常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

月山

2019年12月16日 | 日記
晴れ、放射冷却で冷え込みが激しい。ここのところ、晴れの日と雪模様が交互にやってくる。月山、葉山が住居の非常階段からくっきりと見える。その上の方に下弦の月が浮かんでいる。深田久弥によると、月山の名の由来は、半輪の月の形からではなく、麓の人々がもっとも尊崇した神、農業の神である月読尊を祀ったためであるという。しかし、たおやかな山容は、月をイメージさせ麓の集落にやさしい山であることは間違いない。私の持っているカメラはレンズ交換ができる。滅多に望遠のレンズを着けることはないが、月山の撮りたくて変えてみた。目の前で見るように、雪の月山がくっきりと像を結んだ。

身近な月山だが、登山の適期は、姥が岳へリフトが運転される4月末から紅葉の10月はじめまで。雪に降られる季節には、私の力では登ることはできない。山岳写真家である石橋睦美が、「月山の四季」というエッセイのなかで、冬の月山について書いている。

「冬の風景は雪の白さで構成されている。山も森も谷も、そして空気さえ心なしか白く感じる。白は周囲の色から影響を受けて染まる。晴れた日には青空を映し、灰色の雲が垂れ込めれば暗く濁り、朝夕には紅に染まる。雪が吹雪となって荒れ狂う時は非情だ。すべてのものを凍らせ、極寒の世界へ引きづり込む。風雪が山稜に吹きつけ、乾燥した粉雪を強風が舞い上げる。吹雪の日が幾日も続くと、山の谷間を埋めて、地形はなだらかな曲線を描くようになる。雪はなおも降り続き、岩や草木を覆い尽くす。こうしてできた雪面には見事な風紋が描かれる。そして春が来るまでの長い間、衣となって冷たい北風から植物たちを守るのである。」

さすがに写真家の観察は、白一面の世界を見事に捉えている。私たち高齢の登山家は、春の陽ざしのなかで、雪がとけていく、残雪の季節、わずかに冬の名残りを垣間見るのみである。来年は真夏の月山を登る計画である。
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