山茶花
2015年11月11日 | 花
秋日和の青空を背景に、山茶花が咲いていると気持ちがふくよかになる。改良された八重咲きのものは特に美しい。山茶花は童謡や歌謡曲にも多く歌われる冬を代表する花だ。ところで春に咲く椿と山茶花はどちらもツバキ科で花も似ている。交配した寒椿などもあって、山茶花と椿は見分けるのが難しい。見分けるには花の散り方に注目したい。映画の「椿三十郎」にも椿が、物語の重要なカギで椿が登場するが、椿の花は花ごと落ちる。それに対して、山茶花は花びらが一枚づつ落ちていく違いがある。
さらに雄しべにも違いがある。椿の雄しべは束状になっては開かないが、山茶花は雄しべが筒状にならず放射状に開いているのが特徴である。山茶花は、花の乏しい季節に咲くので、盆栽や切り花にして愛好される。江戸時代には、俳句の季語になって多くの句に詠まれている。
山茶花の長き盛りのはじまりぬ 富安 風生