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奥田英朗『ガール』

2006-07-06 16:59:04 | ノンジャンル
 奥田英朗氏の「ガール」を読みました。主人公が皆30代のOLの短編集です。
 第一話「ヒロくん」は、管理職になった主人公が、古株の社員のいじめを受けるも、最後には頭を下げさせることに成功する話。第二話「マンション」は、秘書課の嫌な女と仕事上でぶつかりながら、マンション探しをするうちに、自分の一番のプライオリティは「自分を偽らないこと」だと分かる話。第三話「ガール」は、最近若い子についていくのに疲れ出した主人公は、年上の同僚や取り引き相手の女性の影響を受け、「人生、やっぱり楽しまなくちゃ」という心境になるという話。第四話「ワーキング・マザー」は、3年ぶりに営業に戻った主人公は、自分が立ち上げたサイトのプランを販売部に取られそうになるが、自分がシングル・マザーと分かると販売部の態度が一変し、普通にコミュニケーションがとれるようになる、という話。第五話「ひと回り」は、すごいイケメンな新人の指導を命じられた主人公は、ときめきを感じ、他の社員との交際などにも気をもむが、全部自分の思い違いであることが分かり、気持ちも落ち着いて元の生活に戻るという話。
 30年代のOLの方と一緒に仕事をした経験もなく、女性の生理も理解できてない私でも、主人公の気持ちは理解できました。どこにでもありそうな地味な話ばかりですが、逆に親近感をもって読めるかもしれません。会社でストレスのたまっているOLの方にオススメです。

一人じゃない

2006-07-05 18:03:46 | ノンジャンル
 今日の朝日新聞の夕刊にいい話が載っていました。
 アメリカのメジャー大会をいきなり2連勝し、韓国での女子ゴルフブームを作った朴セリ選手の話なのですが、怖いもの知らずでひたすら突き進んでいた彼女は'04年に急にスランプになります。ティーグラウンド・イップス(恐怖症)になり、成績が下がり始めると、見事にスポンサーは離れていき、メディアの注目もゼロに。
 しかし、道で出会う人は「いつまでも私たちはあなたの味方よ」と声をかけてくれ、試合会場では「また優勝できると信じてるからね」とギャラリーがら激励され、今まで聞き流していたこうした言葉を、どん底まで落ちることによって、初めて心で感じ、涙が止まらなかったそうです。
 そして彼女は完全復活して、言います。「昔のようにスポットライトを浴びる日々が戻ってきても、昔の自分には戻りたくない。もう、孤独は嫌だから」
 「ファンの応援は末永く温かい。がんばり続けるあなたは決して一人ではない。」とこの記事は結んでいます。「一人じゃない」、良い言葉ですね。いろんな人に言ってあげたい言葉です。そういえば、私もこの言葉で救われたことがありました。皆さんも、身近で苦しんでいる人がいたら、ぜひ言ってあげてください。

奥田英朗『港町食堂』

2006-07-04 17:34:29 | ノンジャンル
 奥田英朗さんの「港町食堂」を読みました。これは小説ではなく、さまざまな港を訪れ、そこでおいしいものを食べるというルポルタージュです。
 行ったところは、高知・土佐清水、五島列島、宮城・牡鹿半島、韓国・釜山、日本海、稚内・礼文島の6つのブロックです。
 必ず船に乗って、上陸したところから旅を始める、というルールにしたがって、フェリーで上陸、いろんな魚介類を食べるのですが、大抵「美味。」という言葉で始まってから、細かく味を説明するというパターンになってました。それから、一人ノリツッコミが多く、浮かれた気分であることを想像させます。奥田さん、私と同じ年で、まだ独身の様子。普段一人っきりで生活されてるのでしょうから、複数の人で行く旅は楽しかったのでしょうね。その雰囲気が文章から漂ってくるようでした。
 次は、「港町食堂・世界編」が出版されることを期待しています。

奥田英朗『ララピポ』

2006-07-03 19:58:16 | ノンジャンル
 奥田英朗氏の「ララピポ」を読みました。各章の題名が70年代の洋楽の題名になっています。
 第一話「What A Fool Believes」では、一日中家にいて原稿を書いてるフリーライターが、上の階の部屋から聞こえてくる男女の営みの声で興奮するのが高じて、図書館でナンパした太った女小百合と割り切ってセックスするが、上の部屋の住人が引っ越してしまい、こんなサエない女と、と思いながら小百合の体を求めてしまう話。第二話「Get Up,Stand Up」は、フリーライターの上に住んでいた男の話。彼の職業はキャバクラ嬢のスカウトで、スカウトした女は逃げないようにほとんど体の関係を持つようにしている。ある日いかにもいいなりになりそうな地味な女の子トモコをスカウトすると、いきなりノーパン・パブから働き始め、最終的にAVの親子ものに出ることまで承諾するが相手は実の母だった、という話。第三話「Light My Fire」では、トモコの母は死んだ義理の母を二階に放置し、家はゴミ屋敷と化しているが、ある日街角でスカウトされてAV業界に身を投じ、セックスに目覚めてしまう。一方、隣の家の郵便物をチェックするのが趣味だったが、ある時期から「犬がうるさいから火を付けてやる」というような手紙が入り始め、最後には放火現場に行き会わせてしまい、うちにも火をつけてくれれば黙ってあげると頼み込む話。第四話「Gimmie Shelter」では、近所の犬のうるささに閉口しているカラオケボックスの店員が、援助交際の元締めに君たちもやっていいから場所を貸してくれと頼まれ、常連の自称作家のハゲオヤジらや女子高生のたまり場のようになってしまい、最終的に警察に摘発される。近所の犬は苦情の手紙を何通出しても何も変らないので、最終通告をした上で家に放火しようとするが、失敗し、代わりに向かいのゴミ屋敷に放火するはめになる、という話。第五話「I Shall Be Released」では、文芸作家志望のポルノ作家が編集者に会うために渋谷に出たところ、誘いに乗り援助交際をする。その魅力の虜となった男は、毎日渋谷に通うようになるが、現場に警察が踏み込み、男は何とか逃げ出し、ホームレスの仲間になり身を隠す、という話。第六話「Good Vibrations」では、ポルノ作家のテープリライターをしている小百合は図書館で男を誘惑し、セックスし、それを盗撮してビデオ屋に売っている。ある日男がはち合わせになり、暴力の果てにセックス中絞め殺されそうになる。ビデオ店ではそれが50万で売れた。小百合はいい日の決め事としてステーキを食べに行く、という話。
 登場人物がすべて関わっていて、あらすじを書くだけでもこれだけの量になってしまうという、高度な構成を持つ小説です。しもネタだらけなので、そういうのはちょっと、という人にはオススメできませんが、やっぱ奥田英朗さんは才能あるなあ、と改めて感じ入った小説でした。

お一人さん

2006-07-02 16:53:12 | ノンジャンル
 昨日の新聞の中で面白い特集記事がありました。
 「ひとりで過ごすのは好きですか?」というテーマで、様々な質問がされているのですが、「ひとりでいるのが好き」と答えている人が全体で8割にも及ぶ、というのには驚きました。
 その理由は「好きなことができる」「気楽」というのが上位を占めているのですが、今の日本をよく表しているなあ、と思ったのは、「一人で行けない場所」の約20の選択肢のほとんどで、「一人で行けない」と答える人が男性よりも女性に多かったということです。「旅館に泊れない」「一人で店に入るだけで変った人に思われる」「温泉に泊まったら、自殺予備軍に見えたのか仲居さんがずっとついてきた」など、女性が一人で行動するには、まだ日本は後進国だなあ、と思いました。
 私は普段ほとんど一人で行動しているので、逆に何人かで時間を過ごすのが好きなのですが、思い返してみれば、世間の人は逆に普段大勢の人の中で生活しているので、たまには一人になりたい、ということなのかなあ、と思った次第です。