瀬尾まいこさんのデビュー作「卵の緒」を読みました。「卵の緒」と「7's blood」の中編2つからなっています。
「卵の緒」のあらすじは、次のようなものです。自分が捨て子だと思っている育生は、授業でへその緒の話を聞き、母を問いつめますが、母は「卵で産んだからない」と言います。突然学校に来なくなった池内君の家を度々訪ねて遊んだり、母のボーイフレンドの朝ちゃんと夕飯を食べたり、遊びのあと猫に命を助けてもらってから猫グッズをコレクションしているじいちゃんちに行って夕飯のおかずをもらったりしているうちに、6年生になった時、母と朝ちゃんが結婚します。育生の姓が鈴江から朝井に変わり、池内君も学校に来るようになり、しばらくして妹か弟ができることになり、育生は母から自分が余命いくばくも無い大学教授と当時大学生だった母との間に生まれた子だということを母から教えられます。中学生になった育生は、人間が卵から生まれず、親子の絆は不確かなものだと知るようになります。そして妹の育子ととても仲よく暮らすのでした。
「7's blood」は、次のような話です。七子は死んだ父の愛人のこどもで弟の七生と2人で生活しています。七生の母が傷害事件を起こして刑務所に入って、七生がやってきてすぐに、七子の母が入院してしまったからです。食事の用意や洗濯は七生がしてくれます。高3の6月になっても七子の進路は決まっていません。学校ではボーイフレンドの野沢が七生を見たいと言いますが、七子は七生のことを、どうしてもかわいいと思えません。そんな中、七生が学校での自己紹介で、母が二人いて、一人は刑務所にいると言ったことが問題になり、七子が学校に呼び出され、七生との関係は増々悪化します。そんなある日、夜中に冷蔵庫をあさる七生を七子が見つけると、七生の手にあったのは、七子の誕生日に渡しそびれて腐りかけているショートケーキでした。七子は七生の気持ちをうれしく思い、腐りかけのケーキを食べます。夏休みに入ると、七子は頻繁に母の病室を訪れます。七生はガールフレンドと宿題をやり、帰りがけにキスをしているのを七子に見られ、七子に問われると、他のガールフレンドともキスをしてると答える七生。そうこうするうち、七子の母がガンで亡くなります。七子の悲しみは日常の中で薄れて行くとともに、隣の席の島津君が好きになります。そしてある晩寝付かれない七子は七生を連れて深夜の散歩に出かけ、野犬に追いかけられたりしながら、帰ってきた時に、死んだ母が男の子をほしがっていたことに気付き、泣きます。冬、風邪で七子が寝込んでいる間に、七生の母が出所し、七生は母のもとに戻ることになります。七子は嫌がる七生の髪を切ってやり、また会えるよね、とお互いに言って別れるのでした。
どちらも家族関係を扱った小説で、とても読みやすく、また登場人物の心情がストレートに伝わってくる小説です。特に「7's blood」の七子と七生のやりとりは、二人のキャラクターがよく出ていて楽しく読めました。善人しか出てこないのにドラマが生じる瀬尾まいこ小説の特徴は、ここでも健在です。まだ読んでいない方、オススメです。
「卵の緒」のあらすじは、次のようなものです。自分が捨て子だと思っている育生は、授業でへその緒の話を聞き、母を問いつめますが、母は「卵で産んだからない」と言います。突然学校に来なくなった池内君の家を度々訪ねて遊んだり、母のボーイフレンドの朝ちゃんと夕飯を食べたり、遊びのあと猫に命を助けてもらってから猫グッズをコレクションしているじいちゃんちに行って夕飯のおかずをもらったりしているうちに、6年生になった時、母と朝ちゃんが結婚します。育生の姓が鈴江から朝井に変わり、池内君も学校に来るようになり、しばらくして妹か弟ができることになり、育生は母から自分が余命いくばくも無い大学教授と当時大学生だった母との間に生まれた子だということを母から教えられます。中学生になった育生は、人間が卵から生まれず、親子の絆は不確かなものだと知るようになります。そして妹の育子ととても仲よく暮らすのでした。
「7's blood」は、次のような話です。七子は死んだ父の愛人のこどもで弟の七生と2人で生活しています。七生の母が傷害事件を起こして刑務所に入って、七生がやってきてすぐに、七子の母が入院してしまったからです。食事の用意や洗濯は七生がしてくれます。高3の6月になっても七子の進路は決まっていません。学校ではボーイフレンドの野沢が七生を見たいと言いますが、七子は七生のことを、どうしてもかわいいと思えません。そんな中、七生が学校での自己紹介で、母が二人いて、一人は刑務所にいると言ったことが問題になり、七子が学校に呼び出され、七生との関係は増々悪化します。そんなある日、夜中に冷蔵庫をあさる七生を七子が見つけると、七生の手にあったのは、七子の誕生日に渡しそびれて腐りかけているショートケーキでした。七子は七生の気持ちをうれしく思い、腐りかけのケーキを食べます。夏休みに入ると、七子は頻繁に母の病室を訪れます。七生はガールフレンドと宿題をやり、帰りがけにキスをしているのを七子に見られ、七子に問われると、他のガールフレンドともキスをしてると答える七生。そうこうするうち、七子の母がガンで亡くなります。七子の悲しみは日常の中で薄れて行くとともに、隣の席の島津君が好きになります。そしてある晩寝付かれない七子は七生を連れて深夜の散歩に出かけ、野犬に追いかけられたりしながら、帰ってきた時に、死んだ母が男の子をほしがっていたことに気付き、泣きます。冬、風邪で七子が寝込んでいる間に、七生の母が出所し、七生は母のもとに戻ることになります。七子は嫌がる七生の髪を切ってやり、また会えるよね、とお互いに言って別れるのでした。
どちらも家族関係を扱った小説で、とても読みやすく、また登場人物の心情がストレートに伝わってくる小説です。特に「7's blood」の七子と七生のやりとりは、二人のキャラクターがよく出ていて楽しく読めました。善人しか出てこないのにドラマが生じる瀬尾まいこ小説の特徴は、ここでも健在です。まだ読んでいない方、オススメです。