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りんご園で赤く色づいたふじりんごがたわわに実った。木の下に敷いたシートは日光を反射してりんごのあて、色づきをよくするためである。りんごがる景色は懐かしい。北海道の生れた村では、果樹を植えている農家が多かった。花が終わって実が成長を始めると、どの農家でも働き手が不足し猫の手でも借りたくなる。まど小学生のころから、農家に手伝いに行った。そこには、青森や秋田からくる出稼ぎの人たちがいた。
出稼ぎの人たちは、国の民謡を歌いながら陽気に働く人たちであった。
わたしや 真室川の梅の花
あなたまた、新庄のウグイスよ
花の咲くのを待ちかねて
蕾のうちから通うてくる
子どもながらに、歌の意味を解釈してドキドキした。あの頃、そんな大人の人の話から、大人の世界を垣間見たような気がする。マスメディアも少なく、遠い地方の人たちの話が聞ける貴重な時間であった。先日の同期会でリンゴ農家の子であったA君は、昔の話をしてくれた。「今は猿や熊の被害が話題になるが、昔はみんな人間だったよ。誰もが腹を空かせていたから、泥棒という意識もなく、リンゴ園のりんごを失敬する。まともに収穫したことなど、殆どなかったよ。」