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島泰三『親指はなぜ太いのか』

2009-12-04 18:13:00 | ノンジャンル
 月刊ソトコトで挙げられていた、島泰三さんの'03年作品「親指はなぜ太いのか 直立二足歩行の起源に迫る」を読みました。
 まず、まえがきの部分で、「主食が霊長類の種の口と手の形を決定する」という「口と手連合仮説」を提唱し、これの検証をもとに人類の直立二足歩行の謎に迫っていきます。まず、アイアイを含むマダガスカルの原猿類が主食を効率的に食べるためにいかにして手と歯の形態が決定づれられているかを見ていき、次に同じことをアフリカ本土の原猿類、ニホンザル、ゴリラ・オラウータンについても述べます。そして初期人類の手と歯の様子から、その主食が何であったのか、これまでに提出されてきた仮説を次々に批判した上で、それが骨であったことを類推し、最後に骨を砕くために必要な石を持って歩くために二足歩行が始まったことを説明していきます。
 この本でニッチという概念を知りました。これはある限られた場所でまったく同じものを主食とする動物が同時には生きられないということです。例えば同じ植物であっても食べる場所が違ったりして「食べ分け」が行われていて、よく言われる「棲み分け」という概念は動物には有効でないということでした。また、骨が食べられることも初めて知りました。ガリっと噛んで欠片をゴリゴリしばらく噛んでいるとノリ状になるのだそうです。飛ばし読みしたところもありましたが、面白い内容の本でした。動物の多様性、特に動物形態学に興味のある方にはオススメです。