山の仲間からダイダイ色の大きなキノコをいただいた。マス茸である。キノコ図鑑を見ると、松の混生する雑木林の枯れ木に出るタコウキン科のキノコとある。菌が枯れ木に着いて、その木の材を分解して、樹皮を破るようにして出てくる。キノコの色がマスの肉の色に似ているとこらから名付けられたらしい。早速、煮つけてご飯に混ぜるとおいしいキノコご飯ができた。
畑に行くと、菊の花が咲いていた。食用になる高級食材で「もってのほか」と呼ばれる。菊の花は、朝夕に気温が低くならないと開花しない。キノコといい、キクといい、秋の光景と風味が現実のものなってきた。柿の葉や実が色づき、稲刈りが進み、空には鰯雲見られる。これでもかと、言わんばかりに秋が存在感を主張しはじめた。
寒に耐うるは唯だ東籬の菊のみ有りて
金粟の花は開いて暁更に清し
白居易の「菊花」である。ここでは、黄色い花を詠んでいるが、確かに菊の花は寒さに向かって咲いて行く。朝露を含んで咲いている菊の花びらを、浸しにして酢醤油をかけて食べると、その香りとシャキシャキとした食感が快い。