ロベール・ブレッソン監督の1977年作品『たぶん悪魔が』を「あつぎのえいがかんkiki」で観ました。
サイト「MOVIE WALKER PRESS」の「ストーリー」の一部に加筆修正させていただくと、
「裕福な家柄の出でありながら、自殺願望に取り憑かれた美しい青年シャルル。彼は、政治集会や教会の討論会に顔を出しても、違和感を覚えるだけで何も解決することができなかった。環境破壊を危惧する生態学者の友人ミシェルや、シャルルに寄り添おうとする2人の女性、アルベルトとエドヴィージュらと共に過ごしていても、死への誘惑を断ち切ることができずにいた。やがて冤罪で警察に連行されたシャルルは、ますます虚無感にとりつかれ、銃を手にし、友人に自分を撃たせ、自殺するのだった。」
今回もすべて素人に演じさせる、まぎれもないブレッソン映画であり、ほとんどのシーンで人が歩いているという、稀に見る映画でした。
ロベール・ブレッソン監督・脚本の1974年作品『湖のランスロ』をDVDで観ました。
サイト「映画ログプラス」の「あらすじ」を一部加筆修正させていただくと、
「時は中世。剣劇で負けたものは首をはねられ、腹に剣を刺される。
「湖のランスロを主人公とする驚くべき一連の冒険に続き、アルデュス王の“円卓の騎士”は聖杯伝説へと赴いた。アルマタヤのヨゼフがキリストの血を受けた聖杯の魔力を信じて、聖杯はブルターニュにあるはずだった。魔術師メルランは死ぬ前に騎士たちの聖なる冒険を予言。予言によると探索を率いるのは世界最強のランスロではなく、若い騎士の“純粋な人”ペルスヴァルだった。騎士たちは散り散りになり二度とベルスヴァルと会わなかった。2年後、騎士たちはアルデュス王の城に帰還した。多くの死者を出し、聖杯は未発見だ」の字幕。城に帰還したものの、聖杯探しに失敗し多くの戦死者を出したアルテュス王の円卓の騎士たち。その中のひとり、ランスロは王妃グニエーヴルとの道ならぬ恋に苦悩していた。神に不倫をやめると誓うランスロだったが、グニエーヴルにその気はない。
仲間のゴーヴァンはランスロを心配するものの、権力を手に入れようと企むモルドレッドは罪深きランスロを貶め、自分の仲間を増やそうと暗躍する。団結していたはずの騎士の間に亀裂が入り始め、騎士のうち3人がランスロの暗殺と王の座の奪還を謀る。それを知ったランスロは部下の騎士たちとともにその3人の騎士を打倒すべく城を出発したのだが、結局ランスロたちは返り討ちに遭い、全滅するのだった」。
『ジャンヌ・ダルク裁判』を除けば、ブレッソンが初めて中世を舞台にして撮った映画でした。騎士たちの着ている甲冑が、彼らが動くたびにガチャガチャ音を立てていることを新鮮に感じました。
スティーブン・スピルバーグ監督の1997年作品『ロスト・ワールド ジュラシック・パーク』をNHK・BSプレミアムで再見しました。
サイト「映画ウォッチ」の「ネタバレあらすじ」に加筆修正させていただくと、
「ジュラシック・パーク事件から4年。事件の当事者のひとりだった数学者イアン・マルコム(ジェフ・ゴールドブラム)はインジェン社の会長ハモンド(リチャード・アッテンボロー)に呼び出され、とある依頼を受けます。事件の舞台となったジュラシック・パークは通称“サイトA”と呼ばれるエリアであり、実はもうひとつ、恐竜たちを孵化させて飼育するエリア“サイトB”が存在しているというのです。4年前の事件によりサイトAもBも閉鎖されていましたが、恐竜たちは今なおサイトBで生き延びており、繁殖しているということです。サイトBの調査を依頼されたイアンは最初断りますが、イアンの恋人で古生物学者のサラ・ハーディング(ジュリアン・ムーア)が既にサイトBへ調査に入っていることを知り、あくまでもサラの救助目的として依頼を引き受けます。
ハモンドの甥であり、今やインジェン社の社長に登り詰めたピーター・ルドロー(アーリス・ハワード)は、会社立て直しのためジュラシック・パークを再建し、恐竜をビジネスに利用しようと企んでいました。イアンはカメラマンで自然保護運動家のニック・ヴァン・オーウェン(ヴィンス・ヴォーン)、フィールド用装備のエキスパートであるエディ・カー(リチャード・シフ)、そして密かに潜り込んでいたイアンの娘ケリー・カーティス・マルカム(ヴァネッサ・リー・チェスター)と共にサイトBへ向かい、サラと合流します。サイトBでは4年前のサイトAと同じく恐竜たちが闊歩していました。
突如、ルドロー率いる大部隊がサイトBへ上陸、ハンターのテンボ(ピート・ポスルスウェイト)を筆頭に次々と恐竜たちを捕獲していきました。実はハモンドから恐竜の捕獲を阻止するよう指令を受けていたニックはルドローのキャンプに潜入、捕らえられた恐竜たちを檻から解放してきました。サラとニックは、傷ついた子供のティラノサウルスをトレーラーに運び込んで治療しますが、そこに怒り狂った両親が襲い掛かり、エディは犠牲になってしまいます。イアンたちはサイトB本部地区の通信センターを目指しますが、その間にも恐竜たちは暴れ回り、次々とハンターたちが餌食になってきました。
何とか本部センターにたどり着き、救援隊のヘリコプターに助け出されたイアンたちでしたが、ルドローはティラノサウルスの赤子を囮として母親を誘き出し、捕獲して貨物船に積み込み、サンディエゴへ向けて出航していました。しかし輸送途中でティラノサウルスの麻酔が切れ、サンディエゴに上陸するや街で大暴れ、街中はパニックに陥りました。イアンとサラは、郊外のジュラシック・パークに保護されているティラノサウルスの赤子を連れ出し、母親を何とか港へ誘き寄せようとしますが、その途中でルドローはティラノサウルスに捕まり餌食となります。サラは母親の首筋に麻酔を打ち込み、ティラノサウルス親子は再び島に送り返されました。その後、島は人間の手が触れないよう保護されることとなりました。」。
ハラハラドキドキの2時間でした。
恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。
まず6月19日に掲載された「河村光庸さん」と題された前川さんのコラムを全文転載させていただくと、
「反骨の映画製作者、河村光庸さんが亡くなった。彼が作った映画は、人々の心を揺さぶり、人々に警鐘を鳴らした。
新しい映画の企画に知恵を貸してほしいという河村さんと初めて会ったのは四年半ほど前のことだ。タイトルは「新聞記者」。本紙望月衣塑子記者の本をもとに、安倍政権の腐敗を抉(えぐ)り出す映画を作るという。
僕が出した企画は、加計学園問題を下敷きに、首相の友人の会社が運営する「国立民営大学」を内閣府が国家戦略特区を使って設置するという筋だった。この案はおおむね採用され「その大学は生物・化学兵器を開発する目的を持っていた」という話が加えられた。この映画は2019年に公開され、日本アカデミー賞を取ったが、どのテレビ局も政権を恐れてほとんど報じなかった。
菅政権をこき下ろす映画「パンケーキを毒見する」を河村さんが作った時は、僕へのインタビュー映像を作品の中で使ってもらった。
「あゝ、荒野」で数々の映画賞を獲得した河村さんは、「宮本から君へ」では補助金不交付問題で敢然と国の理不尽に挑む訴訟を起こした。
最近河村さんは、児童相談所や児童養護施設に取材して、虐待の経験を持つ子どもたちを支える人間を描く映画を作りたいと言っていた。その映画はもう見ることはできない。」
また、6月22日に掲載された「やればできる」と題されたコラム。
「19日に行われた杉並区選で、野党四党が推薦する岸本聡子氏が当選した。「どうせ変わらない」と思っていた私は大反省。そうだよ、杉並は衆院選で石原伸氏を落とし、吉田晴美氏を勝たせた区だ。
一方、22日公示の参院選では、立憲民主党と共産党が女性候補五割の目標を達成。立民は51%、共産は55%が女性候補者という態勢で選挙戦に臨む。昨年六月に成立した改正候補者男女均等法では数値目標の義務化に至らなかったが、両党の自主的努力は大きな一歩といえる。つまり「やればできる」のだ。
女性議員が増えることの意義は五月十九日に成立した「女性支援法」でも証明されている。
DV被害者、性的被害者、生活困窮者など困難を抱える女性を支援するこの新法は、女性を保護する法的根拠が売春防止法(1956年制定)だけしかなかった現実を根本的に見直すもので、民間の支援団体はなどが長く制定を要求していた。議員立法として法案をまとめ、成立に尽力したのは女性議員を中心とした超党派の会である。。
過去を振り返っても、DV防止法、児童虐待防止法など、超党派の女性議員が中心となって成立した法律は少なくない。「どうせ変わらない」と思っちゃだめだ。女性議員の数合わせではなく、国会の質を、ひいては社会の質を左右するのである。」
どちらも一読に値する文章だと思います。
ロブ・エプスタイン&ジェフリー・フリードマン監督の2019年作品『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』を「あつぎのえいがかんkiki」で観ました。
パンフレット「Rockumentary2022」の本作の「INTRODUCTION」の部分を一部修正加筆して転載させていただくと、
「1967年に音楽界にキラ星のごとく登場して以来、リンダ・ロンシュタットはその類い稀なる声域と野心でロック、ポップ、カントリー、フォークバラード、アメリカン・スタンダード、ソウル、メキシコの伝統民謡というジャンルを跨いで心に残る曲を創り続けてきた。ロンシュタットは「悪いあなた」「いつになったら愛されるのかしら」「ブルー・バイ・ユー」などの曲で1970年代に最も人気を博した女性レコーディング・アーティストとなり、大型アリーナを観客で埋め尽くし、プラチナ・アルバムをなんと10枚も制作したのだ。ポップ・カントリー・R&Bの各チャートで同時に1位を獲得したアーティストもロンシュタットであり、グラミー賞に26度ノミネートされ10度受賞した。ツーソンの街からやって来た少女は想像できぬほどのスターの地位を手にした。
本作ではツーソンで家族とメキシコのカンツオーネCDを歌いながら成長し、そして70年代および80年代前半に「カントリー・ロックの女王」として君臨する彼女の半生をロンシュタット自身がガイドしてくれる。男性が支配的立場にある音楽業界において彼女は女性のパイオニアかつチャンピオンであり、また人権問題に情熱を注ぎ、そしてカリフォルニア州知事ジェリー・ブラウンとの恋で有名人カップルとして浮名を流した。最終的にパーキンソン病により美しかった彼女の声は輝きを失い引退を余儀なくされたが、彼女の音楽とその影響は時空を超えて今なお生き続けている。感動を呼ぶパフォーマンス映像が含まれ、ドリー・パートン、エミル―・・ハリス、ボニー・レイット、ジャクソン・ブラウン、ハリー・ディーン・スタントンといった友人・共演者らが出演する本作は、愛する音楽を共有したいという情熱が世代を超えたファンに愛され続けるアーティスト、リンダ・ロンシュタットおよび彼女の歌声を祝福する作品である。」
『スージーQ』と同じく、この映画でも私は何度も号泣してしまいました。映画を観た後、リンダのCDを2枚、ハリー・ディーン・スタントンのCDを1枚、フランク・シナトラのスタンダードのCDも1枚、ゲットしました。それだけ喚起力のある映画だったと思います。