常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

行く秋

2016年10月25日 | 日記


日の経つのが早くて、秋が深まってきたと思うと、北から初雪の便りが聞こえてくる。北海道で冬、沖縄で夏。この季節ならではの、日本の秋である。森鴎外の俳句に

行秋やでゞ虫殻のなかに死す

でゞむしとはでんでん虫で、カタツムリのことである。夏の間は、頭の角を出しながら、木々の葉をついばんでいたが、秋が深まると、殻を捨てていずれかへ去ってしまう。中身のない殻に、鴎外は虫の生命をみている。触るとすっかり乾燥して、海岸の貝殻とは違った軽さだ。秋の寂しさのシンボルのような存在である。草むらには、青い葉がなくなり、霜や雪への準備が完了した。
コメント (2)
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