はる~はな~のみ~の かぜ~のさむさよ~~
一度は歌ったことがあるだろう「早春賦」
この歌詞の冒頭部分 春はなのみの「なのみ」が「名のみ」であり 「春とは名ばかりで風は寒い」という意味だと分かったのは 歌を知ってしばらくしてからだった
そしてその通り 今日は昨日の夕方からの雨が降り続く寒い一日となった
一年を四季で分ければ3月は一応春ということになるし 私自身 早くなった夜明けや光の強さに春を感じるとは言っているが やはりそれでもまだまだ「名のみの春」だと 今日などはそう思う
桜に雪などという風流な景色だって無いことは無いのだから 少し前の暖かさに防寒具は全部クリーニングに出してしまったという気の早い人もいたようだが この東京でも今月中旬までは安心できない
あと一話を残したまま読みかけになっていた澤田瞳子の『稚児桜』を やっと読み終えた
この本がきっかけで 能の話を少し調べてみた
何しろ本家を知らないでは この小説の面白みもわからない
本家を下敷きにしつつ 能に精通した作者が独自の物語に作り替えていることがよくわかった
怖い結末のものも 感動的な結末のものもあるが これもまたありと思わせてくれた
まさに古典と作者の豊かな想像力との楽しいコラボレーションという感じで 私にとっては能を知る一歩となる本でした