ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

「楽宴小路」。祇園北にある安らぎの空間。毎月開催される茶席。立派なお道具で味わう茶の世界

2013-08-28 | 体験

鴨川から八坂神社との四条通から北側は、飲食店やバーなどが多いエリアです。花見小路を四条通から北へ20メートルほど上がった細い路地に、ミモロは、ある日、迷い込みました。「ここどこだろ?」
細い路地が続く通りを、ミモロは、奥へと進みます。「わーなにここ?」と思わず声を…。

そこには、火の見櫓と石の橋や燈籠がある日本庭園のようなスペースが広がっています。
「えーこんな町中に、こんな場所があるなんて、知らなかったー」とミモロは、キョロキョロ。

清水坂の洋館などと同様に、何度も通った道なのに、すぐそばに全く知らない場所が存在する…それが京都の不思議さ。

この場所は、昭和30年代にできたそう。敷地内の中心には、水が湧く場所があり、その周囲にグルリと町家が囲んでいます。今は、カフェやスイーツのお店、バーや料理屋さんが営業中。

そのセンターに聳える火の見櫓の麓に、なにやら薄い布が下がる東屋が。「何してるんだろ?」とミモロは、興味津々。
「ごめんくださーい」と声を…。中にはゴザが敷かれ、正座した方がお茶のお点前をなさっています。
実は、ここ「楽宴小路」では、毎月23日に、美術品と茶道具を扱う「中路昌清堂」のご店主、中路清嗣さんが、午後17:00から夜中まで、だれでも自由に参加できる茶会を開いているのです。
「茶道は、敷居が高いものと思われがちですが、そんなことはありません。気軽に茶道の世界に触れていただけたらと、昨年10月からご縁があって、ここでお茶をださせていただいているんですよ」と。

「あのーミモロでも参加できますか?」「はい、もちろん。1000円頂戴しますが、いいですか?」「はい、よろしくお願いします」ということで、さっそくミモロは、中に上がることに…。

教えて頂いた通りに、履物を揃えて、脇に立てかけます。

次にいらっしゃる方への心遣いです。

先客の脇にちょこんと座ります。正座のできないミモロは、特別に足を前に出すことを許していただきました。

「ミモロちゃんとおっしゃるんですか?お茶ははじめて?」「いいえ、何度かお茶会に伺いました。でも、あんまりよくわかりません」と。「わからなくても、そういうお席にでる経験をするのはいいことですよ」と。

「では、お菓子をどうぞ…」ミモロは、菓子鉢からひとつつまんで、懐紙の上に。
「これは、亀屋末広の粟羊羹です。どうぞ召し上がれ…」「うー美味しそう…ほんのり甘くて、粟のお味もするー」

流れるようなお点前を眺めながら、静かな時に浸ります。

やがてミモロの前にお茶が…。「頂戴致しまーす」
「このお茶は、一保堂のものです」「こんな町中で、お茶事に参加できるなんて…不思議な気がします」とミモロ。「ホントに、お茶には興味をお持ちの方でも、なかなか機会がないでしょ。よく外国の方もご参加されますよ。特別、予約もいりません。ふらりといらして気軽にご参加ください…」

いろいろお話を伺ううちに、周囲の灯りがともる時刻に…。
お茶席にもロウソクが灯されて、いっそう素敵な風情が漂います。「こういう雰囲気のお茶席って初めてー」と、うれしそうなミモロです。

結構なおふく加減のお茶を頂いた後は、お道具を拝見することに。
「こちらは、表に桐と梅の模様があるでしょ。天正15年に秀吉が大茶会を催したのにちなみ、昭和11年に北野天満宮で、昭和の大茶会というのが行われ、その時の器です。だから、秀吉の桐と北野天満宮の梅の模様なんですよ」
さすが、茶道具店のご店主のお茶会、使われる器が違います。

「これは『水鳥』という銘の高麗青磁写しで、人間国宝の石黒宗麿の作です」とさりげなく説明。「えー人間国宝の器なのー」と、持たせてもらったミモロの手が震えます。

「そういえば、さっきの菓子鉢もりっぱだったー」「あれは南鐐(なんりょう)の器です」「南鐐?」とミモロ。南鐐とは、特に上質で美しい銀を示す言葉です。

そしてお茶尺を拝見します。
「どなたの作ですか?」とお客様。箱書には、「宗竹という銘がありますでしょ?それは、新島八重の名なんですよ。これは、八重さんが77歳の喜寿の祝いの折につくったものの1本です。最近京都博物館で展示されたものと、同じ時期のものなんです」と中路さん。「えーあの大河ドラマの八重さんが作ったのー」ミモロもちょっと触らせていただきました。

毎回、すばらしいお道具をお持ちになるそう。

「本物に触れるのは、とても大切なことです。自分の手で持って、その感触や重さを感じる…そこから本物を見る目が養われるんですよー」と。

「来月は、何が見られるのかな?また来ちゃおう・・・」と密かに思うミモロでした。


「では、そろそろ失礼します。ありがとございました」とミモロが退席したころは、周囲は、すっかり暮れて、「楽宴小路」は、いっそう趣を増したよう。



*「楽宴小路」東山区祇園町北側347-118 祇園新橋から、花見小路を一筋南へ。車が通れないほど狭い道を東側に入るとすぐ入口があります。東側は、東大路通からは、「よしもと花月」の北側の道の突き当りです。
中路さんのお茶会は、毎月23日 午後17・00から夜中まで開催されます。参加料1000円。ぜひご参加を…。


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コメント (3)
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