常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

クロッカス

2018年03月19日 | 
動画


坂巻川の土手の空き地に、咲きそろったクロッカスが春風に揺れていた。クロッカスはギリシャ神話に出てくる可憐な少女の名である。オリンポス12神のひとりであるヘルメスと恋に落ちた。ある雪の積もった日、二人は相乗りの橇を作り、雪遊びに興じて時の経つのを忘れてしまった。日が沈み、風が冷たくなってきたので、ヘルメスは少女を一人橇に乗せ、家に帰ろうと一押しした。すると、突然強風が吹きおこり、少女を乗せた橇もろとも、谷底へと引きさらっていった。
深い雪のなかの谷底は、12神といえ探しようもなかった。翌春、遺骸のあった場所に、雪を割って可憐な花が咲いた。少女の名にちなんで、この花をクロッカスと呼ばれるようになった。
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家族

2018年03月19日 | 日記


娘一家が訪ねて来て東根温泉に泊まった。晴天で、旅館の真向かいに葉山が見えた。いつも家の非常階段から見える葉山と比べると、間近に見える葉山はその存在感に圧倒される。老夫婦の二人ぐらしに、娘たちが加わると、改めて家族というものを考えさせられる。めったに来る機会もないが、来ても一泊がやっとだ。子どもたちが心配することのないようよう元気に過ごすこと。いま高齢を迎えた老夫婦、第一にすべきことのように思われる。

たのしみは まれに魚烹て 児等皆が うましうましと いひて食ふとき

橘曙覧の「独楽吟」の一首である。温泉の食卓に、タラの切り身、ホタテに白菜、豆腐を入れた鍋が出た。なんの変哲もない、普通の家庭でつくるタラ鍋である。「おいしい、しあわせ」と孫が夕食の席で口を切る。その一言で、この旅館での食事の席にいる皆が、しんみりとした幸福感に浸った。

たのしみは 家内五人 五たりが 風だにひかで ありあへるとき
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