「脱原発社会を創る30人の提言」を読みました。
この本は、福島原発事故を受けて、これからの脱原発社会をどのように創っていくのについて、各界各層のトップランナー30人の提言をまとめたものです。
詩人・作家の池澤夏樹さんは、「原子力は人間の手に負えないエネルギーであることを認識して脱原発に向かうことが大切で、昔原発というものがあったと、振り返ってみられるような未来にすることが重要です」という趣旨のことを述べています。
音楽家の坂本龍一さんは、「7世紀後のことまで考えて決めることが重要である」「日本の国土を汚し、国民を危険に晒した電力会社、原発を推進してきた官僚、一緒に推進してきた政治家、それに御用学者とメディア、この電官政学報のペンタゴンは、万死に値する」と述べています。
私も同感です。
ジャーナリストの池上彰さんは、得意の伝える力で「脱原発にはリアリティがある」ことを明快に解説しています。
この他にも、「少欲知足のすすめ」「千年先に伝えなくては」「地域分散型の自然エネルギー革命」「電気消費量は大幅に減らせる」「原発に頼らない安心できる社会をつくろう」「効率優先型社会からの決別」等、興味深い、目から鱗の提言が並んでいます。
私が参考になったのは、環境活動家の田中優さんの「電気消費量は大幅に減らせる」です。
様々な社会問題の解決は3つの方向、①縦方向(自ら政治家になったり、議員に相談して変える)、②横方向(となりの人に話したり、多くの人たちのムーブメントを変える)、③斜め方向(まったく別の仕組みを考え、現実に新たなやり方をやってみせる)があるそうです。
電力問題を斜め方向から解決するにはどうしたら良いのか。
従来は、脱原発には自然エネルギーへの転換が必要であると訴えています。
しかし、この方法は、原発推進派から、「風が吹かない時はどうするのか、不安定な電源で本当に役に立つのか、小さな電気を集めて大きな電力にすることができるのか」という自然エネルギーの欠点をつかれてしまいます。
そこで、斜め方向の発想。
「まず、節電型の電気料金制度に変える。それによって電気消費量を半分ぐらいまで減らし、その後自然エネルギーに徐々にシフトさせていく」
ことを提言します。
具体的には産業用の料金体系を変える。
電気は貯められないので、ピークの消費量を減らして平準化することが必要です。
このピークの時間帯は、1年間8760時間のうちたった10時間程度です。
この僅か10時間(全体の0.1%)のために多くの発電所をつくってきました。
全く無駄なことをしています。
ではなぜ減らせないのか、それは電力料金が実際に必要になった費用に3%上乗せして電気料金を取ることができる仕組み、総括原価方式を採用しているからです。
このピーク時である平日の午後2時から3時の消費量を見ると、91%が産業部門で9%が家庭です。
つまり、今年の夏に企業や行政が実施した平日午後の就業を土曜日の午前中に振り返れば解決することです(産業界ごとに実施すれば何年に1回のシフトで済むでしょう)。
また家庭用の電気料金は、平均値以上使うと単価が高くなりますが、産業用は、これとは逆に単価が安くなります。
つまり製品1個あたりの電気料金を安くしたい場合は、消費量を増やしたほうが得になり、省電力の動機づけになっていません。
産業用の電気料金体系を家庭用と同じにすればピーク時の消費電力は更に減少するでしょう。
興味深い提言ですね。
このような良い提言が取り上げられないのは、電力会社の利益に群がる官僚、政治家と電力会社の広告収入をあてにしている新聞、テレビ関係者の存在です。
自己の利益のために国民の生命、安全を害しても何とも思わない連中を相手にしても仕方がないので、自分の頭で考えて正しい行動をすることが必要です。
この本は、正しい知識を入手するのに役立つ優れた本です。
ご一読をお薦めします。
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この本は、福島原発事故を受けて、これからの脱原発社会をどのように創っていくのについて、各界各層のトップランナー30人の提言をまとめたものです。
詩人・作家の池澤夏樹さんは、「原子力は人間の手に負えないエネルギーであることを認識して脱原発に向かうことが大切で、昔原発というものがあったと、振り返ってみられるような未来にすることが重要です」という趣旨のことを述べています。
音楽家の坂本龍一さんは、「7世紀後のことまで考えて決めることが重要である」「日本の国土を汚し、国民を危険に晒した電力会社、原発を推進してきた官僚、一緒に推進してきた政治家、それに御用学者とメディア、この電官政学報のペンタゴンは、万死に値する」と述べています。
私も同感です。
ジャーナリストの池上彰さんは、得意の伝える力で「脱原発にはリアリティがある」ことを明快に解説しています。
この他にも、「少欲知足のすすめ」「千年先に伝えなくては」「地域分散型の自然エネルギー革命」「電気消費量は大幅に減らせる」「原発に頼らない安心できる社会をつくろう」「効率優先型社会からの決別」等、興味深い、目から鱗の提言が並んでいます。
私が参考になったのは、環境活動家の田中優さんの「電気消費量は大幅に減らせる」です。
様々な社会問題の解決は3つの方向、①縦方向(自ら政治家になったり、議員に相談して変える)、②横方向(となりの人に話したり、多くの人たちのムーブメントを変える)、③斜め方向(まったく別の仕組みを考え、現実に新たなやり方をやってみせる)があるそうです。
電力問題を斜め方向から解決するにはどうしたら良いのか。
従来は、脱原発には自然エネルギーへの転換が必要であると訴えています。
しかし、この方法は、原発推進派から、「風が吹かない時はどうするのか、不安定な電源で本当に役に立つのか、小さな電気を集めて大きな電力にすることができるのか」という自然エネルギーの欠点をつかれてしまいます。
そこで、斜め方向の発想。
「まず、節電型の電気料金制度に変える。それによって電気消費量を半分ぐらいまで減らし、その後自然エネルギーに徐々にシフトさせていく」
ことを提言します。
具体的には産業用の料金体系を変える。
電気は貯められないので、ピークの消費量を減らして平準化することが必要です。
このピークの時間帯は、1年間8760時間のうちたった10時間程度です。
この僅か10時間(全体の0.1%)のために多くの発電所をつくってきました。
全く無駄なことをしています。
ではなぜ減らせないのか、それは電力料金が実際に必要になった費用に3%上乗せして電気料金を取ることができる仕組み、総括原価方式を採用しているからです。
このピーク時である平日の午後2時から3時の消費量を見ると、91%が産業部門で9%が家庭です。
つまり、今年の夏に企業や行政が実施した平日午後の就業を土曜日の午前中に振り返れば解決することです(産業界ごとに実施すれば何年に1回のシフトで済むでしょう)。
また家庭用の電気料金は、平均値以上使うと単価が高くなりますが、産業用は、これとは逆に単価が安くなります。
つまり製品1個あたりの電気料金を安くしたい場合は、消費量を増やしたほうが得になり、省電力の動機づけになっていません。
産業用の電気料金体系を家庭用と同じにすればピーク時の消費電力は更に減少するでしょう。
興味深い提言ですね。
このような良い提言が取り上げられないのは、電力会社の利益に群がる官僚、政治家と電力会社の広告収入をあてにしている新聞、テレビ関係者の存在です。
自己の利益のために国民の生命、安全を害しても何とも思わない連中を相手にしても仕方がないので、自分の頭で考えて正しい行動をすることが必要です。
この本は、正しい知識を入手するのに役立つ優れた本です。
ご一読をお薦めします。
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