秋はなほゆふまぐれこそただならね荻のうは風はぎのした露(和漢朗詠集)
荒れわたる秋の庭こそあはれなれまして消えなむ露のゆふぐれ(新古今和歌集)
草も木もなべて露けき夕べかな秋のあはれや四方(よも)にみつらむ(続後拾遺和歌集)
さびしさは我が身ひとつにあらねども秋の夕べの袖ぞ露けき(草庵集百首和歌)
さびしさはその色としもなかりけり槇たつ山の秋の夕ぐれ(新古今和歌集)
さぎのゐるそともの梢いろづ きて門田(かどた)さびしき秋の夕ぐれ(竹風和歌抄)
うづら鳴く真野の入りえの浜かぜに尾花なみよる秋の夕ぐれ(金葉和歌集)
君なくて荒れたるやどのあさぢふにうづら鳴くなり秋の夕ぐれ(後拾遺和歌集)
うす霧の山本とほく鹿なきて夕日かげろふ岡のべの松(風雅和歌集)
鹿の鳴くみかさの山は霧こめてふるさとさびし秋の夕ぐれ(柳葉和歌集)
おしなべて思ひしことのかずかずになほ色まさる秋の夕暮れ(新古今和歌集)
ものごとに秋はあはれをわかねどもなほかぎりなき夕暮れの空(六百番歌合)
(2009年10月29日の「秋の夕暮」の記事は削除しました。)