常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

庖丁

2015年01月30日 | 日記


漢和辞典を見ていると色々面白いことがわかる。最近は厨房に入る男子も増えて、包丁を握る機会も多いようだが、そもそも包丁の字が違っている。本字は庖丁である。庖は台所を指していて、包んだ肉を置くところであった。丁はそこで働く人の意味である。したがって庖丁は料理人を指す言葉であった。

漢和辞典には、丁はまた人名ともいう、いう説明も載っている。「荘子・養生主」に庖丁、文恵君の為に牛を解く。これは、庖丁というみごとな腕を持った料理人が、王に呼ばれて、牛の解体を行った話である。今はマグロの解体ショーが人気であるが、牛刀を持った庖丁が王の前で牛を解体するのだから豪快である。

庖丁の手際はみごとで、牛の身体に牛刀をグイと突き立て、サッと引くと、肉はきれいに切り分けられた。王は、「どうしてそんなみごとな技を身につけることができたのか」と問うと、庖丁は答えた。「三年間修行を積みました。そのおかげで、どこにどんな骨があるか、外から見てもわかるようになりました。もう数千頭も解体しましたら、このようにぴたり、ぴたりと切り分けられるのでございます。」

漢和辞典の次の説明に、□で囲んだ国をつけて、料理用の刃物。と説明している。同義として包丁とある。したがって、刃物を庖丁というのは、日本だけだし、包丁も日本で通じる漢字である。本場の中国には、このような使い方はない。節分が近づいている。方々の神社で、包丁式なる神事が行われる。包丁と箸だけをつかって、手を振れずに鯛を捌いて神に奉納する神事である。


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