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ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『灼熱の魂』その5

2018-11-25 04:24:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 食事。ルベル「同業のマダッド氏に兄上と父親の調査を頼んだ。父親アブ・タレクは死亡証明書が存在しない。この国では行方不明者が多く、彼のような人間は国を出た可能性が高い。死亡または国外のいずれかが判明する」シモン「不明でいい」ルベル「兄上ですが、ナウル・マルワン夫人はデルオムの村の出身。男児を出産し、助産婦エルハムがその子をクファリアットの孤児院へ。1970年5月のことだ。(中略)1970年5月デルオムの助産婦エルハムが“里子に出す”と男児を預けた。その月、男児は1人だけ。男児は“ニハド”という名で登録された。日付が一致する。兄上の名はニハドだ。クファリアット孤児院では“ニハド・ド・メ”、これが登録上の名前だ。意味は“5月のニハド”。孤児院に来た月で呼ぶ。だが内戦になり、もらい手は現れなかった。1974年孤児院は破壊された。孤児院の破壊者を捜し、子供たちの行方を聞くしかない。あの一帯の過酷な歴史を考えると、望みは少ない」シモン「きっと死んでる」「死んではいない。痕跡を見失った」「破壊者も兄も死んでいる。手紙を開けよう」「遺言は神聖だ。破ることは許されん」「レイプと同じだ。うちの“血筋”だ。(間をおいて)すまない」「残された方法は一つ。だが、かなり過激な方法だ。孤児院を破壊した男は生きている。子供たちの行方を知っているはずだ。40年近く前だ。長い年月の間、各派の無情な論理によって報復の連鎖がふくらみ続けたのだ。足し算のように。戦闘を指揮する男は記憶力が抜群だ。必ず覚えているとも。ワラット・シャムセディンという名前だ」「どこで見つける?」「彼が君を見つける。そのための作戦が……君はお茶が好きか?」ジャンヌ「あなたの番よ」。
 ルベル「デレッサの難民キャンプに行くのだ。誰であろうと誘われたらお茶を飲み、その人に言え。君は“歌う女”の息子でニハドを捜してると。案内なしではまずい。同行する者を見つけよう」。
 車、キャンプに到着。「デレッサにようこそ」、難民キャンプの中を歩き回るシモンとルベルと2人の案内人。「どこへ行けば?」「さあ」。人だかり。〈見間違うなよ。工学で勉強したが、仕事がないのでタクシーの運転手をしている〉〈何しに来た?〉〈ここへ案内してくれと言う外国人を連れてきた〉〈来てくれ〉〈せっかくだが時間がない〉〈どうか寄ってほしい〉「お茶に招待したいと」「ぜひ」「なぜデレッサに来たのかと」「ニハド・ド・メを捜しに」「知らないそうだ。あなたのことを教えてくれと」「母は南部のデルオム出身。“歌う女”と呼ばれた」。
 シモン「お茶は飲んだ。何を待つ?」。
 都会の全景。
 病院の廊下を歩くルベルとシモン。ノック。「あなたがサルワン・マルワン?」「そうです。あなたには協力しますよ。1時間で戻れる」シモン「姉に電話は?」ルベル「ダメだ。1時間で済む。約束だ」サルワン「着替えさせてくれ」。シモン、ドア閉める。「ジャンヌに電話する気だ」「構わんよ。心配はいらない。行っても平気だ。南部では物事が急速に展開する」「分かった」。(また明日へ続きます……)
 また昨日の続きです。
 食事。ルベル「同業のマダッド氏に兄上と父親の調査を頼んだ。父親アブ・タレクは死亡証明書が存在しない。この国では行方不明者が多く、彼のような人間は国を出た可能性が高い。死亡または国外のいずれかが判明する」シモン「不明でいい」ルベル「兄上ですが、ナウル・マルワン夫人はデルオムの村の出身。男児を出産し、助産婦エルハムがその子をクファリアットの孤児院へ。1970年5月のことだ。(中略)1970年5月デルオムの助産婦エルハムが“里子に出す”と男児を預けた。その月、男児は1人だけ。男児は“ニハド”という名で登録された。日付が一致する。兄上の名はニハドだ。クファリアット孤児院では“ニハド・ド・メ”、これが登録上の名前だ。意味は“5月のニハド”。孤児院に来た月で呼ぶ。だが内戦になり、もらい手は現れなかった。1974年孤児院は破壊された。孤児院の破壊者を捜し、子供たちの行方を聞くしかない。あの一帯の過酷な歴史を考えると、望みは少ない」シモン「きっと死んでる」「死んではいない。痕跡を見失った」「破壊者も兄も死んでいる。手紙を開けよう」「遺言は神聖だ。破ることは許されん」「レイプと同じだ。うちの“血筋”だ。(間をおいて)すまない」「残された方法は一つ。だが、かなり過激な方法だ。孤児院を破壊した男は生きている。子供たちの行方を知っているはずだ。40年近く前だ。長い年月の間、各派の無情な論理によって報復の連鎖がふくらみ続けたのだ。足し算のように。戦闘を指揮する男は記憶力が抜群だ。必ず覚えているとも。ワラット・シャムセディンという名前だ」「どこで見つける?」「彼が君を見つける。そのための作戦が……君はお茶が好きか?」ジャンヌ「あなたの番よ」。
 ルベル「デレッサの難民キャンプに行くのだ。誰であろうと誘われたらお茶を飲み、その人に言え。君は“歌う女”の息子でニハドを捜してると。案内なしではまずい。同行する者を見つけよう」。
 車、キャンプに到着。「デレッサにようこそ」、難民キャンプの中を歩き回るシモンとルベルと2人の案内人。「どこへ行けば?」「さあ」。人だかり。〈見間違うなよ。工学で勉強したが、仕事がないのでタクシーの運転手をしている〉〈何しに来た?〉〈ここへ案内してくれと言う外国人を連れてきた〉〈来てくれ〉〈せっかくだが時間がない〉〈どうか寄ってほしい〉「お茶に招待したいと」「ぜひ」「なぜデレッサに来たのかと」「ニハド・ド・メを捜しに」「知らないそうだ。あなたのことを教えてくれと」「母は南部のデルオム出身。“歌う女”と呼ばれた」。
 シモン「お茶は飲んだ。何を待つ?」。
 都会の全景。
 病院の廊下を歩くルベルとシモン。ノック。「あなたがサルワン・マルワン?」「そうです。あなたには協力しますよ。1時間で戻れる」シモン「姉に電話は?」ルベル「ダメだ。1時間で済む。約束だ」サルワン「着替えさせてくれ」。シモン、ドア閉める。「ジャンヌに電話する気だ」「構わんよ。心配はいらない。行っても平気だ。南部では物事が急速に展開する」「分かった」。(また明日へ続きます……)