対中国 対抗でなく外交を インドネシア外相 ASEAN団結で
【ハノイ=面川誠】
インドネシアのマルティ外相は3日、南シナ海問題で東南アジア諸国連合(ASEAN)が団結すべき理由は、中国に対抗するため ではなく外交を軌道に
乗せるのが目的だと強調しました。ジャカルタでクリントン米国務長官と会談した後の共同記者会見で述べました。
マルティ氏は「ASEANの団結は、他国に対抗したり、追い込んだりするのが目的ではない」と指摘。「だからこそ私は(8月10日に)中国の楊潔篪(よう
けつち)外相と会談した際、外交プロセスに立ち返るよう呼び掛けた」と語りました。
南シナ海の島しょについては、ベトナム、フィリピンなどASEAN内の4カ国と中国が領有権を争っています。7月9日のASEAN外相会議では、 議長国
カンボジアとベトナム、フィリピンが南シナ海をめぐる文言で対立し共同声明採択に失敗。その後、マルティ外相の仲介で同月20日、「南シナ海に関す る
6原則のASEAN外相声明」に合意。中国との話し合いに臨む足並みをそろえました。
マルティ氏は「ASEANの団結は数十年にわたって、この地域の安定と繁栄を保証する不可欠で死活的なものだ」と指摘。「われわれの目前にある軌道
は非常に明確だ。『(南シナ海)行動規範(COC)』を実現することだ」と述べました。
ASEANと中国は2002年に合意した「南シナ海行動宣言(DOC)」で、国連海洋法条約の順守、領有権紛争の平和的解決、海洋調査協力、無人 島・
環礁への居住自制を確認しました。ASEAN側は中国にたいして、DOCを格上げして法的拘束力を持つCOC締結のための早期協議入りを求めていま
す。