ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

京都の町中にある、ステンドグラス教室。ガラス作家、古田利一さんの「工房 彩玻璃(いろはり)」へ。

2013-08-09 | ものづくり

京都の蛸薬師通と麩屋町通のそばにある、ちょっとレトロな感じの建物。町中なのに、植物が絡まる外壁が、周囲とは違った雰囲気を作っています。

「ここかなぁー?」とミモロは、窓の中を覗いてみることに…。
「やっぱり、ここだー。この前を何度も通っているのに、こんなお店があるのって、知らなかったー」。窓の中には、色とりどりのガラスの小物や、ランプなどが見えます。
ガラスが入った扉を開けて、そっと中へと進むミモロです。

中に入ると、部屋の中央に、粘土やヘラなど、さまざまな道具が置かれた大きな机。そして、その周囲の壁際には、なにやら機械が並んでいます。


「初めまして、こんにちはー。ミモロです」とご挨拶。「はい、いらっしゃい…」と、笑顔で迎えてくださったのは、ガラス作家の古田利一さん。
そう、ここは、ステンドグラス教室のあるガラスの工房なんです。

中に入るや否や、ミモロは、棚に並ぶ、ガラスの作品に目を奪われます。

ピンク色のお花のようなステンドグラスのランプ。キャンディーのように美味しそうなガラスの帯留やブローチ。
天井からも、ガラスのランプシェードが下がっていたり、かわいいリボンの箱があったり、


「ここって、なんかピノキオのおじいさんの仕事場みたい…」と、ミモロは、さまざまな道具を前に、不思議な感じに包まれます。というのは、この辺りは、京都でも賑やかなエリア。お買い物客などが、ひっきりなしに窓の外を通っています。でも、ここは、とても静か…ミモロには、窓の外と内の状況の違いに、戸惑っています。

さて、ここのオーナーであり、ステンドグラスを教えてくださる古田さんは、製作なさったガラスの作品で、「朝日 現代クラフト展 グランプリ賞」をはじめ、さまざまな賞を受賞している、京都生まれのガラス作家さん。ガラスの美しさと不思議さに魅了され、40年以上。さまざまな技法があるガラスの世界で、幅広く作品を手がける、作家なのです。


ひとくちに、ガラスを使った作品といっても、コップをはじめ、アクセサリー、ランプシェードなど、大きさも、種類も実にバラエティーに富んでいて、またそれに用いる技術もさまざまです。
ですから、一般的に、ガラス作家は、グラスなどを作るのに用いる吹きガラスの技術が得意な人、ステンドグラスなど板ガラスの加工が得意な人など、それぞれひとつの技術に特化している人が多いのだそう。でも、古田さんは、ガラスに関するあらゆる技術を修得しているので、その作品の幅も広いのです。

実は、ここは古田さんが指導するステンドグラスなどのお教室のための場所で、京都の郊外に、広い別の工房があるのだとか。でも、ここでも小さな作品なら、あらゆるものが作れる道具が揃っているそうです。

「ガラスは、不思議な物質なんですよ。加工する前は、ドロドロの液体、でも一瞬にして固体に変わります。扱うのがむずかしい、やり直しがきかないんです。かなり緊張感のある仕事です。でも、そこがまた魅力なんですけどね」と、古田さん。

キラキラ輝き、光を通す透明なガラスは、古くから世界中の人々を、虜にしてきた素材です。、

ガラスの歴史は、紀元前4000年以前のエジプトやメソポタミアで作られたビーズが始まりとか…。時代を経て、さまざまな技術が生み出され、紀元前1世紀頃には、食器など、その姿を見ることができます。しかし、多くの人の目に留まるようになるには、かなり時間を経てから。13世紀ごろ、ヴェネティアでガラスが製造されはじめ、16世紀ごろにヨーロッパ各地で、盛んに作られるようになってからです。

一方、ステンドグラスが、登場するのは9世紀ごろから、中東のイスラム圏で。そして12世紀頃、ヨーロッパのゴシック様式の教会には、美しいステンドグラスが付けられるようになります。

でも、実際、ガラスが、一般の人たちの生活に普及し始めたのは、日本では、明治以降ですから、長いガラスの歴史からしたら、ほんの最近のことかもしれません。


ちなみに、この工房の名前にもなっている「玻璃」(はり)とは、ガラスの異称。仏教では、水晶のことだとか。「瑠璃も玻璃も照らせば光る」という言葉は、瑠璃は、青い宝石のこと。才能があるものは、適切な場が与えられれば、その才能が発揮される、という意味。

「えールリもハリも…のハリって、『針』だと思ってたー」とミモロ。同じように思っていた人、いませんか?


さて、話を工房へと戻しましょう。

「わーこんなキレイな色のガラスがいろいろあるー」とミモロ、棚に納まっていたガラス板を見つけました。それらは、ステンドグラスを作るための材料。

ここは、インテリア小物やランプ、鏡などの作品づくりのお教室。ごく少人数の個別レッスンが行われます。

まずは、ガラスを切るという基本をしっかり学ぶことからスタートです。


「なるほどー。ガラスがちゃんと切れないと、ステンドグラス作れないよねー」

最初は、細いガラスを切り分ける練習をします。手加減がむずかしい作業です。
それができるようになったら、カッターで思う形をガラス板の上に描き、それを切りだすのだとか。プロの人は、ダイヤモンドの歯がついたカッターを、普通は、ローラーのついたカッターを用いるそうです。お教室で使う道具は、すべて貸してくれます。

「そうか、まずは、ガラスという素材に馴れないとねぇー」
「いつか、こういうライトシェード作れたら、ステキー」と、ミモロの夢は膨らみます。うーでも、ミモロの場合、かなり時間がかかりそう。

「ガラスの作品づくりって、ホントにいろんなことを習わないとできないんだー。でもちょっと興味あるなぁー」。



こちらでは、1回3000円の体験講座も開催されています。ガラスに興味のある方は、ぜひ参加してみては?

いろいろお話を伺っていたら、気付くと、外は、すっかり夜に。

さぁミモロ、帰りましょ!「もう行くの?ちょっと待ってー」
帰る間際に、「これ、まだ見てない」と、万華鏡を覗きます。こんな町中に、本格的なガラス工房があるなんてーと、今も不思議な感じのミモロです。

夜になり、ガラスのシェードのランプは、いっそう美しく…。心癒される、やさしい光を放ちます。


*ステンドグラス教室へのお問い合わせは、「工房 彩玻璃」京都市、中京区蛸薬師通麩屋町東入ル蛸屋町163 電話075-211-6652へ



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コメント (3)
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