逆に気に入られて、夜のクラブに連れて行かれるという話、第七話「Salt and Pepa」は、卒業式の真近な日、私は音楽室で抱き合うカヨコ先輩と音楽の先生を目撃し、その姿に憧れ、カヨコ先輩に恋を語ってもらうという話、第八話「Keynote」は、第二話の後日談で、結局私と純一が結ばれる、という話。
 外人がほとんど出てこない最初の小説であり、どうしてもジメっとする傾向にある女子高校生の世界をカラっと明るく描いた小説でした。第四話は、他の南国ものに通じる短編でした。気軽に読めるものばかりなので、まだ読んでいない方、オススメです。