畑に行って玉ねぎを植え付ける。来春の収穫を期待して、80本ほどの苗を定植した。苗はか細いが、根の部分がすでに膨らんで力強さを感じる。里芋とコリアンダー、大根を収穫する。採れたばかりの野菜は、東京に住んでいる子や孫たちに送る。こんなに秋が深まっても、野菜たちのたくましい生命力が、家族の健康につながると思えば、畑を作ってよかったとつくづく思う。
高空にきゆる木の葉や大根引 矢島 渚男
キャベツに青虫がついて穴だらけになった。遅きに失したのかも知れないが、根元のオルトランを撒く。キャベツの葉の上にいっぴきのとんぼが泊まってじっとしている。そっと手でつかんでみると、羽が欠けてすでに飛ぶ力も失せている。秋の日よりは、野菜たちや人間にとっていい季節だが、昆虫には死へと向かう残酷な季節でもある。大根のわきに散る柿の葉も、自らの命を捨てて、来るべき春には、新しい生命への糧となる。