東山、五条坂は、陶器のお店の多いエリア。ミモロが訪れた「河井寛次郎記念館」と同じ通りにあるお店に、足をのばします。
訪れたのは、数ある陶器のお店の中でも、有名な京料理店の料理人たちが器を探しに訪れるという、美術割烹陶器「田村莱山」です。
創業は明治初期。現在の店主は、五代目となる田村健夫さん。
「なんか普通の陶器屋さんと違って、美術品のお店みたい…」とミモロは、ちょっと緊張気味。
店に並ぶのは、約30人ほどの作家さんの作品で、いずれも高い技術と洗練された雰囲気漂う器で、窯元から現代作家のものまで、田村さんの鋭い感性で選ばれた品々です。
例えば、
赤絵などで知られる村田真人さんの作品をはじめ、端整な白磁を生み出す谷村崇さんなどの作品も…。
もともと初代は、ここに窯を構え、作陶も行っていたそう。そして3代目から、販売を専門にするように…。以前は、プロの料理人などが中心だったそう。でも、今は、一般の人でも気軽に入ることができ、自分好みの器を求める方が多いそうです。
「京焼の器は、京都の料理と共に発展してきたんです。四季折々の食材を使った京料理を、いっそう趣ある姿に見せるのが、京焼の器なんです」。
目でも楽しむ京料理には、器使いの巧みさも、料理人の腕の見せ所のひとつです。そんな料理人が、信頼を寄せる器店が、ここ。
「京焼というと、まず浮かぶのは、仁清や乾山かもしれませんね。器そのものが美しいもの…また、昔は、粟田焼という三条通の粟田口で作られた緻密な意匠を施したものもありました」
「あ、粟田焼って知ってるー。ミモロが住んでる岡崎にある粟田神社のそばで作られてた焼物だよねー。すごく芸術的で高価な器でしょ」
「よく知ってますねー。じゃ、古清水焼って、知ってますか?」「えー知らない…」
「江戸後期に発展した赤を使わない青や緑の色釉で描かれた雅な色絵陶器です。」
「へーそういうのもあったんだー」
「そもそも京焼という言葉は、京都で作られた陶磁器のことで、備前焼、萩焼のように、その産地の土による特徴的な作風を示す言葉ではありません。京都には、今は焼物の土はなく、作陶の土は、他の地方から産出したものですから、染付、白磁、青磁、焼締め、黄瀬戸などいろいろな作風のものがあります。ただ、他の産地で作られたものと、違うところをあげるなら、非常に薄く作られていることでしょうか…」
「これは、黄瀬戸の器ですが、かなり薄いでしょ?」「ホント、ミモロが知ってる黄瀬戸って、もっとずっしりと重い感じ」
「器の淵を見てー。エッジがシャープでしょ。これは高度な技術がないとできなんですよ。裏の高台のつくりも、実に端整で美しい…」と。同じ技術を使った器でも、京焼には、ほかにはない繊細な趣が漂います。
でも器は、料理を盛って完成すると言われます。ここで器を見ていると、これに何が似合うかな?といろいろ想像したくなります。
「この中には、和菓子を並べたり、ちらし鮨もいいかも…」と、蓋がある大き目な白い器を前に、ミモロの想像は膨らんで行きます。
店内には、酒器も種類豊富。
「こういう酒器で飲んだら、お酒もいっそう美味しいくなるねー」
「あ、急須もいろいろあるー」器の中でも、技術が必要とされる急須。形の美しさだけでなく、その機能性のよさが求められます。
お店に並ぶ器たちは、料理を盛られて、さらにその趣を増すもの…。
「今は、100円ショップなどでも食器を買うことはできます。でも、本物の美しい器を使うことで、食事のひとときがより豊かなものになります」と田村さん。
「キャーこの箸置きカワイイ…」鯛を模った箸置きは、おめでたいお席の料理にふさわしいもの。
「ここにある器でお料理がでたら、ますます食欲湧いちゃうねー」とミモロ。店の外に目をやると、そろそろ陽が傾き始めています。
「あ、もうこんな時間…」すっかり器を見ていたら時間を忘れて…
「なんかお腹空いて来ちゃったー」じゃ、ミモロ、そろそろお暇しましょうね。
「ねぇ、今晩はなに食べる?」美しい器に触れて、ミモロの食欲は、いっそう刺激されたよう…。
*「美術割烹陶器 田村莱山」京都市東山区五条坂八幡前南入 075-561-2626 9:30~18:00 日曜・祝日休み 「河井寛次郎記念館」の並びです。
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