日米地位協定と密約に関係する本を2冊読みました。
1冊目は、未浪靖司著「日米指揮権密約の研究 自衛隊はなぜ、海外へ派遣されるのか」です。
日本政府がアメリカと結んでいる秘密の取り決め(密約)について明らかにしている本です。
密約の代表的なものは、「戦争になったら、自衛隊は米軍の指揮下に入る」というものです。
今までは、憲法9条の下、戦争とは日本国内での防衛戦争だけでしたが、2015年の安保法制の成立によって、自衛隊は世界中の戦争で、米軍の指揮下のもとで戦う体制が完成してしまいました。
これからは自衛隊の海外派遣が行われ、米軍と一体になった活動(米軍の指揮下に入る)が頻繁に行われるかもしれません。
問題は自衛隊だけではなく、米軍の軍用機は爆音をとどろかせて民家の上空を飛行しています(沖縄だけの問題ではありません)。
たとえ墜落してもパイロットはパラシュートで飛び出して無傷で何の罪にも問われない。
米兵が女性をおびき寄せて銃で撃って殺害しても、執行猶予判決で帰国させてしまう(ジラード事件)。
戦後70数年、経済発展の裏側で隠されてきた密約や不平等な日米地位協定は限界に達して日本社会全体を壊し始めています。
この本は、日米地位協定と密約の歴史的な背景について分かりやすく説明しています。
2冊目は、伊勢崎賢治、布施裕仁著「主権なき平和国家 地位協定の国際比較から見る日本の姿」です。
日本は行動の自由を制限され、世界の大国になり得る力をもちながら、アメリカの保護国でもあるという矛盾した状況が産まれています。
つまり日米安保条約は事実上、日本をアメリカの保護国とすることを規定しているとも言えますね。
ここで、「保護国」とは、形式的には独立していても、外交や軍事など主権の多くを外国に握られている国のことです。
この本では、日米地位協定の不平等さ、地位協定の国際比較からみる日米地位協定の異常さ、政府や与党の日米地位協定に対する見解の嘘または不誠実な比較等々が分かりやすく書かれています。
最後に、筆者から日米地位協定の改定案が提示されています。
「主権」: 日米地位協定のすべての条文を日本の主権を基本にして書き換える。これにより地位協定上の特権を例外として必要最小限に限定できます。
「基地の提供」 : 米軍は、日本政府が提供した基地を、使用条件等を定めた提供協定に従って使用することができる(米軍が日本国内のどこにでも基地提供を求める権利を廃止する)
「基地の管理権」 : 基地の内外に関係なく、原則として日本の法令を適用する。
「訓練」 : 訓練は、原則として提供施設・区域内に限り、訓練計画を事前に日本政府に提出し承認を得る。
「刑事裁判権」 : 日本側に第一次裁判権がある事案については、日本側が被疑者の身柄をいつでも拘束できる。
「互恵性」 : 訓練等で一時的に米国を訪れる自衛隊にも日米地位協定の米軍と同等の地位と特権を与える。
「国外への戦闘作戦行動」 : 在日米軍を日本国外で戦闘作戦行動に派遣する場合は、いかなる場合でも事前協議とする。
「日米合同委員会」 : 合意内容は原則として公開する。
これが改訂案で、この反対が現在の日米地位協定です。
驚くべき協定です。
この協定に密約が加わり、合同委員会という密室で新たな密約が作られていく。
このような現状をそのままにしてよいのか。
憲法9条改訂を叫ぶよりも、その前にやることがあるでしょう。
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1冊目は、未浪靖司著「日米指揮権密約の研究 自衛隊はなぜ、海外へ派遣されるのか」です。
日本政府がアメリカと結んでいる秘密の取り決め(密約)について明らかにしている本です。
密約の代表的なものは、「戦争になったら、自衛隊は米軍の指揮下に入る」というものです。
今までは、憲法9条の下、戦争とは日本国内での防衛戦争だけでしたが、2015年の安保法制の成立によって、自衛隊は世界中の戦争で、米軍の指揮下のもとで戦う体制が完成してしまいました。
これからは自衛隊の海外派遣が行われ、米軍と一体になった活動(米軍の指揮下に入る)が頻繁に行われるかもしれません。
問題は自衛隊だけではなく、米軍の軍用機は爆音をとどろかせて民家の上空を飛行しています(沖縄だけの問題ではありません)。
たとえ墜落してもパイロットはパラシュートで飛び出して無傷で何の罪にも問われない。
米兵が女性をおびき寄せて銃で撃って殺害しても、執行猶予判決で帰国させてしまう(ジラード事件)。
戦後70数年、経済発展の裏側で隠されてきた密約や不平等な日米地位協定は限界に達して日本社会全体を壊し始めています。
この本は、日米地位協定と密約の歴史的な背景について分かりやすく説明しています。
2冊目は、伊勢崎賢治、布施裕仁著「主権なき平和国家 地位協定の国際比較から見る日本の姿」です。
日本は行動の自由を制限され、世界の大国になり得る力をもちながら、アメリカの保護国でもあるという矛盾した状況が産まれています。
つまり日米安保条約は事実上、日本をアメリカの保護国とすることを規定しているとも言えますね。
ここで、「保護国」とは、形式的には独立していても、外交や軍事など主権の多くを外国に握られている国のことです。
この本では、日米地位協定の不平等さ、地位協定の国際比較からみる日米地位協定の異常さ、政府や与党の日米地位協定に対する見解の嘘または不誠実な比較等々が分かりやすく書かれています。
最後に、筆者から日米地位協定の改定案が提示されています。
「主権」: 日米地位協定のすべての条文を日本の主権を基本にして書き換える。これにより地位協定上の特権を例外として必要最小限に限定できます。
「基地の提供」 : 米軍は、日本政府が提供した基地を、使用条件等を定めた提供協定に従って使用することができる(米軍が日本国内のどこにでも基地提供を求める権利を廃止する)
「基地の管理権」 : 基地の内外に関係なく、原則として日本の法令を適用する。
「訓練」 : 訓練は、原則として提供施設・区域内に限り、訓練計画を事前に日本政府に提出し承認を得る。
「刑事裁判権」 : 日本側に第一次裁判権がある事案については、日本側が被疑者の身柄をいつでも拘束できる。
「互恵性」 : 訓練等で一時的に米国を訪れる自衛隊にも日米地位協定の米軍と同等の地位と特権を与える。
「国外への戦闘作戦行動」 : 在日米軍を日本国外で戦闘作戦行動に派遣する場合は、いかなる場合でも事前協議とする。
「日米合同委員会」 : 合意内容は原則として公開する。
これが改訂案で、この反対が現在の日米地位協定です。
驚くべき協定です。
この協定に密約が加わり、合同委員会という密室で新たな密約が作られていく。
このような現状をそのままにしてよいのか。
憲法9条改訂を叫ぶよりも、その前にやることがあるでしょう。
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