高原の湿原で風にゆれるワタスゲの群落。標高の高い池塘などのある湿地に生育するのでこの花や花のあとの綿毛をなかなか目にすることはできない。ここ弥平平の大湿原までは、白布温泉の天元台ゴンドラからリフト3基を乗り継ぎで1時間。そこから山道を登り下って2時間でやっと到着できる。この景色を見るために、それほどの時間がかかるが、ここに立つとその労苦は魔法のように消えていく。
このような景色を楽しみながら、足の筋肉を鍛える。自分のような高齢者にとって一石二鳥の効果がある。目にする自然は、生命をはぐくむ植物と高原の姿が心を豊かにしてくれる。もう一つは自分の脚の力が、高度と歩行距離を稼ぐことで筋肉を強くしてくれる。これは自分の心臓や肺の負担を軽減してくれる。そのため、景観を楽しむばかりでなく、歩くことそのもが楽しくなる。ウオーキングハイいう心楽しい状態を自然のなかで実現できる。
山岳写真家川口邦雄の言葉。
「ゆっくりゆっくりと登ってゆく。空に近くなることがひたすらうれしい。わたしは何を考えているのだろう、いや何も考えていなかったようだ。ただ何となく、山を眺めていた。なぜかわからないが、春のやまではいつもこうなのだ。」