大寒らしく朝方冷え込んだ。山形市では-7℃を記録した。9時ごろから日がさして、気温も上がった風である。大学病院の西を流れる鳴沢川に行ってみた。カモたちはここで夜も過ごすのか、5・6羽がえさ取りに余念がない。あるものは川の流れのなかに首を突っ込み、またあるものは雪が消えかかった土手で、草の根をあさっているらしい。
ソーローの『森の生活』のなかの、「冬の動物」の項を読む。ウサギや狐、シャコまたリスが作者の住む家に積んである薪の上に来て、雪のなかに投げておいたトウモロコシの穂を啄ばむ様子が細かく書かれている。
「とうとうカケスがやってきた。かれらの調子のととのわない叫びはずっと前から、8分の1マイルも先から用心ぶかく近寄ってくる際に聞こえていたのだ。こそこそと人目をしのぶようなやりかたで樹から樹へ飛びかすめながらだんだん近づいてきてリスがこぼしておいた粒を拾いあげる。そしてヤニ松の大枝に停まってひと粒を大いそぎで呑みこもうとするが、大きすぎてのどに通らず息がつまる。で、大骨を折ってそれを吐き出し、嘴で何度も何度もくりかえし叩き、一時間もかかってそれを割ろうとする。」
ソーローの観察は実に細かい。森と湖の近くに自らの手で小屋を建てて移り住み、そこで畑を作り、四季の移り変わり、植物や動物の生活を観察し、訪ねてくる人々と交わした会話や思索を書いた。自然のなかの生活記録である。アメリカの古典文学として、いまや不動の位置を占めている。雪の閉ざされて外出もなかなかできない暮らしのなかで読むには実に共感できる本である。
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