あさぢ原たままく葛のうら風のうらがなしかる秋は来にけり(恵慶法師集)
山里はくずのうら葉をふきかへす風のけしきに秋を知るかな(新古今和歌集)
まくず原うら葉もしろく乱れつつ風のままなる秋の夕露(内裏百番歌合)
秋風の日ごとに吹けば水茎(みづ ぐき)の岡のくず原いろづ きにけり(夫木抄)
人知れずおもふ心のゆくかたは真葛が原の風にまかせつ(拾玉集)
逢ふことはかた野のみのの真葛原うらみもあへず露ぞこぼるる(続千載和歌集)
うらみても恋ひても露ぞこぼれけるしのぶの山の葛のした風(続後拾遺和歌集)
いかにせむ玉まく葛のうら風に思ひくだけて露ぞこぼるる(宝治百首)
つれなきをうらむる葛のした葉こそ涙の露のおきどころなれ(風葉和歌集)
色かはる心のあきの葛かづら恨みをかけて露ぞこぼるる(新後拾遺和歌集)
唐衣(からごろも)すそ野のまくず吹きかへしうらみて過ぐる秋の夕かぜ(拾遺愚草)
秋風に吹きかへさるる葛の葉のうらみてもなほうらめしきかな(古今和歌六帖)
秋はなほ葛のうら風うらみてもとはずかれにし人ぞ恋しき(新千載和歌集)
はかなしなうらみじと思ふ夕暮れにけふも真葛の露ぞこぼるる(洞院摂政家百首)
葛の葉にあらぬわが身もあき風のふくにつけつつうらみつるかな(新古今和歌集)
身のうきに思ひかへせば真葛原ただうらみよと秋風ぞ吹く(新後拾遺和歌集)
葛の葉のいく秋風をうらみてもかへらぬものは昔なりけり(民部卿典侍集)
(2009年11月4日の「葛の葉」の記事は削除しました。)