朝の気温は低かったが 雨も止んだことだしと隣駅まで歩いて行く
2週間後には咲くだろう桜は まだ蕾さえ見えない
帰りにブックオフでお風呂本を見繕う
今日は数冊ゲット
これで少なくとも来月いっぱいはもつだろう
内田洋子さんの本(『見知らぬイタリアを探して』)を読んでいたら バザリア法の話が出てきた
精神科病院の廃絶を掲げた世界初にして唯一の法律である
これを最初に提唱した人が精神科医のフランコ・バザリア
あれ?
なんか これ知ってる
確か映画で見た話のような気がする
実話だったと記憶しているけれど・・・
検索してわかった
その映画は『人生、ここにあり!』
ちょっと悲しいところもあるのだが ユーモアたっぷりで 心がほっこりして元気になる映画だった
内田さんのこの章の話の発端は 徘徊していると思われるパジャマ姿の老人を見つけた女性が 彼をバールに連れて行き 店の人やその場に居合わせた人々も彼に優しく話しかけながら家人に連絡をし 無事に息子が迎えに来たという話
その息子は父親に「父さん、もう春ですね」と声をかける(怒鳴ったり叱ったりはしない)
そう言ったとたん「焦点の合った目線で息子を見て笑った。霧が引いて、青空が広がるような情景だった。」
いつでも 誰もが こうした情景を作っているわけではないだろうが 誰かが誰かを暖かく見守る社会は美しいと感じる
次に出てくるのがアルダ・メリーニという女流詩人
少女の頃から才能に恵まれながら 精神科病院への入退院を繰り返すうちに 感情も表情も言葉も失った
その後 再び詩を作るようになり 文学賞で賞金を取ると路上生活者にお金を配って歩いたという
弱者を地域で見守り続けていくのは 簡単なようで難しい
しかし内田さんは言う
「他者に手を差し伸べることは、自分を救うことでもある。」「いつ誰が弱者側の立場になるともしれない。」
フランコ・バザリアの「わたしたちの中には狂気が存在する」という言葉とともに あれこれと考えてしまった