ルドルフ・マテ監督『欲望の谷』

　山田宏一さんと和田誠さんが本「ヒッチコックに進路を取れ」の中で言及していた、ルドルフ・マテ監督の'55年作品「欲望の谷」をDVDで見ました。
　パリッシュ（グレン・フォード）は南北戦争で負傷した時、牧場主のパデューに命を助けられた後自分の牧場を持ちますが、傷も癒えたので牧場を売って東部に帰ろうとします。しかし、12年前にパデューと土地争いをして足を負傷し松葉杖が必要になったアンカー牧場の牧場主ウィルキンソン（エドワード・G・ロビンソン）が弟のコールを使って、マトロックをリーダーにしたやくざ者たちの暴力で農民たちを脅して土地を安く買い漁っているのに反感を覚え、土地に留まることを考えます。しかし自分を連れて東部に行ってほしいと懇願する許嫁のキャロラインに押し切られてウィルキンソン邸を訪ねますが、ウィルキンソンは彼のプライドを叩きのめすため、わざと低い買い値を言って彼を帰らせます。マトロックらはパリッシュの牧童の１人を脅しのために殺し、パリッシュは酒場に単身乗り込んでマトロックを射殺します。コールの部下たちはパリッシュの牧場を焼き討ちしますが、パリッシュは牧童らを連れて事前に抜け出し、帰り道を待ち伏せしてコールの部下たちを殺します。ウィルキンソン夫人のマーサ（バーバラ・スタンウィック）とできていたコールは嫌気がさしてウィルキンソンのもとを去り、パリッシュらは牛や馬の暴走を起こした上でアンカー牧場を焼き討ちします。マーサはウィルキンソンを燃える家の中に置き去りにし、コールにウィルキンソンが死んだことを伝えて、また二人で組もうと言います。アンカー牧場の焼跡でウィルキンソンの娘ジュディスは生きていた父を発見し、パリッシュの元に身を寄せます。マーサは保安官を焚き付けてコールと一緒に土地を手放さない農民たちを殺して回り、パリッシュに賞金をつけますが、パリッシュはウィルキンソンとジュディスを従えてアンカー牧場に乗り込み、保安官と殺し屋たちを去らせ、コールとの決闘に勝ち、マーサもコールの情婦に射殺されます。そしてウィルキンソンがアンカー牧場を継いでほしいと言っているとジュディスに告げられたパリッシュは、自分の牧場をウィルキンソンに売ろうと言うのでした。
　巨石がごろごろある谷の風景など、ロケーションの魅力が満載でした。暴力描写もすさまじく、これでもかこれでもかといった感じでした。グレン・フォードという俳優がハードな暴力のイメージを強く帯びるようになるのは既にこの頃からだったことを知りました。暴力的な西部劇に興味がある方にはオススメです。