熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

知財訴訟

2012-01-29 18:00:58 | Weblog
弁理士会会員研修「知財訴訟」を受講していきました。

講師は、知財高裁の判事の方です。

研修の内容は、審決取消訴訟の構造と運用(理論編、運用編)、審理の要領、審決取消訴訟に関する判例、進歩性の判断、特許法改正についてです。

実務的な内容が多いので、受講者の皆さんの参考になったでしょうね。

私が参考になったのは、審決取消訴訟の理論編と特許法改正です。

審決取消訴訟は、行政事件訴訟法の適用を受けます。
査定系は、特許出願人、特許権者が原告で特許庁が被告となるので、行政訴訟であることに違和感はありませんが、無効審判請求に係る審決の取消訴訟は、特許権者と無効審判請求人が当事者となり、行政庁である特許庁が当事者とならないので、かなり違和感があります。
講師の説明では、民間の力を借りて行政判断の妥当性を探るもので、効率的で良いとのことでした。

審決取消訴訟は行政訴訟なので、裁判所の関与は抑制的にならざるを得ず、それは審決取消訴訟の審理範囲が厳格に制限されていることに現れています。

この辺は、理論的な理解がないととんでもない判断をすることになりますね。

特許法改正で参考になったのは、特許法第99条の、いわゆる当然対抗制度の論点です。
当初のライセンス契約における条件等が承継するか否かですが、講師によると、当面はケース・バイ・ケースで解決を図るとのことでした。

これは、実務的に重要な問題で、ライセンシーの主観的要件(善意・悪意・背信的悪意)を考慮して解決を図ることになると思いますが、論文のテーマになりますね。

大変参考になった研修でした。





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