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ウィリアム・ワイラー監督『L・B・ジョーンズの解放』

2011-09-15 06:38:00 | ノンジャンル
 今日はビル・エヴァンスの32回忌です。改めてご冥福をお祈りいたします。

 さて、ウィリアム・ワイラー監督の'70年作品『L・B・ジョーンズの解放』をWOWOWで見ました。
 新婚の弁護士スティーヴ(リー・メジャーズ)とその妻ネラ、そして暗い目をした黒人のソニーボーイが列車でテネシー州の町へやって来ます。ソニーボーイは拳銃の入った箱を手に列車を飛び降り、それを発見した警官に尋問されますが、友人を訪ねて来たと言ってやり過ごします。スティーヴらは叔父の弁護士のオマーン(リー・J・コッブ)を訪ねると、オマーンはスティーヴに用意していた部屋を見せますが、そこへ葬儀社を営む黒人のL・Bが現れ、不倫をしている若い妻・エマとの離婚訴訟をしたいので、その代理人になってほしいとオマーンに言い、彼に同情したスティーヴの頼みもあって、オマーンは彼の願いを聞き入れます。ソニーボーイは育ての親のママ・ラボーンが経営する盛り場を13年ぶりに訪れ、彼女を喜ばせますが、以前自分を半殺しにした白人警官スタンリーへの復讐をするために戻ってきたのだと言います。オマーンはL・Bから離婚を承諾していると聞いていたエマが弁護士を雇い、離婚に異議申し立てをしていると知って、それをL・Bに知らせ、それを聞いたL・Bはエマに真意を尋ねると、浮気相手の白人警官ウィリーと別れず、今のままの生活を続けたいとエマは言い張ります。L・Bの目の前を通って、エマの部屋へ入っていくウィリーに耐えられず、L・Bはオマーンに裁判を起こすよう再度促しに行きますが、オマーンは裁判で白人の名前を出すのはタブーだと言います。L・Bが帰った後、オマーンはスティーヴに、自分も学生時代に家政婦の若い黒人と恋に落ち、白人の婚約者に婚約を破棄され、それ以来独身を通していることを語り、彼に自分の仕事を継いでもらうことが現在の唯一の希望であることを述べ、裁判で名前が出ればウィリーは職を失い、彼の家族も恥をかくことになると言います。オマーンはウィリーに会いに行き、弁護士を断るようにエマを説得しろと言い、帰ってくると、スティーヴはオマーンを人種差別主義者だと言いますが、オマーンは30年このような妥協をしてきた結果、事務所を続けてこれたのだと言い、スティーヴはオマーンが変えようと思えば状況は変えられるのだと言い返します。一方、ウィリーはエマを訪れますが、エマは彼の子を妊娠したことを告げ、今の関係を続けたいと言い、子を堕ろす声にも耳を傾けようとしないので、ウィリーは暴力を振るいます。ママ・ラボーンは自分の葬式が最高のものになるようにL・Bと楽し気に話し合いますが、その頃、逮捕された夫を釈放してくれと頼む黒人の妻をウィリーとスタンリーは強引に犯します。家に帰ったL・Bはウィリーに殴られたエマの顔の血をぬぐってやりますが、彼女は彼に背を向け、そんな彼女にL・Bは「このままだといつか殺されることになる」と警告します。早く片をつけろとオマーンに言われたウィリーは、L・Bに直接会いに行き、エマから手を引くので、月曜日の午後6時までに離婚訴訟を取り下げろと言って去ります。そばでそれを聞いていたソニーボーイは、ウィリーの同僚のスタンリーがその日の午後彼の農場で一人になることを知り、復讐を遂げようとしますが、至近距離から撃つチャンスがあったにもかかわらず、引き金を引けず、その後、彼は笑い出し、彼を許したことをママ・ラボーンに告げます。月曜日の午後6時を過ぎても連絡がなく、イラつくウィリー。仲間のベニーが逮捕され、彼の保釈金を払うために警察に来いと言われたL・Bは、途中でウィリーらに捕えられてパトカー内で暴行され、一旦は逃げるのに成功しますが、あえて勇気をもって自ら彼らの前に姿を現し、どうしても離婚訴訟を取り下げないと言うと、ウィリーはスタンリーに促されて彼を射殺します。スタンリーは死体をわざと傷つけ、黒人同士の報復殺人に見せかけ、エマとベニーをその犯人に仕立て上げますが、すぐにオマーンは嘘を見抜き、自首してきたウィリーに偽装工作を施し、迷宮入りさせることで穏便にすませようとします。怒ったソニーボーイはスタンリーを拳銃で脅してコンバインで粉砕して殺し、スティーヴとネラもオマーンのもとを去ります。L・Bの葬儀の歌とコンバインの音が響く中、スティーヴ夫妻とソニーボーイは列車で町を去るのでした。
 落ち着いた深みのある色彩のロバート・サーティズの撮影が印象的で、陰惨な話を救っていました。ワイラーの遺作としても見る価値のある映画だと思います。