プラタナスは日本名で鈴懸けの木といわれ、山形では大学病院の周辺に多く植栽われている。冬になると、葉は落ちて幹の斑模様が強調されて、ちょっと幽霊のような雰囲気をかもしだしている。これは、プラタナスの木の生命力の強さが原因となっている。このまま枝を放置すればたちどころに巨木となって街路樹の役目を果さないばかりか、大きな葉が道路の信号を隠し、落ち葉は朽ちて自動車のスリップ事故の原因になる。そこで、春と秋の二回、このような極端な剪定が行われる。
プラタナスは医療の祖であるヒポクラテスの木とも言われる。ヒポクラテスはこの木の下に弟子を集め、医療の真髄を説いた。「患者の立場にたって医療を行え」と繰り返し説いたという。大学病院の付近に、この木が植えられているのも、案外こんな木の由来があったからかも知れない。1942年、灰田勝彦の歌う「鈴懸の径」がヒットした。戦後にもこの歌は歌い継がれ、私にも思い出の歌になっている。
友と語らん 鈴懸けの径
通いなれたる 学び舎の街
やさしの小鈴 葉陰に鳴れば
夢はかえるよ 鈴懸けの径
この歌を聴いていた少年のころは、この木がプラタナスであることさえ知らなかったが、秋ちかく鈴のように下がる実を見て、なるほどと得心したものである。
日記・雑談 ブログランキングへ