寒い冬の食べ物の東の横綱がどんが汁とすれば、西の横綱は間違いなく納豆汁である。どちらもメインデッシュではないのだが、故郷の香りに満ちた懐かしいたべものだ。今夜の納豆汁には、納豆汁の素に加えて、刻んだ納豆、豆腐、コンニャク、ナメコ、芋がら、ねぎ、油揚げなど具だくさんである。納豆の香が立ち、汁全体に寒い冬でなければ味わえない味が浸み込んでいる。要するに身体を芯から温めてくれるのだ。
板の間に敷く座布団や納豆汁 草間 時彦
納豆は冬納豆汁にすると、ふるさとの味になるが、朝食べる納豆も欠かせない食材である。子どものころ、大豆を煮豆にして、藁づとにいれて保温し、納豆にして食べた味がいまだに忘れられない。それを食べながら、納豆の起源を聞いたものである。武田信玄の武者たちが、兵士の食べ物として煮豆を運んでいると、やがて腐敗して糸を引いた。しかし食べてみると非常に美味なので食料にしたのだという。
ある食通の人と旅をしたことがある。酒田の港で新鮮な魚を食べたのだが、ホテルで取った朝食は、納豆によく溶いた卵をかけ、タマゴ納豆かけにしたご飯である。聞くと、これが毎朝必ず食べる朝食だと言った。たしかに納豆も、こんな風にして食べてもとても美味しい。
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