京都を代表する産業のひとつ、美しい織物の「西陣織」。出来上がるまでには、20以上にもおよぶプロセスがあるとか。それぞれの工程は、細かく分業化され、多くの職人さんの手を経て、やっと完成するのです。
織物である西陣織の糸は、先染め。染屋さんは、織元から依頼された色を絹糸に正確に染める工程を行います。
北野天満宮そばの今出川通に面した町家にある「北野 京糸染 寺井」を、お友達の紹介で、ミモロは、見学させて頂くことに。
「こんにちはー」ミモロは、作業中の寺井さん親子にご挨拶。作業場は、年間を通じ、30度以上という熱気に包まれています。いろいろなところから、上がる湯気…さまざまな機械や道具が置かれている作業場で、黙々と作業が進みます。ミモロ、歩き回っちゃだめよー。「ハーイ」と言いながらも、興味津々のミモロは、そばで見学します。
「京糸染 寺井」は、大正10年の創業。現在、3代目で、伝統工芸士である寺井一雄さんと4代目の息子さんが、工房を担います。
まず作業場の入口付近の棚には、まだ染められていない白い絹糸の束が積まれています。
「あれーなんかゴワゴワしてる…」。染める前の絹糸は、ニカワ質のセリシンに覆われていて、ツヤもありません。
まず、石鹸やソーダ灰などの溶液で、取り除く精錬という作業が行われます。
精錬された糸には、絹糸特有の光沢とツヤが…。「わー柔らかくなってるー」
さて、ここから、いよいよ染めの作業が始まります。
染料を調合し、注文された色に染めてゆく作業です。さまざまな微妙な色合いが要求される染め。その染料の色数は、それほど多くなく、微妙な色は、各色を調合して作りだします。「染料は、細かく計量して調合するのではなく、経験から合わせます…。季節により、微妙に具合も違いますし、絹糸自体の質でも異なります」と寺井さん。
手染めは、棒に糸を掛けて、一度ではなく、何度も色具合を見ながら、徐々に染めて行きます。
「わー何度も染めるの大変だねー。結構、水分を含む糸って重いんだよね。濡れている時と乾かした時でも、きっと色の具合が違うから、そういうことも考えながらしなくちゃいけないんでしょーきっと…」とミモロ。
「染めの中でも、グレーや茶系の色具合はむずかしいんですよ」と。
例えば、グレー系でも、銀色、薄鼠(うすねずみ)、鈍色、砂色…などなど、微妙な色の違いに、それぞれ名前を付けて区別する日本人の鋭い色彩感覚。それに応えるのは、それ以上の鋭い色彩感覚が求められます。
作業場では、同時に、いろいろな染めの工程が進みます。手染めの技術を機械化した機械染めも。
機械と言っても、手染め同様、職人さんの勘と技術が欠かせません。
染めあがった糸は、色止めを経て、乾かし、注文主の織元さんへ。
昔から染屋を営む「京糸染 寺井」。父から子へと受け継がれる技とものづくりの心がそこに…。
「キレイな色…」
絹独特の光沢と鮮やかな発色…「職人さんたちが、心を込めて染めた色だよねー」と、美しく染めあがった糸をいとおしそうに眺めるミモロです。
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ブログを見たら、金魚をクリックしてね。やっと降った雨…ちょっとは涼しくなることを期待するミモロより