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川上未映子『夏の入り口、模様の出口』その3

2011-09-24 07:48:00 | ノンジャンル
 鈴木則文監督・共同脚本の'73年作品『まむしの兄弟 恐喝三億円』をスカパーの東映チャンネルで見ました。菅原文太主演で、日本人の売春婦から生まれた中国人マオの役を松方弘樹が演ずるという変わり種でしたが、あまりの緊張感の無さに途中からあらすじを追うのを止めました。『トラック野郎』シリーズもそうでしたが、菅原文太主演の鈴木監督作品はどうも私には合わないようです。冒頭、田んぼで立ちションをする文太に、観光バスから降りてきた老女たちも長々と横に並んで立ちションするという名場面(?)もあっただけに、悔やまれます。

 さて、またまた昨日の続きです。
 未映子さんには前から親近感を抱いていましたが、このような文章を読み、また今回彼女が乙女座であることを知って、その感を増々強く持つようになりました。
 これ以外にも、「(人の)命名は義務であろうけれど、それと一緒にそこにはなにかしらの希望的な思いがこめられているような気がする」(11ページ)とか、「自分を含めて、出来事や物や人に限らずそもそもの期待値を低く見積もっておくこと。それは単純なネガティブ思考ではなくて、そうすることで生まれる余地がべつの視野と角度を与え、ひとつが行き詰まったときにこそ計らずも大きなちからをもつような気がする。ついつい頑張りたくなる名づけから、『たかが名前』で行けたらいいなー。」(13ページ)とか、「ちなみに『!』は驚いた猫を後ろから見たかたちで『?』はあれっと思った猫のそれ。上はしっぽで、下の黒丸はおしりの穴だとこういうわけです。あくまで噂なんだけど、これはとっても好きな話。何度だって書いちゃうよ。そう思って見ると、それぞれとてもかわゆいね。」(16ページ)とか、また104ページから105ページにかけて書かれている、天気が悪くてボーっとしていた日に、過去の細々とした記憶が際限なく思い出されたりする描写などには、強い共感を覚えましたし、中でも特に激しく共感した文章は、「(『平均貯金額は**円ないと駄目』とか、『女に生まれたからには一度は子どもを生んでみたい』とか)世間は手を替え品を替え物語を用意して、最近は『言い切る』かたちで捏造して煽ってくるけど、お待ちください。この人生の主導権はいつだってこっちにあるのだからそういった物言いはすべて堂々と無視する力をもちたいものだ。自立なんてのはお金を持つことでも独立して新しい家族をもつことでも世間の感情に自分の感情をすり寄せることでもなくて自分で考えた価値観を自分の責任において遂行するだけのことなのだった。その意味において自分の好きなように生きてようのが人生だから、まあときどきは、チョコなどを食べてがんばろう。」というものでした。
 関西の人特有のユーモアに溢れていて、あまりのくだらない言葉遊びによって爆笑してしまった箇所も多く、大変楽しく読ませていただきました。是非手に取って一読されることをお勧めします。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/