かーちゃんはつらいよ

施設入所した18歳そうちゃん(自閉症、最重度知的障害、強度行動障害、てんかん)のかーちゃんが書く雑記。

網戸を破った家の方

2020年07月15日 21時17分53秒 | みゆみゆとの生活
今日は朝イチで自分の受診。
子宮内膜ポリープのがん検診結果を聞きに行きましたが、結果は異常なし。よかった。
貧血は相変わらずだけど、ヘモグロビン10.4なら私としてはまあまあ。
「鉄剤苦手だよね?」「そですね」
「サプリでも適当に飲んどいて」「そーします」
ドクターとこんな適当な会話をして、あっという間に診察終了。

病院を出たら、お仕事へ。
重症心身障害者の介護の仕事。
主に食事介助と排泄介助。
ご飯を一口づつ利用者さんの口元へ運びながら、そうちゃんも病院でお昼ご飯食べてるかなーと考える。

仕事が終わると、遅めのお昼ご飯。
ちょっとだけ贅沢をして一人で外食し、お肉を食べました。
一息ついたら、買い物して、
いざあいさつ回り。
そうちゃんがご迷惑をおかけしたお宅のうち、シャッターを壊した家と網戸を蹴破った家に菓子折りを下げて行きました。

シャッターを壊した家のDさんは、支援学校のお知り合い。
そうちゃんがお邪魔した時の状況を再度教えてもらいながら、弁償についてもお話しました。
ついでにお互いの近況も話す。
ここ数年ゆっくり話してなかったけど、お子さん随分成長されたんだなーと思いなんだか嬉しくなった。
そこのお子さんが利用しているというGPSについても聞いてみたけど、そうちゃんには難しいかなと思った。
通学カバンにつけておけるならいいけど、そうちゃんが行方不明になる時は大抵丸腰で靴履いてる率も低い。
首からぶら下げても取っちゃうだろうし、学校での活動や着替える回数を思うと管理が難しい。
第一、居場所がわかっても飛び出しや他害を防げるわけでもないしね・・・。

そんな相談ができる人が近くに住んでいてありがたい。
壊したシャッターに関しては保険で対応することになりましたが、それにしたって業者に連絡して直してもらう手間もあり、申し訳ないことに変わりはないです。
しっかりと謝罪をして、今後も連絡を取り合うこととしました。

次に向かったのは、網戸を壊した家のBさん宅。
こちらは全く知らない方なので、ピンポン押すのもド緊張しました。
出て来てくれたBさん、私が訪問の意図を伝えると、
「うちは大丈夫ですよ、ほんとに。網戸は少しゴムパッキンから外れた場所があるくらいで、窓も割れなかったですし。」
そう言って、私が差し出すお菓子と封筒を遠慮された。

いや、これはなんとか受け取ってもらいたい。
「それではこちらの気がすみません。家におられたお子さんにも怖い思いをさせたと思いますし。
今回のことは、本当に申し訳なかったです。
主人とも話して、修繕費はきちんとお支払いしたいということになりましたので、受け取っていただけないと困ります。」
ついでにそうちゃんのその後も説明。
「息子は昨日精神科を受診して、1週間入院することになりました。
少し薬を増やして、興奮状態が落ち着くように考えているところです。
このようなことが今後ないように家族としても対応していきます。」

一生懸命話をしたら、Bさんはお菓子と封筒を受け取って下さり、
「ありがとうございます。でも、ほんとに胸が痛いです。
なんだか受け取るのが苦しいです。
こんなことは初めてで。とにかくお子さんにケガがなくて良かった、という事だけなんですけど。
なんて言ったらいいのか、胸が痛くて苦しいです。」
そう繰り返され、目を赤く潤ませられました。

初対面のBさん。
中学生のお子さんがいらっしゃるとのことでした。
私たち親子がどうしようもなくこの結果に陥ってしまったことを、同じ年頃の子どもを持つ一人の母として、我が身に置き換えて考えて下さった。
そうちゃんに悪気がなかったことも、親がこれまで必死で子育てしてきたことも想像し、辛くてやるせない思いに共感してくれた。
…そう肌で感じて、思わずもらいウルウルしてしまいました。なんて優しい方なのか。
「こんなことに巻き込んでしまってごめんなさい。優しい言葉をありがとうございます。本当に、今回のことは申し訳ありませんでした。」
謝罪に来た側は真摯に謝るのが第一優先。
目の外に続いて出たがる涙を押しとどめながら頭を深く下げ、Bさん宅を後にしました。

車に戻った瞬間、涙がポロポロ、ポロポロ、流れてきた。
涙は外に出たがってたんだな。
私、とってもしんどかったんだな、って。
現実的にどう対処していくのか、そればかり考えて必死で走ってたここ数日。
けど、感情が追いつかないままだときっとつぶれちゃう。心をなくしちゃう。
だから、ポロポロ泣けてよかった。
母として、辛くてやるせない気持ちがあることを、鏡のように教えてくれたBさん。
ありがとうございました。
また一人、地域にそうちゃんの味方が増えた。

さあ、お肉も食べたし。
ほろ酔いも飲んだし。
みゆみゆとしゃべったし。
今からアイス食べるし。
泣いたし。

もう泣かない。
大丈夫。