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冬至は一年で一番夜の長い日である。太陽の位置が低く、影が長い。この日を過ぎると日が高くなりはじめ、昼が少しづつ長くなっていく。「冬至冬なか冬はじめ」という言葉があるが、日は長くなっていくが、これから小寒、大寒という寒さの厳しい季節になる。この日には柚子湯に入って身体を温め、あずきカボチャを食すのが庶民の習わしだ。小豆を食べるのは、中国の古い故事によっている。冬至の日に死んだ不才の子が、疫病神になった。この疫病神はなぜか赤豆を恐れた。そのために、人々は疫病神に取り憑かれないないように小豆粥を食べる風習になったと言われる。柚子にしても、小豆カボチャにしても、家族の健康を願ってものである。
冬至とて南瓜嫌ひも食わさるる 下村ひろし
南瓜はおいしい食べ物で、南瓜嫌いなどは考えにくい。だが、敗戦から数年の間、日本は国全体が食に貧し、その日の食べ物に困っていた。秋を待って、畑に生る南瓜はほとんど主食のように食べられた。来る日も、来る日も代用食の南瓜である。拳を握って開くと、手のひらは南瓜の黄色い色に染まっていた。幼いころ、もう南瓜は食べなくていい、と思った人も少なくない。かく自分もその一人だ。戦後の空腹の時代は、こんな南瓜嫌いを生み出していた。